第20話〜巨大なネズミの家〜
「日が沈むから、帰ろー!」
「また明日ねー!」
耳を澄ましてみた。
ネズミのガキどもの声は、どうやら洞窟の外から聞こえてくるようだ。
て事は、今いる場所から洞窟の出口は、そう遠くねえってわけか。
ふと思い立って、ルナに言ってみた。
「なあルナ。今度こそあのネズミのガキどもに、話しかけてみねえか?」
「うーん、大丈夫かなあ。一応、プレアデスさんからはネズミさんたちに見つかっちゃいけないって言われてるし……」
「プレアデスの奴とはもう連絡取れねえし、関係ねえだろ。どうせ、もう関わる事もねえんだし。それに母ちゃんたちだって、堂々とネズミの街を歩いてるんだ。せっかくこんな未知の世界に来てるんだぜ? ユキやポコだけ楽しんで帰らせてたまるかよ」
「うーん……でも……」
問答を続けていると、ミランダがヒラリと飛んで来た。
「ゴマくんもルナくんも、もうすっかり元気になったんだから、ムーンちゃんたちが着くまで、ネズミのみんなと遊んできたら? ネズミの子は、いい子ばかりよ。一緒に遊ぶと楽しいわよ」
話が分かるじゃねえか、ミランダ。やっぱり、ネズミどもは、みんないい奴らなんだ。
「ほら、ミランダも言ってるし。行こうぜ!」
「待ってよ、兄ちゃん! もう……」
「行ってらっしゃーい! アタシはいつでもここにいるからね」
半ば無理やりルナを連れて、洞窟の出口の方へと向かった。
洞窟の坂道を登って行くと、だんだんと明るくなってくる。少し広い空間に着くと、出口が見えた。透き通るようなオレンジ色の空が見える。
「ふー、やっと出口だ」
「……木がすっごく高いね。近くの花も、僕らより背が高い。不思議な気分」
「何を今更ニャ事言ってやがんだ」
「あの時は必死だったからね……」
洞窟の出口を出てから、思いっ切り深呼吸した。夕方の森の空気が、とても美味え。
さて、ネズミのガキどもはどこだ?
「いないね。お家に帰ったんじゃない?」
「少しタイミングが遅かったか。……おいルナ、見ろよあのデッカい木」
目に入ったのは、ひときわデッカい木だった。
高く高くそびえ立っているその木の枝を見ると、ドングリがたくさん実っている。
その木の幹に、いくつかの扉と、小っちゃい窓があった。
「あの木……ネズミどもの家なんじゃねえか?」
「そうみたいだね」
木の中の棲家か。面白そうだ。
近づこうとした時、ルナがボクの背中を叩いた。
「待って、兄ちゃん。誰か出てくるよ」
「ん? ……あ! あいつは!」
まさか――。
デッカい木の家の、玄関の扉から出てきたのは。
ネズミの街でボクらが目をつけてたあのニンゲン――マサシだった。




