第18話〜ミランダ様様〜
「ねえ、ゴマくん、ルナくんー!」
あぐらをかいて寝っこけていると、ミランダの声が聞こえた。
目を開けると、すぐ近くにミランダがいて、ピカーッと光を放ってやがった。眩しくて仕方ねえ。
「ふぁー……何だ、気持ちよく寝てたのによ」
「これ、見て。∞←#……」
またまた変な呪文を唱えたと思ったら、今度は洞窟の壁が青白く光った。そこにだんだんと、何かが映り始める。
「あ! メル姉ちゃんたちだ!」
ルナの声にハッとして、よくよく壁を見てみた。映ったのは、神社の森の景色だ。
壁がボコボコしてるせいで見づらいが、森の中に、メルさん、じゅじゅさん、そしてユキにポコがいるのが見えた。
そしてもう1匹、いる。
ボクやルナと同じ、白黒ネコの……。
「……母……ちゃん……?」
「え、どうしたの兄ちゃん……? あっ!」
夢で見た、ひと回りデカい白黒のネコ。
【ムーン】って名前の、ボクの母ちゃんだ。
今度は、夢じゃねえよな……?
壁の平たい場所に、ハッキリと母ちゃんの姿が映った。
こうして現実に見ても、確かに小せえ時に見覚えがある。
「ルナ、ボクらの母ちゃんだ」
「え? あの白黒のネコさんが……、僕らのお母さんなの?」
「ああ、間違いねえ。ムーンって名前だ」
壁に映った映像を食い入るように見ながら、夢の中での出来事を思い返した。
「実は、夢に母ちゃんが出てきたんだ。母ちゃんは、“星光団”とかいう5匹のネコ集団の一員になってたんだ。みんな、今のボクらと同じように2本足で立ってた。そして母ちゃんたちが光に包まれたと思ったら、一瞬で分厚い服やら丈の長え服やらに着替えて、刃物やら杖やらを持って、化け物相手に戦ってたんだ。で、その後だ。ボクも“星光団”の……」
「へえー、そんな夢見てたんだ。まあそれはともかく、ムーンさんってネコさんを見てたら、何だか懐かしく感じる。やっぱり本当にお母さんなんだね。早く会いたいな」
「おいおいルナ! その後ボクも“星光団”の一員になって一緒に戦って大活躍した話をしたかったのに! シレッと流すんじゃねえよ」
「あ、見て兄ちゃん。“ワームホール”が映ってるよ」
スルーし続けるルナにボクはハァと溜め息をつきながら、もう一度壁の映像に目をやると。
ルナの言ったとおり、母ちゃんたちの前にあの変なトンネル――“ワームホール”が置かれていた。
その奥に、ボクらがいるネズミの世界――白く光るドームが見える。
「あ! 母ちゃんたち、トンネルに入って行ったぞ!」
母ちゃんはメルさんに何かを話してるように見えたが、声までは聞き取れねえみてえだ。
知らん間にどこかへ行っていたミランダが、光る蝶みてえにヒラヒラと舞い戻ってきた。
「魔法の力で、今いる場所をメルちゃんに伝えたから。ゴマくんたちは、ここで待ってたらいいわ」
目の前で、ミランダが得意げにウインクしやがった。
母ちゃんたちみんなが“ワームホール”をくぐってネズミサイズになって、ここへ向かって来るって事か。
そしたら、ボクらは母ちゃんと久々の対面になる。
「ホントにありがとよ、ミランダ。……そういやルナ、あのプルートのジジイ、いなかったな」
「だね。何か、また変な事たくらんでそう……。とにかく、みんな来てくれるまで待っていよう。無事に会えますように」
……って事で、ボクらは大人しくミランダの元で、母ちゃんたちの到着を待つことにした。




