第16話〜魔法〜
「ミランダよ、じゃあその魔法とやらで、ボクらを棲家に帰してはくれねえか!?」
期待を込めてミランダに頼み込んでみたんだが。
「うーん、“ワープゲート”を使えばできると思うけど、今はまだ練習が必要なの。失敗したら、宇宙空間とかに飛ばされるかも。力になれなくてごめんね」
ミランダはそう言いながら申し訳なさそうに、飛ぶスピードを落とした。
だがいずれはその“ワープゲート”とやらも使えるようになるんニャら、棲家へは帰れるって訳だ。ちょっとだけ安心したぜ。
それよりも、問題ニャのは――。
「ねえ兄ちゃん、何だか立ってるのが辛くなってきた」
「……ああ、ボクもだ。それにボクら、体がデカくなってきてるよな」
洞窟の天井に、頭がつっかえてる。
ボクらが落ちてきた穴を見たが、穴がとても小さく見える。
そして、2本足で歩きづらくなってきた。着てる服は、今にも破れそうだ。
つまり、あの変なトンネル――“ワームホール”の効力が切れかかってるって事だ。元のサイズのネコに戻っちまうまで、残り時間が少なくなってきたんだ。
中途半端に2足歩行だと腰も痛えし、このままムクムクとデカくなったら、洞窟が崩れて生き埋めだ。
何とかしなきゃ。
「ミランダよ、とりあえずアレだ、ボクらかくかくしかじかでネズミサイズになってたんだが、効き目が切れそうなんだ」
「ミランダさんの力で、僕たちをもう一度ネズミサイズにする事ってできませんか? 2本足で歩けるようにもしてもらえると、助かります」
ちょっと焦りながら頼み込んでみると、ミランダはパアッと光って、クルリと一回転した。
「確かに、急に大きくなっちゃったら困るもんね。お安い御用よ。▼☆◯∂……そーれ!」
途端、ボクの周りが真っ白く光った。
「うわッ!?」
眩しくて思わず目をつむっちまった。
すぐに光が晴れたらしく、目を開けると。
天井が高くなってる事に気付いた。どうやら、またネズミサイズになったようだ。
しかも、楽々と2本足で立てる。
「これでいーい? この魔法は半永久的に持続するから、魔法が切れてまた元のネコサイズに戻る心配はいらないわ」
「マジかよ。ミランダ、助かったぜ!」
よし。コレで時間を気にせず、ネズミの世界で過ごせるようになったって事だ。
「ありがとうございます、ミランダさん。あ、念のために聞きますけど、元の4つ足で歩くネコの姿に戻ることも、できますよね……?」
「そうだ、それ大事だ!」
ルナが、大事な事に気付いてた。
効き目が切れねえのはイイが、ずっとこの姿のままでいる訳にもいかねえからな。
どうだ……?
「大丈夫よ。元のネコの姿に戻りたくなったら、またあたしに言って。魔法を解くから」
ミランダは、クルリと回ってウインクした。
「最高だぜミランダ。これから色々頼らせてもらってイイか?」
「ミランダさん、本当に助かりました」
「いーえっ☆あたしはいつもここにいるから、いつでも頼ってね、ゴマくん、ルナくん!」
ボクらは、小っちゃくて頼もしい風の精霊、ミランダと知り合った。
フシギな力、“魔法”とやらも目の当たりにした。
面白くなってきたじゃねえか――!




