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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第2部〜ネズミたちの住む理想郷編〜
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第15話〜風の精霊〜


 (ニャン)だ、この謎のホタルみてえな光は……?


 ボクは目を凝らしてよく見てみた。

 ホタル……じゃねえ。

 小っちゃくて耳がとんがってて、金色の長い髪を生やしたニンゲンみてえな姿だ。だが、背中にトンボみてえな羽が生えている。さらによく見りゃあ、緑色の薄手の服を着てるじゃねえか。

 そいつはキラキラと光を振り撒きながら、飛び回ってやがる。


「お前か、さっきから呼んでた奴は……?」


 話しかけてみると、そいつは目の前に飛んできた。

 黄色い瞳と目が合う。


「そうよ、やっと気付いてくれたわね。アタシの名前は【ミランダ】。【風の精霊】よ」


 風の、精霊だあ……?

 やっぱりボク、幻覚を見ているに違えねえ。

 だが、


「ミランダさん、初めまして。僕はネコのルナです……クシュン!」

「あ……ああ。ボクはネコのゴマだ」

 

 ルナにも見えてるみてえだし、やっぱり幻覚じゃなくて、ちゃんと存在してるって事か。


「ネコさん? こんなに小っちゃくて、ネズミさんみたいに2本足で歩くネコさん?」


 ミランダとやらは、光りながら飛び回っては動きを止めて、ボクらを観察してやがる。


「んー、何か訳ありみたいね。ルナくんは体調が悪いみたいじゃない。ちょっと待っててね、※▷〆Σ……」


 ミランダとやらは、金色の綺麗な髪をなびかせながら、意味の分からねえ言葉をつぶやいた。いつの間にか、先っちょが星形になってるステッキを手に持ってやがる。その小っちゃなステッキが、ピカリと光った。

 すると。


「……あれ、体が楽になった」

「ルナ……? まさかニャ。ちょっと熱測らせろ」

 

 おでこに肉球を押し付けたが、……熱が下がってやがる。


「すごーい! ありがとう、ミランダさん」

「お前、一体(ニャニ)したんだ!?」

「※▷〆Σ▼♪√¿……」


 ミランダがボクらの言葉を無視してまた変な言葉をつぶやいたと思ったら、今度は地面がピカーッと光った。


「うわ、眩しッ!」

「……あ、見て、兄ちゃん!」


 光が晴れると、(ニャン)と。

 地面の上に、どこからともなく一瞬で、ドデカいカツオのたたきが現れやがったんだ!

 

「うおおおあああ! ルナ、食うぞ!」

「う、うん!」


 突然現れたカツオのたたきを、貪り食う。美味え。涙が出る。幻覚ニャンかじゃねえ。やっぱコイツは本物だ。精霊だかオバケだか神様だか(ニャン)だか知らねえが、ありがてえ。

 巨大なカツオのたたきは、一瞬でボクとルナの腹に収まっちまった。ああ、とろりとした身の感触が口の中に残るぜ。ボクは幸せだ。


 ミランダがゆっくりと目の前に飛んできた。

 

「よっぽどお腹が空いてたみたいね。アタシ、【魔法】が使えるから、もし困ってたら力になるわよ」

「あー、美味かったぜ。ん? マホウ? マホウって(ニャン)だ?」

「さっきみたいに呪文を唱えれば、空間から物を出したりとか、色々な事が出来るのよ。魔法陣を作って、【ワープゲート】を作ったりとかね。“ワープゲート”は、まだ練習中だけど」


 じゃあさっきのカツオのたたきも、魔法とやらで出してくれたというのか。

 幻覚ニャンかじゃねえ、確かにこの目で見たんだ。そんニャ不思議なチカラを使える奴が、この世界にいただなんて――。


 そうだ。ミランダの魔法で、ボクらを棲家に帰してもらえたりしねえだろうか。

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