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もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第2部〜ネズミたちの住む理想郷編〜
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第4話〜ジジイとの再会〜


 森の奥でぼんやりと白く光る謎のドームを、ボクはただボーッと見つめるしかできねえでいた。


「ゴマくん、ルナくん、あれだよ。あの光の中に、ネズミの住む“伝説の理想郷”があるんだ」


 プレアデスが、光のドームの近くへ走って行きやがる。追っていくと、イヤなモンが視界に入って、ボクは思わず顔を歪めた。

 プルートのジジイが、寝そべりながら待ってやがったんだ。

 二度と会いたくなかったんだが……生きてやがったんだな。


「ヒーヒヒヒィ……。遅いですよぉ?」


 ボクらと同じように4つ足で震えながら立つプルートのジジイの横には、変な形のデッカい筒みたいなトンネルが置かれていた。

 片側はボクらが入れる大きさだが、反対側に向かうほどに筒は小さく狭くなっていき、もう片側はめちゃくちゃ小せえ穴になってる。


 情報の量が多くて、頭がグルグルするぜ……。


「さあ、ゴマくんルナくん。この光に近づいてみて」


 プレアデスは尻尾をクイクイと動かしている。ボクらを呼ぶジェスチャーのつもりらしい。

 

「近づいても平気なのか」

「大丈夫だよ」


 恐る恐る、光り輝くドームに近づいてみた。

 目を凝らして見ると、そこには何と。

 ボクらより小せえ家、ビル、道路、公園、街明かり――どこまでも広がるミニチュアの街が、見えるじゃねえか。


「す、すげえな! 本当にあったんだな、テメエらの言うリソーキョーとやらがよ。ここに、服着て喋るネズミどもがいっぱい住んでやがるんだな! 見ろよ、ルナ!」

「すごーい……。すごいね、兄ちゃん。世界には、不思議な事がいっぱいあるんだね!」


 しかも、ボクらの棲家からこんなに近くの森の中にあっただなんて。

 だが、肝心のネズミの姿が見えねえ。

 もっと近づいて、光のドームの中の様子を見ようとした。

 だが。


「……って、ん? 見えねえ壁があってこれ以上近づけねえ」

「“結界”が張られてるんだよ。そこで、このトンネルの出番さ」


 プレアデスは、さっきの変な形の筒を指差した。

 片方の端は大きく、もう片方の端は小せえ、筒のようなトンネル。コレに入るのか? ……いや、くぐってる途中でつっかえるだろ。

 ツッコもうとした時、プルートのジジイの気持ち悪りい声が森に響いた。


「これぇがぁ? 私の開発したぁ、【ワームホール】ですぅ。研究を重ねた末、このトンネルはニャ〜ンと、“結界”を通過できるようになりましたぁ。ほらしょっと!」


 ジジイは“ワームホール”とかいう名のトンネルの、小さい方の端っこを、光のドームの端にそっと突き刺した。

 キラキラと光が舞って、トンネルの端っこがドームの中に入り込む。


「準備完了〜。そして、トンネルの大きい方の入り口をくぐればぁ? あぁら不思議ぃ。何者も入ることができるはずのない“結界”をする~りと通り抜けて、ネズミの街に入れるんですぅ」


 “香箱座り”でご機嫌そうに話すジジイの話を半信半疑で聞いていると、プレアデスも目をキラキラさせながらジジイの後に話を付け加えた。

 

「そして、このトンネルにはあと2つの効果があるんだ。1つは、くぐることで、僕たちはネズミと同じサイズになるんだ。もう1つは、地底世界にいる時と同じように、2足歩行も出来るようになれる。凄いでしょ」


 これ、大丈夫なのか……?

 

「ちゃんと、元に戻れるんだろうな?」


 まだ、完全にはコイツらの事を信用できねえ。

 ネズミと同じサイズになって、もう元に戻れねえとか、イヤだぞ……?


 プレアデスのドヤ顔を見るのも、ちょっと面倒になってきた。

 

「大丈夫。元に戻るには、ネズミの世界側……つまり小さい入り口の方からまた“ワームホール”をくぐれば、元の大きさになって、4足歩行に戻れるよ。ただし」


 ただし……、か。

 やっぱり、こういうのって面倒臭え条件があるんだ。

 で、それは(ニャン)だ?


「ネズミサイズになって2足歩行でいられるのは、だいたい48時間ぐらいかな。それまでに、頼んだ仕事を終わらせて、帰ってきてほしい。それから、ネズミたちには絶対に見つからないようにしてほしい」

「時間切れになったらどーなるんだ?」

「そのまま元のサイズに戻ってしまう。そうなるとどうなるかは分かるね。移住どころの騒ぎじゃなくなるだろう。それだけは絶対に避けたい。だから“ワームホール”から出た位置はしっかり覚えておいて、42時間以内に戻ってきてね」


 (ニャン)か、責任デケえ仕事押し付けられちまったな。

 ま、どーにかなるだろ。(ニャン)かあったらプレアデスのせいにしてやればイイ。


「兄ちゃん、終わったら寄り道せずにすぐ帰ろうね」

「ああ。ルナ、お前はもう少し肩の力抜きやがれ。こないだの“ニャンバラ”みてえな地獄とは違うんだ。せっかくだから楽しんでやろうぜ」


 ルナが緊張してやがるから、背中を少し舐めてやった。

 て事で、ネズミの住む“伝説の理想郷”へ潜入してネズミどもの様子を撮影するというミッション、スタートだ。

 

「じゃあプレアデス、てめえがまずその変なトンネルをくぐってみせろ」

「OK! よいしょっと」


 光のドームを覗くと、“ワームホール”の小さい方の出口から、チビになって2足歩行になったプレアデスが出てきやがった。

 さあ、君たちも早く、とでも言ってるんだろうか。声が全く聞こえねえ。


「はは、面白えなこいつは。チビのプレアデス、踏み潰してやりてえ」

「ダメ兄ちゃん!」

「分かってるよ。結界とやらに阻まれて踏み潰せねえって。じゃあ行くか」


 ……とその前に。


「プルートのジジイ、てめえはどうすんだ?」


 勝手に“ワームホール”とやらを持ち去られたりしたら困るから、念のために聞いておく。

 せっかく帰って来れたのに、ネズミの世界でチビになったまま置き去りニャんてゴメンだからな。


「私はぁ~、“パルサー”の修理をしなくてはならないぃのでえ? この近くにいますぅ。あなたたちが帰還してぇ、無事ぃ録画されたデータをぅ受け取ったらぁ、そこでお別れですぅ。そしてぇ私たちはぁ、地底へ帰りますうう。フヒヒ……」

「ふん、さっさと終わらせようぜ。ルナ、行くぞ」

「うん、頑張ろうね」


 ボクとルナは、トンネルに足を踏み入れた。

 中は虹色に輝いていて、進めば進むほど、どっちが天か地かわからねえ――。

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