表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記  作者: 戸田 猫丸
第1部〜未知なる地底世界編〜
PR
18/183

第18話〜地上へ帰る条件〜


「ねえ、帰りたいよ! メル姉ちゃんにもじゅじゅ姉ちゃんにも、ユキとポコにも会いたい! にゃあああん……!」


 気持ちを抑えられなくなっちまったんだろう。ルナが尻尾をブンブンしながらニャーニャー鳴き始めた。

 プレアデスの奴は、天井の方をボーッと見つめたまま何も言いやがらねえ。おい、これ以上じらすんじゃねえよ。


 と思ったら突然こっちを見て、いきなり頭をペコリと下げやがった。


「……ゴマくん、ルナくん。君たちの力を貸して欲しいんだ。“地上世界”へ行ってから、“ネズミたちが暮らす伝説の理想郷”へ、僕と一緒に行って欲しい。……それが、君たちを家に帰す条件……というより、お願い、だね」


 は?

 いや、待て待て。

 そんな有りもしねえ世界に行けだなんて、コイツ頭狂っちまったのか? いや、元々ニャーんか、怪しいと思ってたんだ。


「“伝説の理想郷”の場所ももう特定してあるし、そこへ行くための手段もある」

「おいプレアデス! テメエ、ボクらをおちょくってやがんのか!」


 ボクは、プレアデスのムカつくぐらい整った顔を思いっきり睨み、全身の毛を逆立てて威嚇しながら声を上げた。

 が、奴はビビるどころか、平然とした顔して言い返しやがる。


「からかってなんかない。真剣だよ。例の科学研究者は、ちゃんと“伝説の理想郷”へ行ったんだよ。写真があるんだ。見て」


 プレアデスは、“ニャイフォン”の画面を見せてきた。

 (ニャン)だ、ボヤけていてよく分からねえじゃねえか。画面全体が虹色になっていて、そこにうっすら、建物らしき影があるだけだ。

 こんなモン、証拠になんねえだろ。


 ついでに、毛むくじゃらのネコの顔も写っていた。プレアデスに聞いてみると、例の科学研究者とやらの姿らしい。


「てことで、まず最初に僕らは、例の科学研究者のいる研究所へと向かうよ。山奥にあるんだ」

「待てって。その怪しい科学研究者とやらに会えってのか? まだ、その条件を飲むって言ってねえぞ」

「ゴマくんたちは地上へ行きたいんでしょ? 例の科学研究者のマシンに乗らないと、地上へは行けないよ?」

「ぐ……」


 めちゃくちゃ胡散臭えが、地上へ行ったという科学研究者とやらを頼らなきゃ、ボクらは帰れねえらしい。ていうか、今のところ帰れる可能性としては、それしか無え。


 とりあえず、最後まで話を聞いてみるか。


「……その科学研究者とやらに会ってからはどーすんだ」

「研究所へ着いたら、科学研究者のマシンに乗って、山の中に隠された【地上へと繋がる穴】に入るんだ。地底世界は地上世界の真裏にあるから、地下へ潜っていけば地上に出るっていうわけ」


 本当にそれで帰れるんだな?

 ルナが不安そうにしながら、ボクにくっついてやがる。

 もし帰れなかったら、ネコキックじゃ済まさねえぞ。


「大丈夫だよ! 僕を信じて。それで地上に着いて、ネズミの住む“伝説の理想郷”のある場所へたどり着いたら、科学研究者の最新技術でもって、ゴマくんたちと僕はネズミと同じサイズになってもらう。そしてまた最新技術を使って、張り巡らされた【結界】を通り抜け、潜入するんだ」


 最新技術ばっかだな。

 ま、地上と行き来するくらいだから、その毛むくじゃらの科学研究者とやらは、ネコの中でも相当凄えネコなんだろう。どーでもいいが。


「ネズミと同じサイズになる? 信じられねえな。……で、そのネズミのリソーキョーとやらで、ボクらは何したらいいんだ?」


 怪しすぎて聞く気が失せちまいそうだが、まあ最後までは聞いてやるとするか。

 プレアデスは“ニャイフォン”の裏側を見せてきた。よく見ると、黒くて小さな丸いレンズみてえなものがくっついている。


「君たちには、“ニャイフォン”に付いているビデオカメラ機能で、“伝説の理想郷”に住むネズミがどんな暮らしをしているか、その様子を撮影してきてもらいたいんだ。あ、ネズミを襲って食べたりしちゃダメだよ」

「使い方が分かんねえよ」

「ちゃんと説明するから」

「それが終わったら、帰ってもいいのか?」

「撮影した映像データを僕に送信してもらったら、また“結界”を抜けて、“伝説の理想郷”から帰還するんだ。最新技術で元のサイズに戻ってもらったら、帰って大丈夫だよ。僕らもまた科学研究者のマシンで、ニャンバラへ帰るから」


 要は、地上のどっかに、服着て言葉を喋るネズミどもが暮らす平和な世界がある。

 で、地底に住めなくなりつつあるニャンバラの奴らが、科学研究者とやらの最新技術でネズミサイズになって、そのネズミの住む世界へ移住しようとしてるらしい。

 だが、ネズミの世界とやらがどんな所かは、ニャンバラの奴らも知らねえ。

 だからちょっと様子を見て来るのを手伝えと。そういう事らしい。

 

 胡散臭さしかねえが、棲家に帰るためだ。ここは一旦、条件を飲むか。

 ルナが力のない声で聞いてくる。

 

「……兄ちゃん、大丈夫なの?」

「ああ、やるしかねえみてえだ。おいプレアデス、仕方ねえからやってやる。本当に、地上へ行けるんだな!? 嘘ついたら、必殺ネコキックだからな」

「ありがとう! やってくれるんだね! よろしく頼んだよ、ゴマくん、ルナくん!」


 闇の中、天井から落ちる水滴の音が響き続ける。こんなおかしな世界なんか、さっさとおさらばしちまいたい。

 ボクはもう、プレアデスの声を聞きたくはなかった。なのに、まだ奴は話を続けやがる。


「科学研究者の最新技術についてちょっと話すね。さっきもチラッと言ったけど、ネズミの住む“伝説の理想郷”には、何重もの“結界”が張られてるんだ。そこで、科学研究者が開発したトンネル状の発明品を“結界”にくっつけて、中をくぐれば……」

「あーうるせえうるせえ。難しい事はそこに着いてから説明しろ」

「じゃあゴマくん、ルナくん、支度が終わったら一眠りして、山奥にある研究所に向けて出発しよう!」


 プレアデスは袋から出した魚を頭から丸かじりした後、すぐに丸くなって眠りこけてしまった。


 ほんの少しだけ見えた希望。

 じめじめした地下室の中で、ボクもルナも眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ