表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
319/322

八巻(二十)

ハエルヌンによる春(七)

 初夏[七月]。

 鹿()(しゅう)(かん)の跡地に、薔薇園[執政府]を移築した。その資金を薔薇園はラウザドから借りた。

 ラウザドに出向いた際、サレがオルベルタ[・ローレイル]に、「少なくとも倍にして返してもらえよ」と言うと、彼は、「いえいえ、十二分に儲けさせていただいておりますから」と手を振った。

「まあ、儲け過ぎもよくないからな。私も、さいきん気をつけなければならないと常々思っている。本当だぞ」

 そのようにサレが口を開くと、一瞬、お互い真顔になった後に、ふたりで笑いあった。


 塩賊が退治され、塩田の操業と塩の運搬に支障がなくなると、ようやく、塩券の値が、前の大公[ムゲリ・スラザーラ]存命中に、見劣りしない額にまで戻った。それには、近北公[ハエルヌン・スラザーラ]の治世に入ったことも、大きく作用していたことだろう。

 この値段で売るのならば、父ヘイリプのさまよう魂が荒ぶることもあるまいと、サレは塩券を渡すことで、オルベルタに負っていた借金を帳消しにした。

 ようやく金に縛られる生活が終わって、サレは晴れ晴れとした気分になり、持病の胃痛も少し良くなった。

 そして、隠居をさらに強く願うようになった(※1)



※1 そして、隠居をさらに強く願うようになった

 後年、ホアラの整備に加えて、ウストリレ進攻問題で金が必要になると、サレは金に困る暮らしを常に送った。

 この窮乏が、長子オイルタンを、進攻推進派に(くみ)させた要因のひとつと考えられている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ