第四十六章:運命の最終リール。魔王の引きと「スベリ制御」の罠
「ガコンッッッ!!!!!」
世界を賭けた最後の遊戯機『ラスト・ジャッジメント』のリールが、凄まじい風切り音を立てて回転を始めた。
この1ゲームにすべてが賭けられている。先に『確定役』を揃えた方が勝ち、外した方は魂をすべて吸い込まれて即死する。
「ハハハハ! 勇者よ、いかにアリアのハイビスカスが光ろうと、エルのラムクリアが店長権限を止めようと、この台の内部確率は『一律1/2のガチ勝負』! 貴様の設定6の引きか、私の絶対支配の執念か、どちらが勝つか勝負だ!」
魔王・ザ・マネージャーが、狂ったような笑みを浮かべて右リールを叩いた。
タンッ!
『出目:右リール・死(最強トリガー絵柄)』
「何っ!?」
アリアちゃんが息を呑む。
魔王のリールには、不気味な骸骨が描かれた『死』の絵柄がピタリと止まっていた。
「ククク、続いて中リールだ! ──オラァッ!」
タンッ!
『出目:中リール・死』
「死・死」のダブルテンパイ。あと一つ、左リールに『死』が止まれば、魔王の勝利(=俺たちの即死)が確定する。魔王の顔が勝利を確信して歪む。
「さあ、次は貴様の番だ、勇者! 叩き潰してハズレを拝ませてくれるわ!」
俺は冷や汗を流しながら、超高速で回転する俺側のリールを見つめた。
狙うべきは、黄金の『7』。
だが、魔王が仕組んだ最後のイカサマ──物理的なリール制御が、俺の指を狂わせようとしていた。
「くっ……! エルが機能停止しているせいで、リールのスベリ(停止制御)が不規則にブレやがる……! これじゃビタ押ししても、内部の『スベリ制御』でハズレに逃げられる!」
パチスロには、どれだけ正確に押しても、台のプログラムが「ハズレ」と判断すれば、最大4コマ滑ってハズレ目を止める仕組みがある。
完全なる1/2のガチ勝負。
もしここで台に「ハズレ」と判断されていれば、俺の目押しはすべて無駄になる。
「……巡。諦め、ないで」
その時、アリアちゃんの隣で横たわっていたはずのエルが、カタカタと関節のノイズを鳴らしながら、奇跡的にその青白い瞳を開いた。
「エル!? 動くな、お前の基盤はもう……!」
「私の……最後の、1バッファ(残存魔力)……使う。
スベリ制御、強制……固定完了……。狙って、巡!」
エルの瞳から放たれた最後のデバッグ光が、ラスト・ジャッジメントの基盤に直撃した。
台の警告ランプが激しく点滅し、スベリ制御が完全に無効化される。
つまり──『押した位置から、絶対に1ミリも滑らずに停止する』という、究極の技術介入状態が生まれたのだ!
「エル……! よくやった! これならスベリのイカサマは通じねぇ!」




