第四十一章:魔王・ザ・マネージャー(店長)との対峙
そこに座っていたのは、漆黒のオーダーメイドスーツを完璧に着こなした、白髪混じりの男だった。
その風貌は、どこか威厳のある老紳士のようでありながら、瞳の奥には冷徹な経営者の光が宿っている。
彼の右手には、液晶画面に世界の数値がリアルタイムで表示された、薄型の『管理者用タブレット』が握られていた。
「ようこそ、我が『ホール』へ。期待値稼働を徹底する、厄介なプロ(勇者)の君」
男は立ち上がり、静かに一礼した。
「私がこの世界の『店長(システム管理者)』であり、魔王軍を率いる最高責任者──『魔王・ザ・マネージャー』だ」
「ザ・マネージャー……。そのまんま『店長』じゃねえか、テメェ!」
俺は聖剣の先を魔王へと向けた。
「お前が世界の設定を握り、裏で確率を操作し、有利区間というクソ規制で勇者たちをハメ殺してきた張本人だな?」
「ハハハ、人聞きが悪いね。私はただ、この世界の運営コストを回収し、秩序ある『通常営業』を維持していただけさ。客(人間)に適度な夢(高設定の噂)を見せつつ、決して店が潰れないように回収する。これのどこが悪いのかね?」
魔王は手元のタブレットを優雅に操作しながら、冷酷に微笑む。
「……エルのような、設定Lの失敗作を作るのも、秩序?」
エルが、静かに一歩前に出て魔王を睨みつける。
「おや、Lじゃないか。君のような『機械割を極限まで下げるデバッグ用基盤』がまだ動いていたとはね。本来なら廃棄処分されていたはずだが、まさかそのバグを利用して、私の有利区間の壁をぶち破るとは、想定外のイレギュラーだよ」
魔王はエルの存在をゴミのように一蹴すると、再び俺に視線を戻した。
「勇者君、君は確かに優秀な打ち手だ。目押し技術も、引きの強さも、プロと呼ぶにふさわしい。だが……忘れてはいけないよ」
魔王がタブレットの画面を強く叩く。
その瞬間、部屋全体のサーバーラックが一斉に真っ赤に発光し、狂ったようなエラー音が鳴り響き始めた。
「どんなに引きが強かろうが、設定が良かろうが……プレイヤー(君)は、管理権限を持つ店長(私)には、逆立ちしても勝てないという絶対のルールをね」
魔王の足元から、これまでの四天王たちとは次元の違う、システムそのものを書き換えるような、おぞましい『管理者の闇』が溢れ出してきた。
俺の『スロット・マニアック』の画面が、見たこともないスピードでノイズに塗れていく──。




