第二十九章:軍資金(魔石)はカンスト。ついに魔王城がその姿を現す
数時間後。
ベガスロの街は、奴隷解放の歓喜に沸き返っていた。
俺たちは、コロシアムの控え室で、ようやく魔石の集計を終えたところだった。
『ピピピピピ……警告:計数メーターが限界値に到達しました』
『現在の所持魔石:999,999個(これ以上は表示されません)』
「カウンターストップ……! 夢のカンスト達成だぜ!」
これだけあれば、魔王城の決戦でどれだけ『投資(魔力消費)』がかさもうが、一歩も引かずにレバーを叩き続けられる。
俺はカンストした魔石を使い、アリアちゃんとエルに、最高クラスの防具を購入して与えた。
アリアちゃんには、身体のラインがこれでもかと強調される、防御力と撥水(粘液防止)性に優れた『神聖のハイレグアーマー』。エルには、小さな身体にフィットする漆黒の『ゴシック・デバッグドレス』だ。
「うぅ……勇者様、この防具、なんだかお尻のあたりがスースーして恥ずかしいです……」
「似合ってるぞ、アリアちゃん。モチベーション(設定)維持には見た目が重要だからな」
「……私、このドレス気に入った。巡、ありがとう」
エルが少し照れたようにマントの端を握る。
そして、俺はジャックの遺品から手に入れた、奇妙なクリスタルのカードキーをポケットから取り出した。
【アイテム:有利区間の鍵】
【説明:魔王城に張られた「差枚数2400枚規制」の結界を解除する唯一のアイテム】
「やっぱりな。魔王の野郎、自分が負けそうになったら強制的にバトルを終了させてリセットする『有利区間』の結界を張ってやがるんだ」
どんなに強い勇者が現れても、一定のダメージ(出玉)を与えた時点で強制的に「初期状態」に戻される。だからこれまで誰も魔王を倒せなかったのだ。
「だが、この鍵があれば、有利区間を『ツラヌキ』仕様に変更できる。
魔王を完全に消滅させるまで、俺の特化ゾーンは終わらねぇ!」
街の外へ出ると、遠くの地平線に、ドーム状の半透明な「有利区間の壁」に覆われた、禍々しい魔王城がその姿を現していた。
「行くぞ、二人とも。次が最後の戦い(実戦)だ」




