第二十三章:ギャンブル勝負! 期待値マイナスのデスゲーム
ベガスロの最上階、ロイヤル・スロットルーム。
そこは、全面が黄金とクリスタルで装飾された、眩暈がするほど豪華な部屋だった。
部屋の中央には、一台の漆黒のパチスロ筐体が鎮座している。
そのリールには数字ではなく、人間の部位(首、腕、心臓)の絵柄が描かれていた。
「よく来たね。待っていたよ」
豪華な革張りのソファに腰掛けたジャックが、グラスを傾けながら微笑む。
その背後の壁には、巨大な液晶画面があり、そこにはベガスロの街で働く奴隷や、人間たちの姿がリアルタイムで映し出されていた。
「さて、ゲームの説明をしよう。
ルールは簡単だ。君たちには、その『デス・ダイス・スロット』を回してもらう」
「ただのスロット勝負か? なら俺の設定6で——」
「いや、違う。この台のベース確率は、設定1〜6のどれでもない。
我がカジノの独自ルール……『設定マイナス(控除率99%)』だ」
ジャックの言葉に、俺の脳内メーターが危険信号を点滅させた。
設定マイナス。
つまり、内部確率は「絶対に当たらない」ように書き換えられており、プレイヤーがレバーを叩けば叩くほど、100%の確率で負け(投資損)が発生する、数学的に必敗の悪魔のゲーム。
「ふざけるな! 期待値がマイナスの台なんて、誰が打つか!」
パチプロの鉄則。
期待値がプラスの台だけを打ち、マイナスの台からは即座に席を立つ。
それが鉄の掟だ。
「ククク、拒否権があると思っているのかい?」
ジャックが指を鳴らすと、背後の大画面に映る街の奴隷たちの首輪が一斉に赤く発光した。
「君が1ゲーム拒否するたびに、街の人間を100人ずつ、頭部を爆破させて処刑する。
……さあ、パチプロのプライドと、10万人以上の命、どちらが重いかな?」
「テ、テメェ……!!」
アリアちゃんが恐怖で俺の背中に隠れ、エルも静かに拳を握りしめる。
「さらに、このスロットはメダルではなく、君たちの『生命力』と『衣服』をベット(賭け金)してもらう。1ゲームごとに、同行している女性陣の服が破かれ、肌が切り刻まれるペナルティが発生する。……さあ、レバーオンだ、勇者。君の『設定6』の引きとやらで、この100%負けるゲームを覆してみせたまえ!」
ジャックが邪悪な笑みを浮かべ、デス・スロットのレバーが怪しく光る。
期待値マイナス99%、負ければ仲間が血塗れの苗床になり、拒否すれば大虐殺。
パチプロ人生最大の、そして最悪の「無理ゲー」が、今始まった。




