第十九章:レバーが叩けない!? 勇者、最大のピンチ
「勇者様ぁぁーーーッ!!」
フリーズの結界の外にいたアリアちゃんが、硬化した俺を見て悲鳴を上げた。
「ウフフ、まずはその綺麗な顔をズタズタにしてあげる!
純増100枚のコインマシンガン、喰らいなさい!」
リリスの下腹部にあるメダル払い出し口から、刃物のように研ぎ澄まされた、血塗られた鉄メダルが音速で掃射された。
シュバババババババッ!!!
「ガ、ハッ……!?」
動けない俺の身体に、無数のメダル刃が突き刺さる。
皮膚が裂け、肉が削ぎ落とされ、鮮血が噴き出した。
痛い。クソ痛い。
だが、悲鳴を上げることすら筋肉が固定されていて許されない。
肉体がジワジワとミンチにされていく生々しい恐怖。
「させませんっ! 『聖なる盾』!!」
アリアちゃんが俺の前に飛び込み、必死に魔法の障壁を展開した。
しかし、裏モノの純増100枚という圧倒的な火力の前には、聖女の結界も一瞬でヒビが入る。
ドガガガガガガガッ!!!
「嫌ぁぁぁっ!?」
漏れ出たメダル刃の風圧と衝撃波が、アリアちゃんの手に入れたばかりの高級聖職衣を容赦なく切り裂いていく。
ビリビリに引き裂かれた布地の間から、粘液を帯びたメダルの破片が彼女の白い肌をかすめ、太ももや脇腹から赤い血がツッと流れた。
衝撃でアリアちゃんの下着の紐がちぎれ、豊かな胸が半分以上露出した状態で、彼女は激痛に顔を歪める。
「うぅ……っ、勇者様、早く、早く動いて……私、もう、持ちません……!」
(くそっ……! レバーだ、脳内のレバーに手が届けば……!)
俺の指先から、脳内のスタートレバーまでは、距離にしてわずか数センチ。
だが、その数センチが無限の距離のように遠い。
レバーが叩けない。
パチプロがレバーを叩けないということが、これほどまでに絶望的で無力だとは思いもしなかった。
「アハハ! 終わりよ勇者! 次の一撃で、その女ごとハデに『確定(死亡)』させてあげるわぁ!!」
リリスの液晶に『DEATH』の文字が揃い、極太の破壊光線が俺たちの頭上に充填されていく。
万事休す。
設定6の最強勇者が、レバーを叩くことすらできずに敗北する——その瞬間だった。




