第十三章:激闘! ビタ押しで敵の装甲の『継ぎ目』を狙え!
「死ね、勇者!」
機巧のアーマーが右腕を巨大なドリルに変形させ、凄まじい回転を上げながら突っ込んできた。
「勇者様、危ない!」
アリアちゃんが咄嗟に防御魔法の障壁を展開するが、アーマーのドリルはそれを紙切れのようにブチ破る。
「キャァッ!」
衝撃波でアリアちゃんのスカートがハデに捲れ上がり、可愛らしい刺繍の下着が露わになるが、今は突っ込んでくるドリルを避けるのが先決だ。
ギギギギギギッ!!!
俺は聖剣でドリルを受け止めるが、相手のパワーが圧倒的すぎる。
しかも、脳内でレバーをどれだけ叩いても、アーマーの遠隔魔波のせいで全て「ハズレ」か「押し順ミス」に書き換えられ、攻撃が全く通らない。
みし、みし……と聖剣が軋む。このままだと、俺の身体ごとドリルでミンチにされる。
「ハハハ! どうした、自慢のスキルはどうした! 早くレバーを叩いてみせよ!」
「くそ……なら、レバーオンのタイミングじゃなく、『目押し』でねじ伏せるまでだ!」
パチスロには、リールを狙った位置に1コマの狂いもなく止める『ビタ押し』という技術がある。
いくら内部でハズレに操作されようと、リールが物理的に回っている以上、ボタンを押した瞬間(1/60秒の猶予)の制御を完全に上回る完璧なタイミングで押せば、システムは強制的に図柄を揃えざるを得ない!
「アーマーの野郎、遠隔でリールの回転速度を不規則に変えてやがる……。
だが、俺の目は誤魔化せねぇ!」
動体視力を極限まで研ぎ澄ます。ドリルが俺の胸元に迫り、服が摩擦熱で焦げ、皮膚が裂けて血が滲む。
「ここだぁぁぁッ!!!(ボタン強打)」
タンッ!!!
脳内で、滑っていたリールがピタッと1コマで停止した。
『ピキーン! 技術介入成功:ビタ押し完了! 契機:強スイカ』
「な、何ぃっ!?」
アーマーが驚愕の声を上げる。
俺の聖剣に超高電圧の雷が宿り、アーマーの頑強な鋼鉄の装甲の、わずか数ミリの『継ぎ目』へと正確に突き刺さった。
ドズバァァァッ!!!
「ギャァァァァーーーッ!?」
電撃が内部に伝わり、アーマーの左半身の装甲が激しく弾け飛んだ。
装甲の隙間から見えたのは、歯車や機械パーツだけではない。
ドロドロとした赤黒い肉塊と、不気味に波打つ内臓、そして機械油と混ざり合った腐臭のする生血がブシャァァァッと周囲に撒き散らされた。
「う、うぇぇ……中身、めちゃくちゃグロいじゃねぇか……!」
「あ、あの四天王、機械のフリをして、魔物を生体改造して作った化け物だったのですね……!」
アリアちゃんが口元を抑えて青ざめる。
「我が肉体が、我が美しい機巧がぁっ! 許さん、許さんぞ人間にぃぃぃ!!」
半分生身のグロテスクな姿を晒したアーマーが、狂乱状態で残った左腕のガトリング砲を起動した。




