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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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74:幸せな朝帰り

自室に戻った俺は、まずベッドにダイブする。

信じられなかった。

まだ夢を見ているみたいだ。


ベリルが俺のことを好きだと言ってくれた。


そして今、朝帰り。


奇跡的なハプニングで、俺は服を着ていないベリルと一緒に、ベッドで寝ていた。


目覚めた瞬間はパニックだった。でも確かに俺の脇腹辺りに、とてつもなく柔らかく温かく、心地よい感触が……。あれは間違いなく……。


頬が緩む。


ルビーのように煌めく綺麗な二重の瞳。

通った鼻筋に、チェリーレッドの唇。

ワイン色の美しい髪。

雪のような肌の白さ。


強い魔力を持ち、聡明で、次期当主にふさわしい才覚を持つ美少女。


そのベリルが、俺なんかのことを好きになってくれた……。


目を閉じ、ついさっきの出来事を思い出す。


俺が部屋を出ようとした時。

ベリルは突然俺の腕を引っ張り、部屋に引き戻した。

そして閉じた扉の前で俺と向き合った。


細い腕を俺の首に絡めると、ぐいっと自分の方へ引き寄せ、ベリルは耳元で甘く囁いた。


「拓海、また今晩来て」


もうその言葉だけで、俺は腰砕け状態だった。そこへダメ押しのように、首に甘く噛みついた。


痛みより快感が勝り、そのまま意識を飛ばしたくなったが、それをグッと堪えた。


堪えてベリルを強く抱きしめた。


「もちろんだよ」


そう答えた俺に見せたベリルの笑顔は……心からの笑顔だ。


ルビー色の瞳の奥には、一点の曇りもなかった。


ああ……。

思い出すだけで胸が震える。


首元のシルバーのネックレスに触れた。

ベリルの顔と、甘く切ない感覚が沸きあがる。


そばにベリルはいないが、余韻だけで一日過ごせそうな気がした。


……いや、ダメだ。準備しないと。


俺はまず、シャワーを浴びることにした。

ぬるめのお湯を浴びながら、今日の予定を思い出す。


今日は午前中、ベリルはレオと乗馬デート、午後はエクリュと美術館デートだ。別荘の敷地内には、レッド家が所有する絵画を展示した、私設美術館があった。


午前中、ヴァイオレットが警護、午後はキャノスが警護で、俺は仕掛け人。


ちなみにお昼は、街から招いたキッチンカーの料理を好きなだけ食べていいという、夢のような企画だ。キッチンカー、それは調理設備を備えた車のことだった。


そう、この異世界にも車は存在している。


ただ、車はせわしなく動く市民のための乗り物。時間に余裕があり、ゆったりとした時の流れを好む上流階級の者は、あえて馬車を使っていた。もちろん車も所有しているが、使うことは滅多にないという。


シャワーを終え、タオルで全身の水気をとる。


予定のない午前中は、トレーニングルームでボクシングの練習。それと……中庭での剣術の練習の許可も出たから、今日は二本立てで訓練に励める。


俺は着替えを終えると、部屋を出た。

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