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完結●異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】死亡フラグ遂行寸前編

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73:好きだ。誰にも渡したくない

「べ、ベリル」


「なんだ?」


「その、昨晩、ベリルは俺のこと……」


「ああ。私は拓海のことが好きだ」


「……!」


夢じゃない。現実だった!


「どうして、俺のことを……」


「どうして? 理由が必要なのか?」


「いや、それは……」


「気づいたら好きになっていた。拓海から目が離せなくなっていた……それではダメか?」


「だ、ダメなわけないよ!」


照れる俺を見て、ベリルは微笑む。


「これが好きという気持ちかと自覚したのは……決闘があったあの日だ。拓海が私を庇って倒れ、死んでしまったのかと思った時、とんでもない悲しみに襲われた。そしてその悲しみが、拓海を好きという気持ちから起きたものだと自覚した」


「ベリル……」


「その後、お前が『ザイド』にさらわれそうになった時、誰にも渡したくないと思った」


迷いのないルビー色の瞳にまっすぐ見つめられると、もうそれだけで俺はメロメロだった。


「拓海は私のことを好きか?」


「⁉」


ベリルのことを好きか⁉

それはもちろん……好きに決まっている。

でもベリルは好きにはなってはならない存在だと思っていた。


だから、好きと認識しないようにしていて……。


この別荘に来てから感じた、モヤモヤや落ち着かない気持ち。それはベリルを好きだから感じた気持ちに違いなかった。


「……拓海は私を好きではないのか」


ベリルが寂しそうに瞳を伏せる。


「違うよ、ベリル! 俺は……俺は……ベリルのことが……」


言ってしまっていいのだろうか、好きだと。


ベリルが顔を上げ、俺のことを見る。

ルビーのような美しい瞳が、俺の心を捕える。

その時、自覚した。

俺の心はとっくの昔に、ベリルの虜になっていたのだと。


ゆっくりとベッド降りて、ベリルに歩み寄る。


「好きになってはいけない存在だと思っていた。だからこの別荘に来てから、自分の中で渦巻く気持ちを、ずっと持て余していた。でも自覚した。もうとっくの昔に俺の心は、ベリルの虜になっていたと」


心臓が信じられないぐらい高鳴っている。

俺はベリルの両腕を掴んだ。


「ベリル、好きだ。誰にも渡したくない」


その瞬間ベリルが俺を抱きしめ、俺もベリルを抱きしめた。


「……ベリル、どうして昨晩気持ちを伝えてくれたんだ?」


「それは拓海が本気だと分かったから。本気で私のことを想い、兄上を探し出そうとしていると分かったから」


「うん。もちろんそれは本気だよ」


「本当は……拓海のその挑戦が終わってから、気持ちを伝えようとも考えた。とんでもないサプライズになるだろう? でも、失敗したら……告白なんて、できない。だから先に告げることにした。それに私の想い人が誰であるか分かった方が、拓海はやる気になるだろう?」


「さすがだな、ベリル。ぬかりないな。……でも」


ベリルが顔を上げる。


「でもどうして告白した後、あんなに連続で吸血したんだ……?」


分かりやすく、ベリルは顔を赤くした。


「あれは……。恥ずかしさを誤魔化すためと、ずっと我慢していた拓海の、恍惚とする顔を見たかったのと……それと私も気持ち良かったからだ」


「え……」


「拓海の血を吸うと、なぜか私も気持ちがよくなる。ヴァンパイア同士の吸血であれば、双方が快感を覚える。でも拓海はヴァンパイアではないのに……」


ベリルは照れを隠すためか、顔を俺の胸の中に戻す。


「そっか……。てっきり快感を覚えるのは、俺だけだと思っていたら……。ベリルが気持ちよくなるなら、それにこしたことはない」


俺はベリルをギュッと抱きしめた。


「……ベリル、今日は一日一緒にいたい。もう婚約者候補達に、ベリルがちやほやされるのを見たくない」


すると。

ベリルは俺から体を離す。


「そうしたい気持ちは山々だが、まだ父上に何も話していないし、皆が準備をしてしまっている。今はまだ我慢して欲しい」


凛としたその言動は、次期当主のそのものだ。


「……そうだな。じゃあ、俺も部屋に戻って、準備しないと……」


名残惜しいが仕方ない……。


「拓海」


俺の名を呼びながら、ベリルは首につけていた細いシルバーの鎖状のネックレスを外す。


「これをお前につけておく」


ベリルは腕を伸ばし、俺の首にネックレスをつけた。


「それを私だと思うといい。寂しくなったらその鎖に触れ、私のことを思い出せ」


俺はその細い鎖に指で触れてみる。


……! なんだろう。なんだか不思議な感覚がする……。


甘く切ない感覚が沸きあがる。


「……ベリル、ありがとう」


俺はベリルを抱きしめた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます‼

本日もゆるりとお楽しみください。

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