この酔っぱらい共が
料理はとても美味しかったし、私も一人前半くらいは食べたけど、さすがにそれ以上は無理だった。観音も大人の一人前以上は食べてたと思う。
だけどダンナは、観音と私が食べきれなかった分をしっかりと食べてしまってた。
でもその後で、
「ふう……さすがに食べすぎたかな……」
そんなことを言いながら胃薬を。
坂口さんも、全部食べさせるつもりで出したわけじゃないと思う。満足してほしかったから、
『物足りないよりは残るくらいで』
ってことでこのボリュームにしてくれたんだと思うんだ。なのにダンナは、
「いや、やっぱりもったいないから」
と、少し無理して食べきった。
ホントに、さすがにどうなの? とは思ってしまうかな。
片付けには、仲居さんと一緒にまた坂口さんも来て、
「まさか本当に全部食べるとは……」
<旅館の主人>じゃなくて、<ダンナの地学仲間>の顔になって思わず呟いてた。
食事を終えて少し体を休ませて、それからまた観音は露天風呂に。
私も一緒に入ったんだけど、ダンナだけは、
「僕は今日はもういいかな……」
腹を抱えながら大儀そうに座椅子にもたれかかってた。
「もう、無茶するんだから」
私も思わず苦笑い。だけど、そんなダンナの姿もなんだか可愛くて好きなんだ。
で、結局、観音と私は、その後でさらに一回、露天風呂に浸かって、さすがにちょっと疲れたかな。
観音は、旅館に来るまでの移動の疲れもどっと出たのか、布団に寝転がってスマホでアニメを見ていたと思ったら力尽きていつの間にか眠ってた。
その姿がホントに小さかった頃の彼女と変わらなくて。
「可愛いなあ……♡」
つい口に。
「そうだね……」
ダンナもすごく優しい表情で。
それから私とダンナは、観音を部屋に残してロビーに出て、坂口さんと軽く飲みを。これが、彼女が小学生だったりしたら一人にはしなかったんだけど、さすがにもう中学生だからね。
日本酒を手に三人でテーブルに着くと、坂口さんもすごく柔和な表情で、でも、
「しかしお前も、前の奥さんとは真逆なタイプの女性と再婚したんだな」
なんだか<悪友トーク>に。どうやら先に始めてたみたいだね。もっとも、ダンナも夕食の時にビールを少し空けてたから、似たようなものか。
「まあな。だけど、二人とも本質的に似たところがあるんだぜ」
しかも、なんだかしゃべり方が若い。昔に戻ってる感じかな。
「ほう? と言うと?」
「二人ともすごく『我が強い』んだよ。しっかりと<自分>を持ってるんだ」
「ははっ! なるほど!」
本人を目の前によくもまあ、この酔っぱらい共が。
だけど、嫌な気分じゃなかった。坂口さんもすごく気のいい人だって分かる。なるほどダンナと気が合うくらいだからか。




