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鼻歌

「~♡」


温泉に浸かった観音(かのん)は、本当に嬉しそうに鼻歌を歌ってた。今、彼女が一番気に入ってるアニメの歌だというのは私にも分かった。


それが出るということは、彼女は本当に上機嫌なんだ。


中学二年になる娘と一緒にこうやって父親も揃って露天風呂に入るなんて変だと言う人もいると思う。だけど、私達はお互いにただ<人間>だってことをわきまえてるだけなんだよね。男とか女とかいうのと同時に、ただの人間なんだ。


もちろん、男と女が『まったく同じもの』だなんて言うつもりはないよ。同じ人間でありつつ違うものだっていうのも分かってる。だから、完全に分かり合えることなんてないのも分かってる。


でもさ、その上でやっぱりお互いただの<人間>なんだよ。これも事実なんだ。


そして、違ってる部分も含めて、私達はお互いを認められてる。私達にとってその<違い>は、本当に些細なものなんだ。


観音(かのん)にとっても、男性である父親の体なんて、<美しいもの>では決してなくても、積極的に見たいと思うようなものでもなくても、だからって汚物のように嫌悪するほどのものでもないんだ。『そういうもの』でしかないんだよ。


「しっかしお父さん、老けたよね。じじい~♡」


ダンナの姿を改めて見た観音(かのん)が、「にししし♡」と笑いながらそう言った。だけどそれは決してバカにしてるんじゃないのが、声の調子と表情から伝わってくる。


これも要するに、娘と父のコミュニケーションでありレクリエーションなんだ。観音(かのん)は決して本気で自分の父親をバカにしてるわけじゃない。


だって、ダンナは、彼女をこの世に送り出した張本人で、しかも、この世の誰よりも彼女の存在を認めてくれてる人なんだ。そんな相手をどうしてバカにしなきゃならないの?


自分のことを勝手にこの世に送り出しておいてそれでペット扱いとか自分の夢を実現するための道具扱いとかただただストレス発散用のサンドバッグとかにしてる親じゃないんだ。観音(かのん)の父親は。


だから私も彼に惹かれたんだ。彼がそういう人だから。年齢差とか、子連れだとか、そんなの関係なしに。


むしろ、変にイケメンだったりしたらライバルが多すぎてきっと彼の視界に入ることもできなかっただろうなって思う。


外見とかの条件で選ぶのも人それぞれだけど、正直、それで幸せを掴めずにネットとかで延々愚痴を垂れ流してるような人も多いよね。


うちと同じで、上手くいってるところはそんなことする必要もなくて目立たないんだろうけどさ。


だけどとにかく、三人一緒に露天風呂は、最高だった♡



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