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エンターテイメントショー

普通のフィクションとかだったら、ここで、観音(かのん)の母親が突然帰国して私達の前に現れてしっちゃかめっちゃかに掻き回していったりするんだろうけど、少なくとも私達の場合はそんなことは起こらなかった。


ただ、ネットのニュースとかで、時々、観音(かのん)の母親がデザインしたというブランドバッグのことについて触れられてるのを見ることがあるくらいで。


観音(かのん)はそれを見ても、


「ふ~ん」


と、興味もなさそうな様子だった。


「あの人はあの人だし、私は私だし。かんちゃんがいてくれたら私はなんにも困らないよ」


って言ってくれた。


授業参観にも行ったりしたけど、他の保護者の中に、何となく私のことを噂してるんだろうなって感じの人もいたりしたけど、私はそんなのも気にしないようにしてた。これもやっぱり、フィクションなら感情的になって<イベント>を起こして物語を盛り上げたりするんだとしても、私達にはそんなの必要ないから。


何より、私達は、自分の人生を、


<エンターテイメントショー>


として切り売りして他人を喜ばすために生きてるんじゃないんだ。


他人の人生をエンターテイメントとして消費して、『面白い』だの『つまらない』だの言う人間の慰み物になりたいとか思わない。


<普通じゃない人生>


を送ってるからって、皆が皆、波風立てて生きてるわけじゃないんだよ。上手くいってるところは平穏に淡々と生きてるから、目立たないだけなんだ。


ネットで愚痴をこぼす必要もないしね。


上手くいってない人は、上手くいってないから泣き言を並べたり愚痴をこぼしたりして他人の目に留まるだけでしょ。


そういうのを知ろうともしないで、


『結婚なんて人生の墓場。地獄』


とか、


『子連れ再婚なんて上手くいくはずがない』


とか、分かったようなことを言わないでほしいと思う。


もう一度言うけど、


『本当に上手くいっているところほど目立たないし他人に知られることがあまりない』


んだ。


『上手くいってないところが悪目立ちしてる』


だけ。


たぶん、私達の事例を<物語風>に仕立てたって、谷もなければ山もない、ただただ単調なだけの日記みたいになってしまって、きっと、話題になんかならないだろうな。


そういうことなんだよ。


でも、私達自身は、それでいいと思ってる。変に他人に注目されたりして見世物になりたくないから。


観音(かのん)も言ってる。


「私も、クリエイターを目指してるから、『注目されたい』っていう願望自体はあるんだけど、プライベートを切り売りしたいとは思わないんだ。だから、本名とか顔とかは一切出さないつもりだよ」


ってね。


私もそれがいいと思う。



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