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甘えられる相手

この時の観音(かのん)には、とにかく甘えられる相手が必要だったみたい。


いつも以上にたっぷりと甘えることで、自分を癒し、ストレスを緩和する。しかも、それまで甘えられてなかったわけじゃないから、甘えられなかった部分を取り戻そうとするような際限ない甘え方じゃなくて、休日にリゾートでリフレッシュするようなって感じかな。


一緒にいる間はほとんどずっと私にべったりで、お風呂では私の膝に座って私が洗ってあげて、お風呂の後もリビングで私の膝に座って、ずっとアニメを見てた。


世の中ではこういう時、


『甘やかすな!』


っていう意見も多いかもしれないけど、それは、甘えさせることで際限なく甘えてしまうことを懸念してるのかもしれないけど、そういうのは、普段、甘えられていないのを、取り戻そうとしてのことだと感じてる。


普段から十分に甘えられていれば、こういう時に取り戻そうとする必要はないんじゃないかな。


ここまで普段の彼女の様子を見てきて、かなりちゃんと甘えさせてもらえてきて、でもそれは、『甘やかされてる』っていうのとは違うのを実感した。


『甘やかされてる』っていうのは、実は、子供以上に大人の方が甘えてるんだって感じてる。本来かけるべき手間を、おもちゃやゲームやお菓子といったものをあてがうことで逃れようという、


<大人の側の甘え>


なんじゃないかな。子供が納得するまで言葉に耳を傾けて話を聞いて安心させるというのが『甘えさせる』ってことだと私は感じてる。


それはきっと大変な手間だと思う。時間も掛かる。親にとっても辛いかもしれない。だけど、子供が辛い思いをしている時に、親が、自分が楽をすることを優先している姿勢が見えてしまったら、子供はどう感じるのかな。


『子供をこんな大変な世界に勝手に送り出しておいて、自分はとにかく楽をしようとしてる』


みたいに見えてしまわないかな。そういうのが透けて見えてしまったら、親を信頼しようっていう気になれるかな。


『親は普段から大変なんだ!』


と言うかもしれないけど、子供が辛い思いをしている時にまで自分の辛さばかりを主張する姿がどう見えるのか、考えることもできないのかな。


赤の他人ならともかく、自分を勝手にこんな世界に送り出した<親>がそういう態度というのは、どう感じるんだろう……


そう考えたら私は、この時はまだ彼女の親じゃなかったけど、彼と結婚できたら、当然、彼女の<親>になるわけで、その覚悟を見せておくべきだと思ったんだ。


『あなたの親になる覚悟を、私は持ってるよ』


ってね。



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