家庭と仕事の二者択一を迫られたら
私は、家庭と仕事の二者択一を迫られたら、少なくとも彼や観音との家庭なら、まず間違いなく家庭を選んじゃうタイプだと思う。観音の母親みたいな選択は、私にはできない。
でもだからって、観音の母親の選択を否定していいとも思ってない。褒められる選択かどうかと言われたら、正直、う~んと思うけど、それはつまり私自身の感覚の問題であって、他人の選択にケチをつける根拠にはならないと思うんだ。
それになにより、観音の母親にとっては一時の気の迷いだったかもしれないけど彼と結婚して観音を産んでくれたことについては、むしろ感謝したいと思う。
彼女のその選択があればこそ、私は彼や観音と出逢うことができた。それだけでも私にとっては感謝するに値するしさ。
全ての選択が正しく行われる人間なんておそらくどこにもいないと思う。他人の選択にケチをつける人だって、結局、
<他人の選択にケチをつけるという好ましくない選択>
をしてるわけだから。
『自分は他人に難癖をつけていいけど、他人が自分に難癖をつけることを許さない』
みたいな人になりたくはないな。
なんて言うと、これ自体を『難癖だ!』と受け取る人もいると思う。そして、『やられたからやり返しただけ』って言って難癖をつけてきたりするんだろうな。
正直、悲しいな。彼や観音がそういうタイプでなくてよかった。
そんなことを考えながら、ラーメンを食べる観音の丸い頬がもむもむと動く様子を見てた。もうそれだけで幸せな気分になって、顔がにやけてしまう。
っと、いけないいけない。ラーメンが伸びちゃう。
慌てて私も、ラーメンを食べる。この何気ない時間が本当に幸せだ。
こうして私たちはラーメンを堪能し、あたたかい気持ちになって、店を出る。
ちなみに今回は、彼の方から誘ったということで、会計は彼持ちだった。だけどもしこれが私の方から誘ったのなら私が出してたと思う。
『こういうのは男性が奢るべきだ!』
って言う人も多いと思うけど、少なくとも私はそうは思わない。そりゃ彼の方が圧倒的に収入は多いだろうから、その後も結果としてなんだかんだで彼が出してくれることは多かった。だけど私は、それを当然のことだとは思いたくない。
私だって自立した一人の社会人だ。一方的に誰かにたかるような振る舞いが<自立した社会人>としてふさわしいものだとは思わない。
男性が奢るのが当然だと考える人は、『奢るのが男の甲斐性だ』と考える人と付き合えばいい。彼はただ、自分の方が余裕があるからそうしようと思ってるだけで、私の自尊心を無視してまで<男の甲斐性>には、拘っていなかった。
そういうところも好きなんだ。




