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彼女の良さを大きく損なうことは

それなりに仕事もできて、一見真面目そうだけど、でも自分がミスした時にはそれをごまかしたり他人になすりつけたり、相手が自分より格下だと思ったら横柄な態度に出たり、なんていう人が<好き嫌い>言ってたら確かに色々どうかと思うかもしれない。


他人を害するような大きな欠点がいくつもあるなら、なるほど<好き嫌いという欠点>くらいは減らした方がいいのかもしれない。だけど彼女は、仕事とかの前では真面目で接客も丁寧でミスをごまかしたりしなくて、さぼったりとかもしない。何より、他人を傷付けることを好まず、優しく、気遣いができて、思いやりがある。それでもう十分だと思うんだ。


<好き嫌いがあるという欠点>程度で、彼女の良さを大きく損なうことはないと思う。


それに彼女の好き嫌いは、『どうしても食べなきゃいけない時には無理してでも食べられる』というもので、普段は好き好んで食べないという程度のものなんだ。


だからまあ、『彼女の好みを知らない<親しいわけでもない単なる顔見知りでしかない誰か>に誘われて食べに行く』っていうのはあんまりやらないかな。


だけどそういうのも、無理にやる必要はないと思う。彼女今のままの彼女でいいよ。誰かをわざと傷付けたりしないでいてくれるなら、それでいい。彼女の母親として、心底そう思う。


少しくらい才能があったところで、それを鼻に掛けて他人を見下すような人を<素敵>だとは、私は思わない。


それでもなお『彼女の<好き嫌い>を直すべき』とか言うのなら、世の中にはびこる<他人を平然と傷付けられるという欠点>も、直して欲しいと思う。もっとも、そんなことする人がいるとは思えないけどね。


だから観音(かのん)も、今のままでいい。


そんな彼女と一緒にアニメを見る。この時間が本当にホッとする。ダンナがいないこの世界を生きていける精神的余裕になる。


ダンナが彼女を残してくれたことを、本当にありがたいと思う。そうでなきゃ私は、それこそ自棄を起こしていたかもしれないし。


「あはは! やぁっちまったなあ!」


アニメのキャラクターが大変な<やらかし>をして観音(かのん)がツッコむ。


主人公の父親が、メイドに手を出して妊娠させてしまったんだ。しかも、母親も妊娠してて。


「最低…!」


私もそう声を上げると、観音(かのん)もさらに、


「死ね! 頼むから死んでくれ!」


って。


だけどその表情は笑顔で、ただの<ツッコミ>だということが分かる。本気で『死んで欲しい』と思ってるわけじゃないんだ。


彼女は、ちゃんと現実とフィクションの区別をつけている。


それができる子なんだ。


実際、そんなことを言ってるのは、それがただの<ツッコミ>だと分かる私の前でだけで、他人から見えるところでは、その手の発言はしないしね。



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