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好きな人と一緒にいたいって、おかしい?

「あはは♡」


「ふふふ♡」


田舎暮らしの可愛い女の子達の楽しげな日常を描いたアニメは、とても晴れ晴れとした気持ちにさせてくれる。


『私達もこうだったらな……』ってつい思ってしまうけど、ううん。私はたぶん、今、十分に幸せだと思う。


「ねえ、観音(かのん)は今、幸せ?」


配信のだけどCMが入るそれだから、CMの間にふとそんなことを尋ねてしまう。すると彼女は、


「う~ん、幸せか不幸かって言ったら、まあ幸せ寄りなんじゃないかな」


って答えてくれた。その上で、


「何だかんだで自分の才能のなさには絶望させられたりもするけど、落ち込んだりもするけど、でも、今日も先生に『伝えたいものがちゃんと伝わってくるいい絵だね』って褒められたんだ。だから諦めずに努力してて良かったって思った」


とも。


彼女は今、ゲームのキャラクターデザインの仕事を目指して、キャラクターデザインを学べる美大に通ってる。何もかも全部自分で手続きして。私は、保護者として必要な書類を用意しただけだ。学費も、奨学金を受けて自分で返すって。


本人がそれだけの覚悟を持ってすることに対して私が何か口出しするのはたぶん違うと思う。


普段の生活は、私の収入と観音(かのん)のバイト料だけで賄うようにして、ダンナの保険金については、固定資産税とかを払うために使ってる。


現金資産の大半は、相続税の支払いに消えたからね。


世知辛いけど、仕方ない。この家が残っただけでもありがたいよ。


ただ、本音を言わせてもらうと、女二人だけで暮らすには、少々、大きすぎるかな、とは、思う。


私と観音(かのん)は、ほとんどリビングと寝室しか使ってないし。


私達には、それ以上、必要ないんだ。


ダンナが生きていた頃から、こうだった。


寝室こそ、観音(かのん)は別にしてたけど、起きてる間はずっと三人でリビングで過ごしてて。それすら、ダンナの癌が判明してからは、観音(かのん)が私達と一緒の部屋で寝ることを望んでそうすることになって……


私達は、ずっと一緒の時間を過ごすのが苦痛な関係じゃなかった。


むしろ一緒にいる方が安心した。


ダンナは仕事をして、観音(かのん)はパソコンでアニメを見て、私は本を読んでって、それぞれ勝手なことをしてるんだけど、お互いの気配がそこにあること自体が心地好くてさ。


観音(かのん)なんて、ダンナと私が結婚した時なんか、十三歳だよ? 中学一年生。普通なら親とか鬱陶しがって自分の部屋にこもりそうなものだけど、全然そんなことなくて。


「平気なの?」


って私が訊いたら、


「平気だよ。でもなんで? 私、お父さんもお母さんも好きだよ? 好きな人と一緒にいたいって、おかしい?」


って逆に訊かれたりもしたな。



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