第12話:冒険者登録④
今回で冒険者登録は最後です。
なかなか学園に通わないですね...
受付でしばらく待っていると、奥からお姉さんが現れた。
「お待たせ致しました。私は受付嬢のモナといいます。まずは冒険者ギルドの仕組みについてお教えしますね。冒険者ギルドでは下からF、E、D、C、B、A、S、SS、SSSという様にその冒険者の方の実力に合わせてランク付けされています。SSランクやSSSランクの方は今はいないんですけどね。FランクからDランクまでは依頼をこなせば昇格できるんですけど、Cランクより上は昇格試験が存在します。ですので、これからアインさんが昇格するにはその都度試験が必要です。それと、一年間依頼を受けないと冒険者カードは無効になるのでお気をつけ下さい」
「わかった。あと、聞きたいことがあるんだけど……」
「何でも聞いていただいて結構ですよ」
「転移魔法って誰でも使えるの?」
「転移魔法ですか?相当高位の魔法使いの方ですと使う方もいらっしゃるみたいですけど……沢山魔力を消費するらしいので滅多に使う方はいないですね」
それなら、無闇に転移魔法を使うのは止めておくか。
「これが冒険者カードです。魔物を討伐したら自動的にこのカードに記録されるので、魔物の死体はギルドまで持ち込む必要は無いです。それと、カードを無くしたら再発行するのに、手数料として銀貨1枚頂きますので無くさないようにお気をつけ下さい」
「了解。それで、早速依頼を受けたいんだけど……」
「今から……ですか?」
「あ、今からだとダメ?」
「そういう訳では無いですが、そろそろ11時なので時間が……まあアインさんなら大丈夫そうですね。最初の依頼ですので、大抵薬草摘みやゴブリンの巣の調査などをオススメしているのですが……」
「あぁーなるべく手っ取り早く稼げる依頼が良いかな」
「そういうことでしたら、アインさんは既にDランク冒険者ですので、魔物討伐の依頼を受けても大丈夫です。パーティーを組むのがオススメですが……」
「ひとまずは一人で」
「了解しました。本来はあちらの掲示板に貼ってある依頼から選ぶのですが、今回は初めての依頼なので私が提示させて頂きますね。アインさんにオススメの依頼は……この辺りですね。巣の規模が違うので若干報酬額は異なりますが……どの依頼もゴブリンなので単独で討伐しやすく、難易度は決して高くないので初めての魔物討伐にピッタリです」
俺はモナさんが提示してきた3つの依頼を見比べる。
う~ん、どの依頼がいいのかイマイチよくわからないな……なんたって、少し条件が違うものの、どの依頼もゴブリン討伐だからな。
(Answer,宿に泊まれる報酬の依頼を受けることをオススメします。)
ああ、確かに宿を取らなければいけないな。テントでも泊まれなくは無いけど、ずっとテント生活をするのはあまり好ましくない。
「モナさん、1個聞きたいんだけど、2日間宿に泊まるにはいくらかかる?」
「宿ですか?」
「生憎、泊まる所が無くて困ってて」
するとモナさんは合点がいった様子で頷いた。
「あぁーなるほど。こちらの依頼なら討伐期限が近いので比較的簡単なうえに銅貨を28枚稼げます。ギルドの裏にある『赤狸亭』にも2日間泊まれますよ」
「それならその依頼、受けてもいい?」
「了解しました。この依頼の期限は3日後です。依頼を期限までに達成できなかった場合、違約金が発生しますのでお気をつけ下さい」
そしてモナさんに見送られ、冒険者ギルドを出た。
確か依頼は、ここから20分程歩いた所にあるゴブリンの集落の討伐だ。
どうやら30体ぐらいのゴブリンが集落を作っているそうなので、その集落ごと完全に潰して欲しいらしい。
指定された場所まで少し駆け足で向かうとゴブリンの集落が見えてきたが……これは100体以上いるんじゃないか?
しかも1体大きなゴブリンがいる。
(鑑定)
名前:《未設定》
種族:ゴブリンロード
ランク:C
称号:ゴブリンの長、進化した者
これは冒険者ギルド側のミスか?それともいつの間にかゴブリンが進化していて、とか?
どちらにしろこの集落は潰した方が良さそうだ。このまま放置しておくと、ろくなことになりかねない。
100体以上いるので、一気に魔法で殲滅したいと思う。
……が、大規模な魔法を使うと周りに影響がでる。見渡す限り人はいないが、万が一の可能性もある。
さて、どうしたものか……と思案していると、
(Answer,初級の《水渦》で十分だと思われます。)と声がした。
《全知全能》が言うのなら間違い無いだろう。
(水渦)
すると、突如現れた水の渦が一気にゴブリン達を飲み込む。ゴブリン達は逃げる間も無いまま、跡形も無く消えていた。
本当に初級魔法か疑う威力だ。完全にオーバーキルだった。周りに影響が無いか心配になってくるな……
(Answer,周りに障害物は無いうえ、あくまで水魔法なので影響はありません。)
それなら一安心だ。もし環境破壊でもしたら、神が何やってんだってことになって神界の方から呼び出しをくらう可能性がある。
さて、これで無事初依頼を終えられたことだし、ゆっくり歩いてギルドに戻るか。
☆
ギルドのドアを開け、受付まで行くと、モナさんは目を見開いていた。
「もう、討伐してきたんですか!?まだ1時間も経っていないですよ……」
「カードを見てくれたらわかると思うけど……」
「お借りしますね……本当に討伐してる……しかも、何ですかこのゴブリンの数!?ゴブリンロードまでいるし!」
「いつのまにか集落が巨大化していたみたいだったよ」
「そんなことが……。それは異常ですね。直ちにギルドマスターに報告してきます。……いや、本当にこの量を一人で倒すとか……すごいですね……」
「そう?冒険者の人なら誰でもできるんじゃないの?」
するとモナさんが身を乗り出してきた。
「できません!!最下級魔物のゴブリンでも100匹以上いると侮れません。ましてやゴブリンロードがいるとなるとパーティーで倒す相手です。ソロの冒険者が戦う相手じゃないですよ……」
「へぇ~勉強になるな」
「はぁ……取り敢えず先に報酬額を渡しておきますね。銅貨75枚です」
モナさんが言うと、じゃらじゃらと銅貨が置かれる。
「え、えっと、多くない?」
「いえ、今回121匹のゴブリンに加え、ゴブリンロードも討伐されているのでこれくらいが妥当です」
「それなら……ありがたくもらっておくよ」
そしてお金を《収納》に入れた。
「次から依頼を受けるには、あちらの掲示板から依頼の紙を取って受付まで持ってきてください。依頼の紙には推奨ランクが載っているんですけど、1つ上のランクの依頼まで受けられます。こちらから判断して厳しそうな依頼でしたら注意させて頂くことがあります。止めはしませんけど、自己責任ですのでご了承下さい」
「わかった」
それはつまり、死んでもギルドは責任を負わないっていうことか。冒険者が無理をして依頼を受けたのに責任をとれ、とか言われたらギルド側も迷惑だからな。
今日は久し振りに疲れたな……こんなに刺激があったのは何年ぶりだろう。凄く疲れたけれど、有意義な時間を過ごせた気がする。
時間は早いがもう宿に行くか、と思いギルドを出ようとしたら、そんな考えを見抜いたのか
「『赤狸亭』の亭主は少し変わった人ですので気を付けてくださいね」とモナさんにアドバイス(?)をされた。
その一言に一瞬寒気がしたが……気のせいだと思い、ギルドを出て『赤狸亭』へと向かった。
閲覧ありがとうございました。
続きが気になった方は是非ブクマや評価、お願いします!
※補足させて頂くと、この世界の通貨は銅貨→銀貨→金貨→白金貨→黒金貨となっており、銅貨100枚が銀貨1枚というような感じです。




