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【Get】


なんやかんやがありつつも今日はこのくらいで、ということで1日で集めたチリカスのような資料をペラペラとめくったりしながら、推理を始めていた。


「サトリ サトル……漢字に直すと郷里 悟。(さと)(さと)(さと)


これを推理って言っていいのか、自分でも迷うぜ……


「まるで言葉遊びですね〜、んふ、んふふふ」


「きっもち悪りぃなこちとら真剣に考えてやってるのによぉ」


全く嫌になるぜぇ……どんなやつであろうと依頼を受けたその時から依頼主になっちまうから、なんとも言えねえが真ん前で気持ち悪いリスト見ながらよだれを垂らされるのは勘弁だ。


「いやぁ、後々この人たちのことも割り出せば会えると思うと笑いが……」


「個人情報流出は怖いねぇ、たとえ誕生日でも俺は誰にも知られたくなくなったよ」


「確かに少し前に誕生日のパラドックスとかいうのを使って他人の個人情報を盗む手口があるって聞いたことがあります……なんでしたっけね、誕生日攻撃とか」


「何だよそれ。新手のバースデーテロか?」


「ん〜、と誕生日が同じ人がいるという状況を100パーセント作り出すには1年を365日として、366人いれば最低1人は誰かと誕生日がかぶることとなりますね。じゃあ、その半分の50パーセントの確率で誕生日がかぶる人を出すには一体何人の人がいると思いますか?」


「そんなの366人の半分で183人とかだろ?割り算は俺でもできるっつーの」


「それが違うんです。70人もいれば確率はほぼ100パーセント、50パーセントに必要なのはたったの23人なわけです。これ、ウィキでみました。後はこの確率論をどーたらこーたらして署名の偽造に使うんですって」


こいつ案外学があったりするのか?

だったら普通の会社に入って普通に暮らせただろうに……てか、その才能を無駄にしてまでネッシージャーナル入ったのかよ。


「締めが煩雑すぎるだろ……しっかし、23人もいれば誕生日がかぶってくる奴もいるってわけか」


「世界って案外直感だけではわからないことだらけですからね、見えてるもの全てがトリックアートですよ。だからってわけじゃないですけど、超能力とか異能力とか津田 梅子なんかの存在だって90パーセント以上の確率で存在すると私は思ってます」


いつにも増してまっすぐ見てきやがるじゃねえの。俺からしてみたら、暑苦しくて仕方無えけど。


「何を根拠に?」


「ん〜?シュレディンガーの猫、とか?」


「お前難しい言葉を使いたいだけだろ」


「あ、バレましたか……でも、今回の事件だってABC殺人事件みたいにフィクションじみてるのに現実に起こっちゃいましたし、あながちってやつですよ」


「ABC、殺人事件……ホームズだったか?」


「アガサクリスティじゃなかったでした?アルファベット順ならぬ、誕生日順……間隔あるけど」


なんか、なんか降りてきそうな気がする……

唐突にソファから立ち上がって真上に手を伸ばして空間に潜んだ何かを掴もうとしてみた。今まさに天から何かが舞い降りてきそうな、そんな前兆を俺は確実に感じていた。

うぉぉぉおお!!コイッ!降りてコイッ!


「サトリ……誕生日のパラドックス……ABC殺人事件……誕生日を当てる能力……トリックアート……」


【郷里 悟】


ーーねぇねぇ、サトくん。 いつもの誕生日当てやってよ!ーー


ーーサトリ サトル……漢字に直すと郷里 悟。(さと)(さと)(さと)ーー


今回の犯人候補、郷里 悟。あの資料を本物と仮定するならば、一切人との縁のなかった人物から誕生日を割り出すのも簡単。それだけならその能力を持っているこいつが犯人だ。


【誕生日のパラドックス】


ーー50パーセントに必要なのはたったの23人なわけですーー


約100パーセントかぶるには70人必要、誕生日を当てることができるなら被害者候補は雑踏の中から選出するなら2〜4くらいいたとしてもおかしくない。


【ABC殺人事件】


ーーでも、今回の事件だってABC殺人事件みたいにフィクションじみてるのに現実に起こっちゃいましたし、あながちってやつですよーー


無差別殺人に見せかけた計画殺人の可能性……


【誕生日を当てる能力】


ーー犯人はどうやって誕生日を見分けてるんだ?ーー


ーー超感覚、の亜種のようなものでしょうーー


他人の小さな変化から誕生日を当てる精度の高い能力。


【トリックアート】


ーー世界って案外直感だけではわからないことだらけですからねーー


直感だけじゃ、わからない。



【 】



「み、見えてきた……!見えてきたぞこの事件の全貌が!」


「ほ、本当ですか!?」


「うぉぉぉぉッッ!最後の1ピース、きやがれッッ!!」


脳みその裏側にやっと最後の空白を埋める文字が現れてきた。虫のごとく蠢めく文字たちが重なり合って、脳みその空白を埋めていき白を黒く染め上げていった。そして最後の穴に添えられたパズルの1ピースのようにラストワードが舞い降りた。



【誕生日占い】



「このピースは……いや、そうかそういうことか」


「な、なん、なんですか!?わかったんですか!」


「半分はそうだ。いや、これからまずはこの郷里に会いに行く。その後、その余分に買った異能力者リストを役立てるぜ」


「杖の転んだ先ってな」


全て手中に収めたぜ。




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