インド洋作戦7
遅くなりました。
理由については活動報告に記載します。
防衛省作戦会議室。
三つの机がコの字になるよう置かれ、空いている所にはインド洋の地図を張り付けたボードが置いてある部屋に三人の男性がいた。
一人はもちろん達哉である。
もう一人は今作戦の自衛軍司令長官兼作戦全体の司令長官である宮澤一志海将補。
最後は宮澤海将補の副官である渡部晴治二佐。
まだ来ない海軍の代表を待つ間、三人は地図の前で何やら話していた。
「セイロン島の占領ですか?」
聞き返す達哉に宮澤海将補はウムと頷く。
「セイロン島を占領して連山を使えばインド各地を爆撃でき、インド攻略を視野に入れれば東と南から挟撃できるから良いと思うのだが」
「あの、はっきり言ってそれは無理でしょう」
はっきりと否定された。
「なぜだね?」
「セイロン島はインドに近すぎます。これでは相手から攻撃にさらされますので防衛のため多くのパイロット、防空用の人員を配置しなければなりませんし、多くの戦闘機や対空火器なども必要になってきます。そうなると大量の補給が必要になり内地から遠く離れたセイロン島への補給線にも多くの護衛艦や輸送船を回さなければなりません。必要な物資を考えると輸送船が足りません」
現在戦時量産型輸送船を急ぎ建造中だがまだまだ時間がいる。
「さらにインド攻略には現状陸軍と協力したとしても戦力不足で攻略は不可能と考えます」
「なるほど確かに無理だな。じゃあインド洋の制海権確保を前提としてマダガスカル島の占領はどうだろうか」
宮澤海将補はマダガスカル島をトントンと叩きながら聞いてきた。
「ここを押さえれば南アフリカから来る敵を押さえることはできる上、ヨーロッパとの連絡網が構築できと思うが」
「インド洋の制海権確保ならばマダガスカル島は必要だとは考えます。英国への牽制と独伊との連絡網で一石二鳥だとは思いますがこれも難しいと思われます」
「理由は?」
「セイロン島と同じく補給と人員です。マダガスカル島は島と言えど巨大です。ここを占領維持するにはさらに多くの戦力を駐留させなければならないでしょうからその分補給の負担が大きくなります。ただでさえ内地とマダガスカル島はかなり離れているのにです」
二つの案を否定されハァとため息がでる宮澤海将補と「戦うって難しいんですね」と呟く渡部二佐。
三人が今話していたの作戦には関係ないこうすればどうだとかもしもと言った類いの話をしていた。
インド洋作戦は自衛軍主導で行われることになっているのでその説明を防衛省で行うことになっていたのだが海軍代表らがまだ来ないのでこうして時間潰しをしているのだ。
「そう言えば矢野特務参謀」
「何でしょう」
「例の八八艦隊、海軍艦は何隻か導入されたと聞いたが此方のはまだなのか?」
八八艦隊。
かつて戦艦八隻巡洋戦艦八隻を建造する計画だったが軍縮条約で破棄された計画だ。
だが今話している八八艦隊は新八八艦隊とも呼ばれネイバル・ホリデイ期間中に計画された海軍戦艦八隻、海自戦艦八隻を建造するというものだ。
当初は旧式になった金剛型戦艦や飛騨型戦艦の代替艦として四隻ずつ進められていたが列強が大量に建造している戦艦を見て空母護衛には戦艦が足らないと議題となりさらなる戦艦建造案が提出され、巨砲主義者たちがその案を押したため議会は更なる建造を承認。軍縮条約破棄して建造を開始した。
内容は簡単に説明するとこんな感じだ。
海軍
紀伊型戦艦
大和型戦艦のデータを基に45口径51センチ砲搭載艦として建造されている。
15,5センチ砲と12,7センチ砲は撤去され長10センチ砲に代えられている。
同型艦紀伊、尾張、駿河、近江
播磨型戦艦
55口径51センチ三連装砲四基搭載を前提とした大戦艦。
56センチ砲を載せたかったそうだが失敗に続く失敗で51センチ砲に変更となった。
同型艦播磨、信濃、甲斐、美濃
海自
周防型戦艦
越前型戦艦の強化型戦艦。
41センチ四連装砲三基の予定を46センチ連装砲三基に変更。
同型艦周防、安芸、相模、美作
出雲型航空戦艦
艦上機を搭載し運用できる大戦艦。
キエフ級軽空母を基にしているので艦橋を右舷に寄せて、アングルドデッキのように艦尾から斜めに伸びる航空甲板が取り付けられている。
50口径46センチ三連装砲を二基搭載し、対空火器はどの戦艦よりも充実した防空戦艦としての機能も持つ。
搭載機数は予備機を含め50機。
同型艦出雲、因幡、薩摩、琉球
「出雲型は出雲、因幡が完成してはいますが乗員やパイロットの訓練と問題点の洗いだしを行っていますので今回の作戦には参加出来ません。
周防型は二隻が実戦導入可能、残りの二隻はまだ建造中です。導入可能の二隻は急遽今作戦に参加させることにしました」
「おぉ、そうかッ漸く海自にも46センチ砲搭載艦が導入されたかッ」
急に上機嫌になった宮澤海将補。
実はこの方、大艦巨砲主義者である。勿論空母や航空機の性能は認めているが。
主義者と言うよりも戦艦好きだ。
海自に入った後は戦艦乗りを目指し飛騨型戦艦に配属され今では艦隊司令となった。
司令にはなったが彼は喜ばなかった。なぜなら司令職の者は艦隊指揮のための艦に配属になるので戦艦から下ろされるのである。
「今回は指揮艦がないから戦艦を旗艦にして一暴れしてやろうか」
「申し訳ないのですが海将補が乗艦されるのは戦艦ではないですよ」
えッとなった顔を達哉に向けてきた。
「大淀型二番艦隊仁淀。今作戦の旗艦であり海将補が乗艦される艦です」
「・・・・・」
暫く沈黙する宮澤海将補。
「・・・その仁淀には主砲は搭載されているな?」
「15,5センチ三連装砲が二基ありますよ」
「なら戦艦と戦列を組んで東洋艦隊と殴り合いをッ」
「艦隊旗艦が直接戦闘に加わってどうするんですかッ?旗艦は大人しく空母と行動を共にして作戦指揮に専念してくださいッ」
「・・・・・」
また暫くの沈黙。
「いやだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
当然発狂し大声を出した。
その光景に耳を押さえながら達哉はこう思った。
(この人が作戦司令で大丈夫なのだろうか・・・)
と。
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