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内地にて15

前前話の月光、陣風の部分を書き直しました。

このままでは出す機会が無さそうだったので。

空が夕日に染まっている時間帯。

達哉たちが乗った車はとある家の玄関前に止まった。


「到着しました」


「ありがとう坂上少尉。おい、いい加減起きろ和哉」


隣に座る気絶したままの和哉を揺らす。


「ん・・・ふぁ〜よく寝たぁ〜」


呑気に欠伸をしてそんなことを言ってキョロキョロと見渡す。


「あれ、ここどこ?工廠にいたはず・・・」


「なに寝ぼけてやがる?お前が気を失ってしまったから家まで連れてきたんだ」


「家?」


取り敢えず降りろ。

狭い路上に車をいつまでも止めておくとご近所迷惑になるから車から降りる。


「今日はもういいから坂上少尉も家に帰って休んでくれ」


「ハッでは明日の朝に迎えに来ます」


「頼むよ」


ではと言い残し坂上少尉は車を走らせた。

玄関前に立つ二人。


「ここって」


「俺の家だけど何か問題?」


「問題と言うか連れていってくれるのなら兄さんの家じゃなく自宅のほうがよかったと思って」


和哉のセリフを聞いてため息が出る達哉。


「お前な・・・長いことまともに子供と顔を会わせてないんだろ」


忙しくて自宅に帰れず、帰れても子供は寝ていて話も出来ていない。

さらに忙しい最近では子供を一人にするわけにはいかないとして達哉宅で預かっている。


「それはそうだけど、大丈夫かな」


「何を心配しているんだ?」


「いや、戦争だから仕方がないとは言え長い間、彩香に顔を会わせてないから嫌われてないかな・・・」


彩香とは和哉の子供の名前である。因みに女の子。


「心配しすぎだ。顔を会わせてないのは俺だって一緒だ。さっさと入るぞ」


和哉の心配を無視して「ただいま」と自宅の中に入る達哉。

渋々和哉も続いて家に入る。


「お帰りなさい達哉さん。あら和哉さんもいらっしゃったのですね」


靴を脱いでいると奥の方からやって来たのは達哉の奥さんである矢野 楓だ。

大石幕僚長の娘であの人が自慢するほど美人さんで右目の下辺りにホクロがある。


「どうぞ上がって下さい」


「お邪魔します」


緊張気味の和哉はそう言ってお邪魔する。


「楓、子供達はどうしてるんだい?」


「今部屋で宿題を一緒にやっていますよ。誠人、彩香ちゃん、お父さんたちが帰ってきましたよ」


楓がそう言うと二階から駆ける足音が聞こえてきて降りてきたのは二人の少年と少女だった。


「「お父さん!」」


二人は自分の父親に抱きつく。


「おおっと元気だな誠人」


抱きついてきた誠人の頭を撫でながら言うと「うんッ」と元気のいい返事が返ってきた。

それを見ていた彩香も抱き締めている父親の顔を見上げて


「お父さん、私も撫でてほしい」


「いいのかい?」


「うんッ」


ゆっくり優しく頭を撫でてあげると嬉しそうな顔をする愛娘を見て和哉の顔も和らぐ。どうやら嫌われてはいなかったようだ。


「さぁさぁ、こんな所で立ち話もあれですから座敷のほうでゆっくりしてください」


それもそうだなと座敷の方に向かい、卓袱台を囲むように座る。


「今、お茶を用意しますね」


「それは俺がするよ。それより夕食の用意を頼む」


「いいんですか?ならお願いします。お皿や箸は五人でよろしいかしら」


「いや、後で美桜がくるから一応六人分頼むよ」


お茶を用意しながら美桜主任が来ることを伝えた。


「美桜さんもいらっしゃるのですね。わかりました用意します。その間子供達の世話をお願いしますね」


わかってますよと達哉は子供達のいる座敷に戻った。

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