私が頑張るとみんな死んじゃう⑥
「はぁっ、はぁっ」
シィエラは死ぬ。
残りわずかな時間に何を思っていたか
「広嶋くん。あなた、死ぬわ」
「あ?」
お喋りが凄くしたかった。
「"陸困花"が枯れている以上。あなたの生きている努力は常に食われ続ける。ここは私達2人の箱庭なの」
「努力云々じゃなく、立てねぇよ」
広嶋はシィエラの顔は見ずにそっぽを向いていた。しかし、シィエラは残る左手で広嶋に触れる。右半身の多くを失っても喋る声はよく聞こえる。
「死んじゃうんだよ。ねぇ、怖くない?強かった自分が死ぬのよ」
「別に」
もうすでにシィエラの攻撃は先に進み、驚くべき早さで"陸困花"が生まれていった。広嶋が助けられないように、逃げられないようにしていた。
「頑張っても、強がっても、無駄なのよ、怖い?」
「そうか……?……」
「あなたが死ぬまで一緒にいるから、顔をみせてよ」
「……あ……ああ……」
脅している言葉を、震える声で広嶋に語り続けるシィエラ。だが、広嶋の頭が"無駄名努力"に侵食され始め、耳も目も遠くなり、知識も記憶も失おうとしていた。顔を見せることもしなかった。
体も衰えていき本当に何もできなくなる。
「2人きりだから話しましょう。ねぇ」
「…………」
「どんな気持ち!?教えなさい!」
「…………」
シィエラの言葉は広嶋に届かない。
賢明に出したい声と、殺したいという気持ち、そして、死ぬことが嫌だという心。
「私を1人にしないで!生きてるのは分かってる!」
ゆさゆさと広嶋の体を動かしても彼の顔はシィエラの方に向かなかった。
全てを潰したのは自分の鍛え上げた能力だった。
やったという歓喜よりも、自分の終わりの確定に泣いた。なぜなら
「嫌だぁ、あなたより先に死ぬのわ。だって」
広嶋くんの苦しい顔を拝めずに死ぬなんて。私の努力が、まったく見えないのは嫌。なんて、酷いことをするの。あなたの殺害と苦しんでいる顔が私の努力の証明なのに
「っ…………」
声を失ったとき、あっさりとその命が終わった。
最後まで足掻こうとし、無念を見せた表情のままだった。
そして、死によって"陸困花"は徐々に消えていき、彼女によって失った努力は徐々に戻ろうとしていた。
その範囲は1分ほどで東京全土に及んでいた。しがみ付こうとする魂が、多くの努力を奪おうと起動していたのだ。だが、もう終わった。
シィエラ・レイストル。
右半身を失い、無念のまま死亡。




