私が頑張るとみんな死んじゃう②
「な、な、な、な、なんですってぇぇぇっ!?」
宮城の夜に響く、気の狂った女子高生の絶叫。
「名前は!?姿は!?歳は!?能力は!?性格は!?趣味は!?思想は!?どれくらい可愛いの!?おっぱいの大きさは何センチだった!?」
『ううぅぅっ、そんな詳しく分からないけど。本当なの!家でのんちゃんも驚いて泣いてる』
電話する1人の女性は沖ミムラと、1人の怪物。裏切京子。
「広嶋様に彼女!?恋決定!?結婚前提!?子供作る前提!?ラブホはマジなの!?」
『た、たぶんそう。シィエラって人、本人から言ってるし。ひ、広嶋くん。否定しなかった……。わ、私達よりあーゆうのが好きだなんて』
「ロリコンではなく、大人の女性が興味という革命が広嶋様の中で起きたというのなら、嬉しいものですが、ならばなぜ私に振り向かないのですか!?広嶋様をたぶらかす女は排除しますわ!」
どんな会話なのか、裏切の電話を気にする通行人は多くいた。
『も、もしかして広嶋くんのロリコン魂に火がついて、子供を作ろうとラブホに……』
「どんな理由よ!?最低でも出産まで半年以上は掛かるし、その間にロリコンという犯罪者はまた別の子を選ぶ可能性があるというのに。もしそれなら私の○○○に○○○して○○○○○○で子供をつくることを勧めるわ!」
『そ、そうだよね。変なこと言っちゃった』
「言ってるわよ!凄く馬鹿なこと言ってた!」
ホントなんの会話?
警察官がやってきそうな裏切の電話。
「ともかく、私は今からそちらに向かいます!ミムラ!玄関になんでも良いから人間を置いていなさい!」
『う、うん!』
電話を切り、裏切は地面に魔法陣を生成し、灰色のオーラを作り出した。
オーラは徐々に裏切を包み込んで姿を隠し始める。
「運転手の神隠し(ベネブ・リリン・スロワネレリ)」
全てが包まれた後、オーラが剥がれて現れたのは裏切とはまったく別の人間。
いや、
「ミムラに玄関先で待ってて言われて待ってたら……変なところに来ちゃった」
彩が代わりに宮城の地に足を踏み入れるという状態となった。そして、彩の携帯が鳴った。発信者はもちろんミムラであった。
『ご、ごめん彩!裏切さんのせいで宮城まで行っちゃった!?』
「ここ宮城県なんだね」
『お金ある!?あとで私、交通費とか謝罪費用出すからー!許してー!』
「お土産期待しててねー。明日の昼には帰れると思うわ」
唐突の移動にも動じない彩はフラフラと宮城の夜の街で遊びながら、翌日東京に帰ってきた。
「はぁ~、彩に悪い事をしちゃったな。宝くじ当てなきゃ」
ミムラの家はマンションの1ルーム。ここから大学に通っている(彩と藤砂、灯と同じ大学)わけだが、今は阿部のんを居候という形で同居しており、親としても勤めている。
「で!どいつなの!?ミムラ!さっさと案内なさい!」
裏切京子は仙台の高校に通っている女子高生をやっている。阿部のんは小学生で普通の学校に通って勉強に励んでいる。
もう夜だ。のんちゃんは泣き疲れたのか、もうベットで眠ってしまった。これから行く場所があれなので子供は居ない方がいい。まだ早い。
「い、今から行くの?」
「あなたの"天運"があれば広嶋様の居場所など分かるでしょう!?」
そういって裏切はミムラの洋服が入ったクローゼットを勝手に空けて変装の用意を始める。かなり本気であるが、性格からいって変装は意味がない。
「か、勝手に空けないでよ!」
「いいじゃない!あ、この帽子可愛い!」
「変装していくの?」
「あなたはそのツインテールからポニーテールに変われば分からないでしょうけど、私は広嶋様の心に焼き付けられてますから!並の変装ではダメなのですわ!」
そして、五分後裏切が選んだのはマスクにサングラス、帽子を被り、セーラー服から巫女姿に大変身したのであった。
「変人にしか見えないよ、裏切さん!なんで巫女服を選ぶの!?」
一方でミムラはツインテールからポニーテールとなり、スーツ姿となって男装っぽい服装になった。髪があまりにも長すぎる彼女は髪が地面に着きそうだった。後ろから踏めそうな髪に裏切は自分の恰好を気にせずに
「髪を切りなさい!」
「えー!私のトレードマークの一つだよ!絶対嫌だ!」
「うっとうしいのよ!」
「だったら、裏切さんもそんな変な恰好をしないでください!」
女同士のファッション抗議は朝まで続いたという。しかし、どちらも低レベルであった。
その頃、広嶋達は言葉通りシィエラと共にホテルに入っていた。
「元気そうなメスブタ一匹を頼む」
「プライド高そうな王子を頼みますわ」
「どちらもおりません。お引取りください」
店員も感じられるどSかつキチガイな2人。お互い、同じ部屋に入ったら上手くいかないという雰囲気は漂っていた。
「なんだよ、まぁいい。どっか部屋空いてる?」
「ええ、空いてますけど」
「じゃあ、そこ頼む」
「……いっちゃなんですが、S極とS極は反発し合いますよ?」
鍵を渡されながらそんな心配をされる広嶋達。
溜め息をつきながら
「俺達はそーゆう関係じゃねぇよ」
渡された鍵の部屋に入る広嶋とシィエラ。さっそく、冷蔵庫を空けて飲み物を頂く広嶋。シィエラはふかふかのツインベッドの上に座った。
「どんなお誘いかしら?奴隷にして欲しい懇願?」
「まだ来たばかりだろうが、テメェの腹の中が決まったか、を訊きに来ただけだよ」
広嶋も飲み物が入ったコップをシィエラに渡して隣に座った。
「ここで人生を決めることを選んだか?」
「中々決断しにくい事を早期に求めるのね」
まだ着て1日だというのに無茶な要求。
それでもシィエラは今の自分の答えを広嶋に明かした。
「私はここを少し気に入ったわ。モデルなんて遣り甲斐があるし、あなたといれるのも嬉しいのよ」
「……OKとはしにくいな」
「逆にここで私が無理って言ったらなんなの?また別の知らない場所でもあるの?」
「ねぇな」
危険な男と危険な女が隣同士でいる中でネタ晴らしをすると、
「なぜなら俺は立早とお前をぶっ殺しに来ていたからだ」
「覚悟が決まったイイ顔ぉ。そーゆうのがとっても似合ってる。私もそんなあなたをとーっても殺したい」
殺し合いが起こる。
元々、そーゆう感情が殺戮に流れている二人だ。ラブホ内での戦争。
「でも、ちょっと残念。そーゆうのってこの場に相応しくない。ここはこーゆう場でしょ?」
シィエラは大胆にベッドに寝転んで着崩れをするも、広嶋はそっぽを向いて出口の方に歩いていってしまった。驚いてシィエラは起き上がり声を掛けた。
「どこに行くのよ?まだ夜は終わってないわ」
「ミムラの家に行く。お前はここで今日を過ごしてろ。答えは保留で通してやるが、何かしやがったら俺が直々に殺しに行く」
「えーーっ、……私に飛びついてくれないの?」
「お前が危険だからこっちにしたんだよ。じゃーな」
そう言って広嶋は部屋から出てしまい、ラブホも跡にしてしまった。シィエラは残念そうに枕に抱きついて
「複雑ね」
その一言を口にして眠りについてしまった。
広嶋は電車を使い、ミムラの家に向かっていた。彼女の家の扉の前に辿り着いた時。
「入るぞ」
"同士討血"でドアを粉砕し、破壊して丁寧に訪問する。
「あ、広嶋くん!?またドアを壊して入って来たね!」
「広嶋様!!まさか、私にお会いになってくださいましたの!?」
飛びついてくる裏切を殴り倒し、襟を持って運んでベランダに繫がる窓を空けた。
「お前は宮城に帰れ!明日、学校だろうが!!」
裏切を自分の家まで送るため、彼女を"投手"の力で空に投げ飛ばす。
「わーー!裏切さん!私のドアも!広嶋くん、いきなり現れて酷すぎるよ!」
「おい、お前も」
広嶋は次にミムラを捕まえてベランダに放り込む。
「あぅ、な、なに?」
「毛布はくれてやる」
毛布に被ったミムラが次に見た光景。広嶋、窓を閉めて鍵をかけた。
「ええぇっ!?私、ベランダで寝ろってこと!?ちょっと、私の家だよ!酷すぎるよ!」
「うるせぇよ」
トドメにカーテンまで閉められ、中の様子は一切分からないまま。
ミムラは涙目になりながら毛布に包まってここで眠るのだった。
そして、広嶋はベッドで寝ようと思ったが、のんちゃんが幸せそうに眠っていたので床で寝ることにした。
「子供にだけ優しっ!!」
朝、ミムラは事実を広嶋から聞きショックを受けた。ちなみにベランダから出れたのはのんちゃんのおかげだった。そして、5時頃。裏切は無事に自分の家に突っ込んでいたそうだ。




