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私が頑張るとみんな死んじゃいますわ  作者: 孤独
私が頑張るとみんな死んじゃう編
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私が頑張るとみんな死んじゃう①

「Oh!COOL!GREAT!!」



とあるスタジオでカメラマン達や雑誌の編集者達が絶賛しながら、用意された様々な衣装と注文されるポーズを色っぽくしてとるシィエラ・レイストルがそこにいた。

彼等の要求をそれ以上の素質でクリアしていき、シィエラの表情も彼等の興奮に明るく笑っていた。



「良いね、良いね、サイコーだよ!シィエラさん!」

「あら~、嬉しいお言葉ですわ」



辿り着いた世界でアシズムと出会い、モデルという役割を頂いてからやってきた。

知らない新宿という街を歩いているところスカウトをされ、現在の状態に至る。



「まさか、こんな美女が今まで発見されていなかったとは!いやー、これでモデル業界に旋風が起きるぞ!」

「いくらでも仕事が作れるぞ!」



美貌という遺伝以外では手に入れられないものをシィエラは持っており、その遺伝をしっかりとこの時まで磨いていたからこそ、絶大な評価が生まれた。

グラビア、アイドル、女優、幅広い選択にシィエラに適応できるのではないかという、業界関係者達は思案していた。



「お、お疲れ様です」

「ありがとう」



シィエラはパラソルが付けられたガーデンテーブルの椅子にど派手な水着姿で座っていた。ADから渡されたジュースを頂き、それを飲む姿だけでも美しかった。

その姿だけでもう、女神と言って賞賛すべき画。うっとりと眺めるのは男だけではなく、女だって思えるほどだった。羨ましく、尊い存在……。



「ふぅ」



シィエラはここで知らない物ばかりを眺めることとなった。

"魔術"と呼ばれる代物が自分の世界では広まっていたが、こう科学的なものは珍しくしばしばそれに視線を向けていた。携帯なりスマホなり、持っていない事に驚かされ一つ貸してもらい、今現在操作を覚えている。

見慣れぬモニターに目が疲れてしまうものの、恐るべき早さで技術を学んだ。

何も知らぬ者でも利便性のある物を早く扱えるこの世界の優しさと技術力には、内心驚かされるシィエラ。



「休憩姿もスマホ弄ってる姿もお美しい」

「このまま撮影行きます?」

「いいねぇ!」



モデル稼業に転身するシィエラ。

かつていた世界では早々できない仕事。自分がお尋ね者で自分の美しさを知ってくれる人など誰もいなかった。いつもつまらない殺戮の続きと比べれば心は楽しいと言っている。

遣り甲斐がありそうな仕事だというのに。



「なんだか、違うのよね」



シィエラの内面は表情や姿勢ほど綺麗ではなかった。

黒いモヤモヤが少しずつ増していくのが分かっており、それを消すにはモデルという仕事ではなかった。

今は少し腹を抑えながら、笑顔をみんなに向けた。

撮影から4時間後、日も暮れてスタジオをディレクターさん達と一緒に出て、良い小料理屋で食べないかと話が持ちかけられた時。スタジオの外で待っていた男がシィエラの名を呼んでくれた。



「何をしてんだ。帰るぞ」

「広嶋君、待っててくれたの?」

「え?え?なになに、シィエラちゃんの彼氏!?」

「違いますわ。ただのお知り合い。ごめんなさい、私はあちらに用事がありますの」

「えーっ……ま、しょうがないね。また今度、電話して撮影に協力してくれないかな?」



名刺も番号も、メールアドレスも、全てシィエラに教えてくれたディレクター。シィエラと別れて小料理屋に向かう足取りは少しだけ重くなっていた。



「モデル稼業か」

「私の写真集でも見る?」

「溝に捨ててやる」



待っていたが、広嶋はシィエラを危険人物と見なす目で帯同していた。

しかし、それでも気は遣っているようだ。



「お前、家とかもらったのか?」

「家?そんなものないわ。広嶋くんの家に寄っても良いかしら?」

「あいにく、俺はこの近辺の住人じゃねぇ」

「もしかして、ラブホ選択?」

「いいんじゃねぇの」



お互い高まる思い気持ちは何もなく、ただ安易な言葉の会話で行き場所が決まっている。



「そんな怖い目で見ないで欲しいわ」

「信じちゃいねぇよ」



広嶋の誘導の下、駅前のラブホ通りに向かっていく二人。カップルのような距離であっても、お互いが警戒しあって会話も表情はそれとは掛け離れていた。

そんな中、広嶋にとって面倒な奴その1と出会ってしまった。



「えっ!?ひ、広嶋くん!?」



響く声は驚きと焦りが合わさっていた。


「……げっ、メンドくせぇ。つーか、帰ってきてたのか」

「?誰?}

「ひ、広嶋くん。そ、そ、そちらの綺麗な女性は一体、だ、誰なのかな?」

「こんばんわ。お久しぶりです、広嶋くん」


沖ミムラと、その友達であり、こちらもモデル業をやってそうな黒いロングヘアーでダイナマイトボディを持つ天然っぽさをみせる女性。輪島彩が買い物から帰ってきたところに鉢合わせした。

ミムラは広嶋の隣にいるシィエラを見ながら口をあんぐりとしながら、顔と下を何度も見直した。女として全敗するほど、自分も少し見惚れる綺麗さに倒れこんだ。

女3人男1人の余り過ぎる女の光景に通行人達も、客引き達も目をやっていた。

シィエラはミムラの不思議な力を感じつつ、指をさしながら再度広嶋に尋ねた。


「誰?この子?」

「俺の駒の1人だ。こいつ、馬鹿だから気をつけろ。沖ミムラと……えーっと、確か。輪島彩だっけか?」

「はい!」

「広嶋くん。こ、こ、こーゆう大人の魅力ある女性が好きだったんだ」

「お前が大人に見えねぇだけだろ。馬鹿。つーか、違うしな」



広嶋は倒れ込むミムラを起き上がらせ、改めてシィエラを紹介させる。しかし、人の目がいくつかあり言葉はまだ決めきれていなかった。



「こいつはシィエラ・レイストル。あれだ。そのな」

「ま、ま、また女の子を連れて来たの!?これで私含め4連続じゃん!!」

「人通りがあるところで面倒な事言うんじゃねぇ!!お前と灯は藤砂だろ!」



ざわわわっと広がる衝撃。

ミムラ自身もなんと軽率なことを言ったのかと、反省する顔を見せた。



「あはははは、面白い子」


一方でシィエラは爆弾発言に笑っており、さらに火をつけようと



「今から私、広嶋くんとラ・ブ・ホ。だから。ごめんなさいね。もう彼は諦めて」

「えええぇぇっ!?」


その火はミムラの姿を一瞬にして白くするほど強烈なモノだった。そして、速攻の終戦。



「そ、そうなんだ」



シュンっと落ち込んでからミムラは拳を作り、広嶋が反応できない速度で顔面を殴って地面に叩きつける。立早の攻撃でもビクともしない防御を持つ広嶋でも、謎の運を持つ彼女の攻撃にはダメージが伝わる。



「広嶋くんの馬鹿ーーー!!私はおめでとうなんて言わないからーー!」



泣きながら逃走するミムラ。彼女の身体能力はずば抜けており、広嶋よりも足が速く追いつけない速度でこの場から逃げ出した。だが、



「あ、……おい!荷物落としたぞ!」

「次の言葉がそれじゃあ、モテないわよ広嶋くん。気遣えるのは確かだけど」

「じゃあ、私が預かります。では、2人でゆっくりしていてくださいね。ミムラには話しておきます」

「だから違ぇって言ってんだろ。お前も殺されたいのか」



そして、ミムラの友達である輪島彩もまた、身体能力が抜けた人物であった。ミムラが落とした荷物を拾って、全速力で追いかける彼女は走る車を軽々と追い抜いて、ミムラを追いかけていった。

普通の人間達と思ったが、驚異的な身体能力を持っている女性2人に一般人も唖然とし、シィエラも最後まで不思議そうに2人の力を見ていた。



「なんだか面白そうな恋人達じゃない。2人共"超人"って奴?足、速いわね」

「力や足の速さはあいつ等の方が上だ。ミムラに殴られるとすげぇいてぇんだよな」



ホントに敵に回すとめんどくせぇし、味方だと使えない道具だ。



「じゃあ、さっさと行こうぜ」



殴られて流れる血をハンカチで拭く広嶋にシィエラは



「彼女の心配しなくていいの?」



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