立早のRPG②
元の宿主が死んだからではない。わずかながら、この世界にいてくれた仲間の死が原因だった。
冷静にいられるわけがない。発狂必死。
裏切り殺しても、守ってくれる声に"自己投影"は吼えるを生み出した。
『アアアアアアアアアアアアァァァ!!』
全てが敵となり、かすかな心の安心だった不死身も今はない。
戦意を失った神様を蘇らせたのは下賎だったが、友達と言ってくれた男の死だった。
『殺してやる!立早のため!全人類に仇だ!!』
神に似つかわしくない使命。
そして、人間に似つかわしくない。神様が激昂する死。
絶望が吹き飛ばした憎悪はハッキリとしていて、持ち得る力をフルに使った。
後先考えずに"自己投影"は暴れたのだった。
もう何もかも壊れやがれと、自分の思い通りならない世界中の全てが嫌いになった。
「シィエラは逃げるんだ。最後にありがとう」
「!あら、あなた方で十分なのかしら」
「もう手を尽くした。奴は完全に消滅する。英雄だったのは立早だ」
「まさか」
「答えは聞くな。離れていてくれ。ここからは死人同士の決戦だ」
川城達は確信した。
"自己投影"が生きている限り、データとして生存することができると。つまり、当に自分達は偽物だった。偽物らしく、最後にその牙を"自己投影"に向けた。
「かかれ!死を恐れるな!全員で討ち取れ!」
むしろ死を喜んでいた。二度目の人生が"自己投影"の思うがままの世界だなんて、生が喜ばない。
世界を滅ぼすだろう元凶を自分達の力で倒せるヒーロー感の方が喜ばしい。
数万人にも及んだ人間達が一斉に突撃し、命を散らしてでも"自己投影"に攻撃した。
『死ねぇぇっ!人間共は死ね!』
支配の実行はなくなり、辺りの人間達の抹殺に力を注ぐ"自己投影"は力配分を間違え、どんどんと消耗していった。回復できなくてもいいと感じられる玉砕を演じた。
圧倒的な力を持つ"自己投影"はすぐに強者達を蹂躙した。
「もう一度、シィエラさんに出会えてよかったなぁ」
パンパンも死に。
「フン、ツマンネェ」
X76も死に
「最後まで会えなかったな…………」
川城も死んだ。全員が二度目の死を体験した。
全てのNPCデータが吹き飛んだ時。"自己投影"は限界をとうに超えて止まっていた。HPがゆっくりと下がっていくのを呆然とみていた。
自分がなんだったのか。神様だったことすら忘れた。
ゆっくりと黒い体が砕けていく、自分の世界がどんどん壊れていく。その様をボーっと眺めていた。
『あーっ…………』
こーやって、1人で死ぬのか。
結局何もなかった人間はぼーっと死を眺めているのか。
『我はなんだったんだ……?結局…………何もできなかった』
体や能力だけでなく、心まで死んだ。確かに全てが死んだ"自己投影"が風と共に散り、自分の世界を失ったのだ。




