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神様は死なない

あらゆる手段が広嶋に試される。



『不倒は我だ!』


回復しながら、攻撃も可能。"自己投影"がやられっぱなしになることはなかった。"自己投影"は想像できるだけ、広嶋に向けて攻撃を繰り出した。

広嶋の体もまた"自己投影"の攻撃に耐え切れずに爆散する。



『ふはははは、ゴミのように散ったか!』

「よし、次はお前がゴミのように弾けろ」

『分かった!……は?』



確かに捉えた情報で広嶋は爆散した。しかし、気付いた時。広嶋は"自己投影"の頭上にいた。そこからストンと広嶋が地面へ着地するほど、"自己投影"を解体。擬似的に"自己投影"と似た行動をとった広嶋。

広嶋に残酷なビジョンをこの世界で作ろうとしても、悉くぶち壊される。



『くっ!』



再生するポイントが広嶋に読まれ、先回りされる。



「よぉ」



挨拶をかけられると共に体が吹っ飛ぶ。回復前に広嶋の体を焼こうとするも、一度ついた炎は急速に鎮火してしまう。水もなく、風もないというのにこちらの攻撃が止められる。



『ず、ずるいぞ』



回復で生き長らえる"自己投影"であるが、回復とは痛みがあってこそ行われる。一方、広嶋は防御であるため痛みをあまり感じない。防御の仕方にもいくつかバリエーションがある。



『常に痛いのは我だけではないか!』

「痛覚抜いたら?」



互いの力量が互角であるというのになんて情けない発言。アドバイスまでもらう始末。

こんな神様がいるのか?


『貴様、この神を殺すつもりか!殺すぞ!』


そして、自分が殺されるのではないかという恐怖を感じている。

早くも広嶋から感じる無限の敗北。



『この世界の神は絶対に滅びん!無駄を悟るが良い!全てを束ねる我にひれ伏せ!』

「ごちゃごちゃうるせーな」



広嶋は"自己投影"との相性が良かった。

いくら世界を万能に操作できようと、それがもうこいつからの人為ならば恐れない。そして、神といってもこの世界の全てを統べていれば広嶋には通じない。

"同士討血"の防御を崩すような攻撃を作れなければ広嶋は倒れない。



『串刺しの刑!打ち首の刑!凍死する気候!とにかく、何でもいい!!こいつを殺せ!!』



有無を言わせず広嶋の体がボロボロに朽ちようと、またどこかに広嶋は現れる。そして、怯えることもなく"自己投影"の首を撥ね飛ばす。



『うおぉぉっ、ま。またやった』



殺されても蘇るのは同じなのに精神的に苦しむのは"自己投影"。


『NPCの中!……!そうだ』


自分の想像力ではすでに広嶋を完全に殺害するイメージが沸かない。それだけ精神的に追い詰められていた。これは立早と匹敵するメンタルの弱さ。それが導いた答えは神とは非なるもの



『別の異世界からこいつを倒せる連中を召喚してやろう!』

「神様が自分のために人に助けを求めるなんて、聞いた事ねぇぞ」



眩い光と共にこの世界に風穴が空き、多くの人間をここにひきずりこんだ黒い手が現れた。



『広がれ、世界よ!多くの力を我が手にしてみせよう!』



隕石が落下する光と音と共に、異世界で暮らしている生命体がここに連れて来られる。無作為とはいえ、いちお自身が不死身のルーチンをもち、異世界の数で暮らしている人間の数はさらに無限大。使用できる手段は広嶋を超越している。



『うははははは!即・死!即・死!我が駒となれ!』



召喚すると同時に多くの命を葬った雷が落とされ、事態を飲み込む前に命は散っていく。

広嶋に解体されながらも叫んでいる"自己投影"。



『この悪魔を駆逐しろぉぉっ!』

「お前なぁ……」

『誰でも良い!駆逐しろぉぉっ!』

「自分で殺せる奴に助けを期待するな」



呆れちまう。広嶋は一種の精神攻撃を喰らっていると自覚するほどだ。

呆れていても、これほどの所業をやってしまう輩。無関係の人間を巻き込む"自己投影"を今、ここで自分が殺さなければいけない。



「拷問時間だ」



川城戦では立早がボロボロに体を壊された。そのことに馬鹿だろうと、隣にいて感じていた"自己投影"。だが、結局自分も同じだった。

相手が違うとはいえ、一度窮地に立たされると何もできないクズ野郎。



『に、逃げなきゃ!殺される!』

「俺から逃げたきゃ、死ぬんだな」



全能かつ万能と自負しても、他者が頷くほどの取り得は不死身のルーチンが良いところだ。想像力も恐怖に侵食されれば良いイメージは浮かぶ事ができない。自信だけで成り立つ力は酷くもろい。

不死身であっても広嶋に背中を見せて逃亡するほどだ。


『た、助けろ!そこの人間!神である我を助けろ!悪魔を止めろ!』


召喚する人間に助けをこうも、絶望を魅せつける広嶋の殺害は"自己投影"だけじゃなく、召喚される人間にも向けられた。"自己投影"の目の前で人が弾け飛んだ。

自分の体が弾け飛んでも意識せず回復するため、見る恐怖はなかったが、自分があのように殺されていたことを知ってゾッとした。


『お、お前!カンケーのない人間すら殺すか!!なんたる悪魔か!人間じゃねぇ!!』

「召喚したのはテメェだろ。忘れるな」


なんだ。なんだ。なんだ。

この悪魔は?希望を打ち砕く残虐野郎。クソ野郎。

助けすら呼ばせないつもりか。無関係な生命体を殺すのか。この神を殺すつもりか。

どう考えても死ぬべきはコイツだろう。なんだこの男の、超越したものは。



『す、全ての世界を敵に回してやる!貴様以外の全てが敵となる世界にしてやる!人が無くなるまで召喚し続けてやる!覚悟しろ!お前が戦うのは全人類だ!』


"自己投影"の怯えの入った恐喝は現実可能。


「かまわねぇが」


しかし、例えそれができたとしても広嶋はまったく恐れていない。むしろ、より好都合みたいな顔をしていた。


「全人類が敵になっても、俺1人だけが絶対に勝つけどな?」


言葉と共に"自己投影"が召喚し始めた人間達全員に照準を合わせた。遠く離れ離れで召喚された彼等だが、磁石のように引き合う。引き合う力が徐々に増していき、零距離の愛しい距離感が生まれるほどまで発展。


「死ね」


終点はお互いの体同士が剥がれる無残な死に方。ゴミクズの如く散るが、希望。

"自己投影"の代わりに広嶋が召喚される者達を始末する状態。



『くたばれぇぇっ!この悪魔は!』



自分で捨てておいて、"自己投影"が選択したのは立早が川城を倒すきっかけとなった自分もろとも巻き込んだど派手な攻撃だった。

立早のことが嫌だったのだろうか、選んだのは雷ではなく、なんと己の体が大爆発を行って、生命生存の拒絶を発しているような黒い煙と高温の空気を周囲に流した。回避不能の攻撃に広嶋は当然に飲まれていった。


「だからよ~」



しかし、己の命を使っても広嶋には傷がつかなかった。


「もうお前じゃ俺に殺されるしかねぇんだ」


まだ理解できていない模様。川城は回復で死から逃れたが、広嶋の強力な防御には命を捨てても届かない。全人類を敵に回しても、いや大勢で広嶋に立ち向かうほど強固になる理不尽な防御だ。

自分の攻撃で自分が痛く、自分で回復するだけ。

回復すればまた襲ってくる広嶋の理不尽以外ない猛襲。虐め、虐待。

神が裁かれて良いわけがない。


『くぉっ、うがあぁっ、この神を。この神を。甚振るとは……神は絶対だ!我は絶対だ!!貴様のような人間が触れていい存在じゃない!!』

「いつから、神が俺より偉くて強いと思ってんだ?」



こいつは、本当に神なのか?

名乗っているだけなのかもしれない。



「お前が神を名乗った時点で勝敗は決していた。神になった程度で偉そうにすんな」




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