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私が頑張るとみんな死んじゃいますわ  作者: 孤独
VSパンパン編
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ぼくのかんがえたゆうしゃ①

「お前。ちょっと待てよ。なぁ」



立早はうんざりした顔をした。自分と戦おうとする相手が、明らかな格下であることを見抜いていた。



「俺、神様だぞ。川城も、そこにいるシィエラも俺が戦って倒したんだ。もう俺を倒せる生物はこの世にはいないと全国放送で断言したいという時に」



たった一人の雑魚のために力を使うなんてアホであると、立早は珍しく悟っていた。



「いくら俺のチート装備を纏っていても、俺に挑むとは頭がオカシイんじゃねぇのか!?」



お前に頭がおかしいとか言われたくねぇ。



「ちゃんと計算できるか?お前は人間、俺は神様。この差は誰にだって分かるだろ?……あ、悪い。計算じゃなかった。国語って分かるか?言葉って分かるか?」


X76とは違った意味で喋って欲しくない。

いくら凄い力を得ていても、頭が馬鹿なんだから。それがバレているんだから喋らないでくれ。

しかし、立早の言っている事はもっともである。パンパンに勝機は限りなくない。

それはパンパンもまた理解している。証拠に脅されただけで体が何度か震えていた。



「ぼ、僕には……」



自分のやるべき事はシィエラを救う事である。

もし、立早が神様だというのならこの願いを叶えてくれるだろう。しかし、神様は残酷にシィエラを殺そうとする。酷い奴だ。



「僕には神様なんていない」

「あ?」

「元々、僕は病気で歩けなかった。どんなにリハビリをしても、どんなに手術を繰り返しても歩けなかった。……僕に命がある理由が今まで分からなかったけど」



剣の切っ先は立早の頭に向いていた。



「神様なんていない。僕の命はそのためにあったんだ」

「なぜ、俺に剣を向ける」

「この世には神様はいるという否定をするため」



パンパンから感じるオーラは立早の憧れに近いものだった。

神様という絶対的な強者に対して、怯えを隠せずとも立ち向かう様。無理無謀の現実に対して、挑める男。



「なぜ?なぜ?」

「さぁ、来い!」


殺すことなど容易いのになぜ。今、立早はパンパンを憎しむ感情を出さなきゃならない。



「なぜだ?なぜだ?なぜだ?」



逆ではないか。神に挑むこの少年はまるで俺の理想?強いの理想?理不尽に立ち向かうそれ?



「?なぜだ?なぜだ?」

「え?」



何が起こっているかは立早も含め、パンパンも、シィエラにも分かっていない。しきりに疑問を投げかけている立早に2人は気味が悪いという目を向けた。

唯一、立早に起こっている異常を察知したのは彼を軸とした小説を生み出していたテンバーだけだった。


「?なぜだ?なぜだ?なんでお前は俺と戦う?」



"自己投影"の副作用なのか、それとも立早が世界の構築やら連戦やらで知らぬ間に消耗していたのか。そのどちらかには絞れる現象。

些細な思考を巡らすだけで次に繫がる思考までが遅くなって来ている。

想像力と思考力の記憶時間が増加している。



「弱いくせになんで俺に刃を向ける?神となぜ戦う?」



"自己投影"の力は増すばかりであるが、立早の体が悲鳴を上げていた。

だが、立早の心に苦しみが届かない。彼の心はまだパンパンがなぜ自分に挑んでくるのか?意味が分からない。というロジックに捕まっていた。分からなければ分かるようにすればいいのに、必死に椅子に座って考えるだけの子供のようだった。

答えを出すまでに1分以上も掛かった。



「た、戦う。俺はお前と戦ってやる。お前では神である俺にどんなことでも勝てない事を教えてやる」



戦うと決めた時、あろうことか立早が行ったのは剣の創造。



「俺は神様なんだ。人間に負けるわけがない」



パンパンとの一騎打ちを選択した。

しかも、パンパンが今身に付けている装備に立早が合わせたのだ。立早ならばそれ以上のチート装備はもちろん、剣などという接近のみしか取り柄のない武器を使わせることなく倒せる能力があるはずだ。

パンパンの理解できない戦意に、立早の思考は混乱していた。



「僕と、剣で勝負するの?」

「神様は負けない。なんであろうと負けない。人間に劣らないのだ」



2人の息が合った時。互いにその命を狩りにいった。



「うおおおぉぉっ!」

「神様は!絶対に負けない!!」



剣の攻撃力より鎧の防御力が高い。一撃での即死はどちらもない。斬り合いは長引く。

立早のHPは全回復している。長期戦はどう考えてもパンパンに勝ち目はない。

しかし、



『強さが判らなくなった神様は、剣士となって強さを知ろうとし伝えようとした。弱そうな少年剣士に強さを見せつけようと、必死に剣を振り翳したのだった』



テンバーの、読書が終わるには10秒も掛からなかった。




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