川城の教え子③
体に衝撃が走った。
白い雷の中に閉じ込められたまま、お互い同じタイミングで体を回復させた。
害悪な細菌すら自己治癒で消せる川城の、"貯金戦士"の回復力の応用性は高い。だが、基本的な回復量や速度についてはかなりのレベルではあるが、立早の理不尽で絶望を与える全回復には劣っていた。
「おごおぉっ、痛っ」
立早による川城のHPの目算32万に匹敵するダメージを与える雷。自分自身にも32万のダメージが来ていた。体が破裂する感覚は度重なる殴打では表現できなかった。
復元が若干鈍っているも、HPは計算通り立早に32万ダメージ。そして、川城にも32万ダメージ。
「くぅっ……むんっ!」
だが、死亡から復活をできるのは川城もまた同じ。治癒力の強化は死を回避するほどだ。
氷を砕くような音と共に雷から脱出。同時に痺れを吹き飛ばした。状態異常からの回復力は川城が上。
「ぷはぁっ!っっ」
やや遅れて立早も自ら放った雷を粉砕した。だが、電撃による体の痺れと火傷までは回復できなかった。
傷が塞がっていき、血が消えていく立早と、動きながらも血を流している川城。
未だに自分の回復を待っていた立早に、川城の全霊が込められた拳を避ける事は不可能だった。
めり込み、顔面が爆散する。
「はっ」
川城はまだ動いていい体ではない。治癒力の強化より、目の前で頭が吹き飛んだ立早を殺害するための、強さを求めた。
破壊力、瞬発力、持久力、技術力、体力、精神力、努力。
全てを詰めて、立早が完全に消えるまで
「俺はお前を殺して、妻と子供に会いに行く!!」
立早の塵が川城の周囲に生まれていた。
これほど強力な攻撃を生み出せたのは自らの死力が見え始めたからだ。
「お前が死ぬまで、殺す!!」
死の淵が生み出すのはさらなる愛情だった。
家族が自分の死が分からぬまま、骨を抱けないまま、こんな世界でくたばっていいわけがない。
泣き言や悲鳴すら上げられない立早。
回復がちゃんとできているのか分からないほど、川城の命の灯火と愛の灯火がもたらす攻撃。
塵は、塵のまま。川城の攻撃がずっと続いたまま。
攻撃のラッシュ音が徐々に静かになっていきながら、時間が過ぎていく。
そして、その音と隠れきれない存在感を頼りに二人のところへ向かっているシィエラ。
「ここだと思ったけど」
シィエラが川城のところまで辿り着いた時。
そこにいたのは、立ち止まっていた川城だけであった。
「終わったの?川城」
立早の姿は依然なく。
シィエラの声に川城は
「ああ」
そう答えてシィエラの方に体を向けた。




