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一休み

同時にシィエラとパンパンが召喚された世界で待っていたのが一人。



「あら、川城さんじゃない」

「シィエラに、パンパン。無事だったのか」



X76を倒して次の異世界へと踏み出していた川城。川城は闘技場から、シィエラとパンパンは病院からやってきた。その次の異世界は浜辺とよく分からないが、広場と建物が並んでいたとしか3人には分からない。



「何をするか、分かってないの?」

「ああ。何人かすでにここに来ているが、どうやってこの世界から出ればいいかは分からない。立早の居場所も分からない」



X76を討ったことが、川城なりに傷付いていたのだろう。

五月蝿かった奴がいなくなると部屋が少しだけ広く感じるような、寂しさを抱いていた。



「平穏なら平穏に時間を過ごす事にするよ」

「釣りですか?」

「得意じゃないが、暇潰しには良いだろう。私達が争う理由がなければなおのこと良い」

「そうですか」



辿り着いた世界はまだ立早の攻撃が始まっていなかった。

しかし、シィエラ達が来たように次々とここに召喚される者達がいる。



「着いたか」

「あら~、広嶋くん。17番目よ」

「いきなり何を言ってやがる」

「遅っ、って言ってあげてるの。そんなに苦戦した?可哀想な事された?」

「ゴキブリとクソガキと、どM馬鹿の退治をしてただけだ」



広嶋もシィエラ達と合流。

シィエラ達には分からなかった海の向こう側にある建物を広嶋が答えてくれた。



「あれはサーキット場か?」

「サーキット場?」

「お前等にはわかんねぇだろうがな。端的に言うと競争を行う場だな」

「なるほど、奴隷達の運動場ってわけね」

「少し違うが、そーゆうこともなくはないな。ところで立早は仕掛けて来たのか?」

「まだだな。こうして釣りをしてれば分かるだろ?」

「暇じゃねぇか」


広嶋は溜め息を漏らし、川城にメッセージを飛ばした。


「俺は散策してくる。人を殺したくなかったら、なるべく固まって動かずに生活する事だな」


川城は広嶋が散歩に行く前に少し考えた顔をしてから


「そうだな。ありがとう」


君らしくない気遣いだと、川城は心の中で呟いた。

なんとなくだが、自分が気落ちしているのが奴にバレた気がする。

こうして、釣りをしているのもなるべく犠牲者を出さないためだ。

X76をNPC化した以上、彼が敵となって襲ってくるのは明白だ。立早の世界で同士討ちは愚行なのだ。



「ふふん。じゃあ、私も広嶋くんが心配だから付いて行っちゃおうかしら?パンパンくん、川城さんと居なさい」

「ええ?シィエラさんも行くの?」

「だって、あんな事を言っておいて1人で行動しちゃ危ないでしょ?ここには沢山人がいて、川城さんもいるなら安心じゃない?じゃあね」



シィエラも駆け足で広嶋を追っていく。パンパンは残念そうにシィエラを見送った。



「ねーねー、17番目」

「誰が17番目だ」

「勝手に行動しちゃいけないわよ。私がリードしてあげるわ」

「余計なお世話だ。消えろ」

「私は消えない。だって、あなたをからかうのが楽しいんだもん。私の同類じゃん」



暇潰しに人をからかうという腹立たしい趣味。

シィエラが認めるように広嶋もまた、シィエラが同類だと認識している。だが、同類だとしても仲間ではない。



「邪魔したら殺すぜ?」

「あらら?それはないわね」



頭の切れは広嶋が上回るが、シィエラもまた同様に切れる。



「私まで敵に回していいのかしら?だ・か・ら、仲良くしましょ」

「それが境界線か?場合によっちゃ、立早より先にお前を消すぞ。俺にそれはカンケーねぇ」

「なら殺しましょうね。こんなに首も、体が近いのよ。ま、私はあなた如きに殺されないけどね」



シィエラも広嶋も同類。



「あなたみたいな強者。どんな苦しい顔をするか想像しちゃうと、手が動きそう」

「玩具は頑丈な方が良いよな。じゃねぇと、遊べる時間が短くて困るぜ」



同行は許した。



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