第8話:王宮の晩餐会。絡んできた高慢貴族に、本物の『魔力』を見せつける。
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王宮の晩餐会で、無能貴族を「分からせる」シーンをお届けしました。
アルスにとっての「挨拶」が、常人にとっては「天災」……この圧倒的な差が最高に気持ちいいですね!
その夜、俺は王宮の晩餐会に招かれていた。
シルフィア王女が用意してくれたのは、最高級のシルクで仕立てられた濃紺の礼服。鏡の中の自分は、まるで別人のように見えた。
「……落ち着かないな。俺はただの冒険者なのに」
「何を言う。貴殿は我が王家の最優先招待客だ。胸を張ってくれ、アルス殿」
隣を歩くシルフィア王女が、誇らしげに微笑む。
会場に一歩足を踏み入れれば、着飾った貴族たちの視線が一斉に俺たちに注がれた。
だが、その視線のすべてが好意的なわけではない。
「おやおや……シルフィア殿下。その隣にいるのは、どこの馬の骨ですかな?」
嫌味な笑みを浮かべて近づいてきたのは、大肥満体の男――ボルドー侯爵だった。
彼はこの国の魔導軍事予算を牛耳る有力貴族で、傲慢な性格で知られている。
「彼はアルス殿。私が自らスカウトした、類まれなる魔導の才を持つ御仁だ」
「ほう、魔導の才? 見たところ、魔力回路も細そうな平民の小僧ではありませんか。殿下も、詐欺師に騙されるとはおいたわしい……。おい、小僧。貴様の身の程を教えてやろう」
ボルドー侯爵が、俺に向けてこれ見よがしに指を鳴らした。
彼が雇っている専属の宮廷魔導師たちが、俺を威圧するように一斉に魔力を解放する。
――ビキビキ、と会場の空気が震える。
周囲の令嬢たちが悲鳴を上げ、グラスの酒が波打った。
「どうだ、平民。本物の魔導師たちの重圧は……――あ、あれ?」
ボルドー侯爵が首を傾げた。
俺が震え上がるどころか、欠伸でもしそうな顔で立っていたからだ。
「……すみません。何かしましたか?」
「な、何を……!? これだけの圧を受けて、正気でいられるはずが――」
「退屈なので、俺からも少しだけ『挨拶』していいですか?」
俺はほんの一瞬だけ、内側の魔力の『蓋』をミリ単位でずらした。
――ドォォォォォォォォォン!!
衝撃波すら伴わない。
ただ、純粋な「質量」としての魔力が、王宮全体を押し潰さんばかりに膨れ上がった。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?」
ボルドー侯爵がその場に崩れ落ち、失禁する。
彼が連れていた魔導師たちは、白目を剥いて次々と床に倒れ伏した。
会場中のシャンデリアが共鳴し、あまりの魔圧に誰もが呼吸を忘れ、ただ立ち尽くす。
「アルス殿、そこまでだ! これ以上は王宮が持たん!」
シルフィア王女の焦った声で、俺はすぐに魔力を収めた。
「……失礼しました。少し出しすぎたみたいです」
俺が静かに頭を下げると、会場には異様なまでの静寂が訪れた。
先ほどまで俺を嘲笑っていた貴族たちは、今や恐怖と羨望が混ざった目で俺を見つめている。
その頃。
王宮から漏れ出たその圧倒的な魔力の光を、王都のゴミ捨て場で漁り物をしていたエルザたちは見上げていた。
「な、なによ……今の光……。王宮で、何が起きてるの……?」
空腹で震えるエルザの脳裏に、かつてアルスが言った言葉がよぎる。
『俺がいなくなれば、君たちの魔法は維持できなくなるぞ』
「嘘よ……認めない。あんなゴミに、こんな力……あるわけないじゃない……っ!」
彼女は泥にまみれたパンを握りしめ、届かぬ光に向かって、ただ呪詛を吐き続けるしかなかった。
ボルドー侯爵の失態、会場中の注目を浴びてしまいましたね。
一方、ゴミ捨て場からその光を見上げるエルザたち……この徹底した落差が、さらなる「ざまぁ」の呼び水となります。
「もっと高い鼻をへし折ってくれ!」「王女様の慌てっぷりが可愛い」
と思ってくださった方は、ぜひ【★★★★★】で応援をお願いします!
次回、アルスに王家から「正式な爵位」が授与されます!




