表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/60

第54話:新しい家族との誓い。そして、誰も気づかぬ旅立ち。

第54話をご覧いただきありがとうございます。


アルスが手に入れた「家族」という名の救済。

そして、誰にも知られることなく王都を去る旧パーティー。

憎しみすらも消え去った後の、徹底した「無関心」による決別。

これが、アルスが歩んできた道がもたらした、最も静かな結末への一歩です。


 ハルバート領の領主館。そこには今、世界で最も穏やかで、幸福な時間が流れていた。

 

 あの日、神殿で愛を誓い合った俺たちは、今、家族としての第一歩を踏み出していた。

 朝、リアナが淹れる紅茶の香りで目覚め、シルフィアと剣の稽古をし、ルナリスの奔放な我儘に笑い、セレスティーヌと精霊の歌を聴く。

 

「……ああ、本当に幸せだ」


 何度目か分からないその独り言に、隣で俺の肩に頭を預けていたリアナが、くすくすと笑った。


「アルス様、その言葉、もう今日だけで五回目ですよ。でも……私も同じです。誰かの身代わりではなく、貴方自身としてここにいてくれる。それだけで、私たちは救われているんです」


 俺の手を握る彼女たちの温もり。それは、かつて冷たい地面に一人で横たわり、空腹と孤独に耐えていた俺には、想像もできなかったほど強くて優しいものだった。

 俺の魔力は、もう誰の「代償」でもない。この家を満たす、温かな灯りそのものになっていた。


 一方その頃。

 王都アステリアの北門を、三人のみみすぼらしい影が、誰にも気づかれることなく通り抜けていた。


 エルザ、ガイ、ミレーヌ。

 かつて王都中を熱狂させた英雄たちの姿は、そこにはない。

 門番は彼らを見ても、通行証の確認すら面倒そうに手を振って追い払うだけだった。


「……行くわよ。ここには、もう……私たちの居場所なんて、一ミリも残っていないんだから」


 エルザの乾いた声に、ガイもミレーヌも無言で頷く。

 彼女たちは、ついに自分たちの「敗北」ではなく、「不在」を受け入れたのだ。

 アルスを捨てた事実は、世界が彼を神格化したことで、もはや「語ることすら許されない禁忌」となっていた。

 自分たちが誰であったか、何を犯したか。それを口にする自由さえ、この清浄な世界では奪われていた。


 彼らが向かうのは、人の寄り付かない最果ての荒野。

 誰の記憶にも残らず、誰からも恨まれず、ただ「初めからいなかったもの」として、ひっそりと朽ちていくための旅。

 エルザは最後の一度だけ王都を振り返り、高くそびえ立つアルスの黄金像を見上げた。

 

 その光は、もう彼女たちの足元を照らすことはない。

 彼女たちは、自分たちが手放した「太陽」の背中を、永遠に追い続けるだけの、影のない旅路へと消えていった。


「……アルス様、見てください! 庭に珍しい精霊の花が咲きましたよ!」


 ルナリスの明るい声が、館の廊下に響き渡る。

 俺は笑顔で立ち上がり、新しい家族が待つ庭へと、迷いなく歩みを進めた。


自分たちの名前さえも捨てて消えていくエルザたち。

対照的に、愛する人たちに囲まれて新しい人生を歩み出すアルス。

この「断絶」こそが、第一話から描き続けてきた物語の最終回答となります。


完結まで、残りわずか数話となりました。

アルスの伝説がどのような大団円を迎えるのか、ぜひ最後まで一緒に見届けてください!

下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、ブックマークと一緒にアルスへの最後の応援をお願いいたします!

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ