第5話:黒鋼竜を「素材」として納品したら、ギルドが静まり返った。
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ついにアルスの実力が公になり、王女様まで登場しました。
「無能」と蔑んでいた聖女の前で、最高権力者がアルスに膝をつく……。
これこそが、我々が読みたかった瞬間です!
――ズゥゥゥゥゥゥゥン!!
北の廃嶺に、巨大な質量が崩れ落ちる音が響き渡った。
一撃。
俺が放った『ライトニング・ランス』は、鉄より硬いと言われる【黒鋼竜】の鱗を紙のように貫き、その命を刈り取っていた。
「……あ。やりすぎたかな」
辺り一面、雷の余波でガラス状に焼けている。
幸い、依頼品である魔核と素材は無事なようだ。
俺は魔法で竜の死骸を丸ごと浮かせると、そのまま王都へと引き返した。
一方、王都の冒険者ギルド。
そこには、昨日の傷も癒えぬまま、日銭を稼ぐために無理やり這い出してきたエルザたちの姿があった。
「ねえ、もう一度言うわよ。ギルドの備品を『貸し出し』にしてちょうだい!」
「……エルザさん、何度も申し上げますが、未精算の宿代や修理費を抱えている方に、これ以上の貸付はできません」
受付カウンターで、リアナが毅然とした態度でエルザを撥ね付けていた。
かつての「高潔な聖女」の面影はなく、エルザの顔には焦燥と苛立ちが張り付いている。
「チッ、使えない職員ね……。いいわ、アルスがあのS級依頼で死んで、その死体から装備でも剥ぎ取れば――」
エルザがそう毒づいた、その時だった。
――ギギィ、とギルドの重厚な扉が開く。
現れたのは、ボロボロになって帰還した英雄……ではない。
あまりにも平然とした顔で、埃一つついていないローブを纏った俺だった。
「ただいま戻りました、リアナさん。これ、納品してもいいですか?」
俺はカウンターの前の広いスペースに、魔法袋から「それ」を取り出した。
――ドォォォォォォン!!
ギルドの床が悲鳴を上げ、巨大な黒い竜の死骸が姿を現す。
瞬間、ギルド内の喧騒が、水を打ったように静まり返った。
「な……く、黒鋼竜……!? 討伐したっていうの、たった一人で……!?」
「嘘だろ……。傷一つない。一撃で、心臓を撃ち抜かれてる……」
ベテラン冒険者たちの震える声が響く。
エルザは目を見開き、口をパクパクとさせて固まっていた。
「あ、アルス……? どういうことよ、あんた、無能だったはずじゃ……!」
「ああ、エルザ。……無能だった俺に、こんな重い素材は運べないだろ? 君たちの言う通り、俺には荷物持ちは向いてなかったみたいだ」
俺が淡々と告げると、エルザの顔が屈辱で真っ赤に染まる。
「そ、そんなはずないわ! ズルをしたのね! 誰か強い冒険者に手伝わせて――」
「控えよ、無礼者」
その時、ギルドの奥、貴賓室の扉が開いた。
現れたのは、白銀の鎧に身を包んだ、凛々しき女騎士。
この国の第一王女にして、近衛騎士団長、シルフィア・アステリア。
彼女はまっすぐに俺の前まで歩み寄ると、膝をつき、恭しく頭を垂れた。
「……貴殿の放った雷、王宮からも拝見いたしました。失われた古代魔法の使い手……いや、現代に現れた『真の賢者』とお見受けする。アルス殿、ぜひ我が王宮へお越しいただきたい」
ギルド中が、今日二度目の絶句に包まれた。
ゴミのように捨てられた「荷物持ち」が、今、この国の頂点から手を差し伸べられた瞬間だった。
エルザたちの「そんなはずない」という現実逃避、スカッとしますね!
しかし、アルスの本当の快進撃はここから始まります。
「王女様キターー!」「ざまぁが加速してきた!」
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