第49話:世界は「守護神」を称え、そして愚か者たちを忘却する。
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アルスが「負の感情」を飲み込んだ結果、旧パーティーへの憎しみさえも世界から消えました。
それは一見救いのようですが、彼女たちにとっては「誰の記憶にも残らない」という、最も残酷な忘却の始まりでもあります。
空から黄金の粒子が降り注いだあの日から、世界は一変した。
単なる英雄ではなく、世界の理を一人で守り抜く「守護神」として、俺の名は神話の一部となっていた。
「アルス様、街は大変な騒ぎですよ。貴方が過去の災厄を飲み込んだ姿を、全人類がその目に焼き付けましたから。今や、貴方を『神』と呼ばない者はいません」
領主館のテラスで、リアナが誇らしげに、そしてどこか眩しそうな目で俺を見つめる。
俺が少し外へ出れば、行き交う人々は一斉に足を止め、祈るように頭を垂れる。
だが、俺の中に傲慢さはなかった。
ただ、肩にかかっていた「過去の重荷」が消え、心地よい静寂だけが広がっていた。
一方、王都の地下牢から密かに放免されたエルザたちは、人混みの中で途方に暮れていた。
「……ねえ、エルザ。誰一人、私たちのことを見ないわね」
ミレーヌが震える声で呟く。
かつては「大罪人」として石を投げられた。だが、今はそれさえもない。
アルスが世界中の負の感情を飲み込み、浄化してしまった結果、人々の心からは「旧パーティーへの憎しみ」すら消え去っていた。
残ったのは、徹底した「無関心」だ。
彼女たちが「私たちはアルスの仲間だった」と叫んでも、道行く人々は「ああ、あの哀れな狂人か」と一瞥し、すぐに救世主アルスの彫像へと視線を戻す。
恨まれることすらなく、ただ存在しないものとして扱われる。
アルスが世界を完璧に救ってしまったことで、彼女たちは「物語」から完全に弾き出されてしまったのだ。
「……あ。……あぁ……っ」
エルザは、眩い太陽の下で、自分たちが透明な影になっていくのを感じていた。
どんなに叫んでも、どんなに後悔しても、世界はもう彼女たちの声を聞かない。
アルスの光が強すぎるために、彼女たちの暗い過去は、認識されることすらなくなったのだ。
俺は、シルフィア王女から贈られた新しい魔導具の調整をしながら、穏やかな午後の陽だまりに目を細めた。
世界から憎しみが消え、俺の大切な人たちが笑っている。
……それだけで、俺が背負ってきたすべてが報われた気がした。
人々の記憶から消え、歴史のノイズとなったエルザたち。
対照的に、世界の中心となったアルス。
この「絶対的な孤独」こそが、自ら救い手を振り払った者への、最後の報いです。
完結まで残りわずか。アルスの幸せな結末を、最後まで一緒に応援してください!
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