第42話:冒険者ギルドの再訪。俺の名が「禁忌」となった場所で。
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かつては王都の中心にいたエルザたちが、今やギルドの土を踏むことすら許されない存在に。
「アルスを捨てた」という過去が、物理的な壁となって彼女たちの前に立ち塞がります。
王都冒険者ギルド。かつてエルザたちが「暁の聖光」として、常に注目の的となっていた場所だ。
三人は、数年ぶりにその重厚な扉を押し開いた。
かつての喧騒は変わらない。だが、そこに漂う空気は一変していた。
掲示板に並ぶのは、アルスが提唱した「安全な護衛」や「資源採取」といった効率的な依頼ばかり。そして、ギルドの中心にはアルスの偉業を称える巨大な肖像画が掲げられていた。
「……受付はどこよ。早く再登録させなさい」
エルザが、かつてのように高慢な態度でカウンターを叩く。
対応したのは、リアナの後任である若い職員だった。彼はエルザの顔を見るなり、凍りついたような無表情になった。
「……お名前は?」
「聖女エルザよ。後ろにいるのは重騎士ガイと魔導師ミレーヌ。以前のランクを復旧させてちょうだい」
職員は、羊皮紙のリストを捲ることもせず、冷淡に答えた。
「該当する名前はありません。……いえ、正確には『全ギルド共通ブラックリスト』にその名が刻まれています。貴殿らに発行できる冒険者証はありません。今すぐお引き取りを」
「なっ……ふざけないで! 私たちはかつて、この国を救おうとした英雄なのよ!」
「『審判の光』を呼び出し、アルス様を陥れようとした罪人が何を。……貴女たちの声が響くだけで、このギルドの品位が落ちます。警備員を呼ぶ前に、消えてください」
周囲にいた冒険者たちからも、ゴミを見るような視線が投げかけられる。
かつて彼らが、アルスのことを「荷物持ち」と嘲笑っていた時と同じ場所で、今、その報いが何倍にもなって返ってきていた。
「アルス……アルスに会わせなさい! あいつなら、あいつなら私を……っ!」
「アルス様は今、エルフの聖域にて、世界の理を整える重要な公務に就かれています。貴女のような不浄な存在が、お名前を呼ぶことすら許されません」
エルザが震える手でカウンターに縋り付こうとしたが、かつてアルスが優しく磨き上げていた彼女の装備はもうない。あるのは、指先がひび割れた、惨めな平民の体だけだ。
一方、俺はエルフの女王セレスティーヌの案内で、領地内の「智慧の泉」を視察していた。
「アルス様、この水路を通じて、大陸全土に浄化された魔力が流れていきます。……貴方の存在そのものが、もはや世界の血管なのですね」
「……そんなに大層なものかな。俺はただ、みんなが安心して暮らせればいいと思っているだけだよ」
俺が泉に触れると、透き通った水が心地よく歌うように跳ねた。
王都でエルザたちがどんなに叫び、拒絶されていようとも。
その怒号は、ここハルバートの穏やかな風に届くことは、二度となかった。
自分たちの名前が「消したい歴史」として扱われる絶望。
アルスが徳を積めば積むほど、旧パーティーの居場所は世界から失われていきます。
完結に向けて、この「埋められない格差」をさらに深めてまいります!
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