第39話:偽りの聖典が燃える時。女神による最後の一撃。
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ついに教団が崩壊し、エルザの「聖女」としてのプライドが根本から打ち砕かれました。
自分の実力だと信じていたものすらアルスのおかげだったという事実は、彼女にとって何よりの罰となったはずです。
教団本部の最奥に、ルナリスの静かな、だが全てを震わせる神威が満ちていた。
「ひ、ひぃぃ……あ、ああ……」
大司教ボリスは、自分が呼び出した存在が「本物の女神」であると悟り、そのあまりの格の違いに魂まで震わせていた。彼が積み上げてきた虚飾の権威は、ルナリスの視線一つで砂の城のように崩れ去っていく。
「神の名前を騙って私利私欲を貪り、アルス様の優しさを利用しようとするなんて。……おじいさん、あなたに似合いの場所はここではありません」
ルナリスが軽く手を振ると、大司教の体は影に飲み込まれるように消え失せた。彼が犯した罪の重さに相応しい、終わりのない断罪の地へと送られたのだ。
静寂が戻った祭壇で、俺は拘束から解放されたエルザの前に立った。
彼女の瞳には、もはや怒りも執着も宿っていない。ただ、深い絶望と、理解を越えた事象への恐怖だけが残っていた。
「……アルス……。私、私は聖女に、選ばれたはずなのに……」
震える声で呟くエルザに、ルナリスが氷のような冷たさで告げた。
「勘違いしないでください。あなたが聖女の職に就けたのは、私の加護ではありません。あなたの隣にいたアルス様が、あなたの傲慢な魔力回路を裏で支え、壊れないように『肩代わり』し続けていたからですよ」
「……え?」
「アルス様がいなければ、あなたは最初から聖女どころか、魔導師ですらなかった。……あなたは、自分の足で立っていたことさえ一度もなかったんです」
エルザの顔から、完全に表情が消えた。
自分の才能だと思っていたもの。自分が「無能」と切り捨てた男より上だと信じていた根拠。そのすべてが、当のアルスからの「施し」だったという事実。
これ以上の「ざまぁ」は、この世に存在しなかった。
「……アルス殿、行こう。この者に、もうかける言葉はない」
シルフィア王女が俺の手を取り、出口へと促す。
俺は一度だけ、祭壇で廃人のようにうなだれるエルザを振り返り、そして静かにその場を後にした。
教団の象徴であった大聖堂が、背後で音を立てて崩壊していく。
偽りの聖典は燃え尽き、王都にはようやく、アルスの魔力によって守られた本当の夜明けが訪れようとしていた。
女神ルナリスによる無慈悲な宣告。アルスの献身がいかに深かったかが、最悪の形で証明されました。
物語は、いよいよ第2章の完結、第40話へと向かいます。
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