第37話:王都を襲う「審判の光」。俺、一歩も動かずに全域を保護する。
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王都を襲う絶望的な一撃すら、アルスにとっては「少し広めに守る」だけで解決する問題でした。
かつては数人しか守れなかった彼が、今は数万の民をその肩に背負っています。
王都の空が、不気味な紫色に染まりきった。
地下からせり上がった巨大な魔導砲――古代兵器『審判の光』の砲口が、王宮と、そこに集う数万の民衆へと向けられる。
「ひ、ひぃぃっ! 神の罰だ! 逃げろ!」
パニックに陥る群衆を嘲笑うように、教団の本部から大司教ボリスの声が響き渡った。
「愚かな民よ。アルスという異端を崇めた罪を、その身で償うがいい! 放てっ!」
――ドォォォォォォォォォォォン!!
天を割るような轟音と共に、極太の破壊光線が放たれた。
触れたものすべてを原子レベルで分解する、伝説の魔力。
だが、その絶望が地上に届く直前――俺は、領主館のテラスから静かに指先を上げた。
「……フェン、少しだけ魔力を繋ぐよ。暴れないでね」
俺は、内側に眠る膨大な魔力の『防壁』を、王都全域を包み込むように一気に展開した。
――チィィィン……。
王都の空に、巨大な黄金の天蓋が現れた。
『審判の光』がその膜に接触した瞬間、凄まじい衝撃波が生まれるはずが、光はまるで行き場を失った水のように、黄金の膜に吸い込まれ、ただの心地よい温風へと変えられてしまった。
「な……な、何だ!? 『審判の光』が……無効化されただと!?」
大司教の驚愕の声が響く。
俺は一歩も動かず、ただ「肩代わり」の範囲を広げただけだ。
数万人の命を奪うはずだった破壊の負荷を、俺一人の魔力が、そよ風程度にまで相殺してしまったのだ。
一方、兵器の核として拘束されていたエルザは、自分の体から魔力が吸い取られる苦痛の中で、空を見上げていた。
「あ……あぁ……。あんなに、あんなに強い光を放ったのに……届かないの……?」
彼女の執念と魔力を触媒にした最大の一撃が、アルスの展開した「ただの壁」に、指先一つで防がれた。
自分がどれだけ憎しみを募らせても、アルスの到達した領域には、もはや悪意すら届かない。
「……アルス。あんたは、本当に……」
エルザの意識が遠のく中、黄金の空を見上げる民衆からは、一斉に歓声が上がった。
「救世主様万歳!」という叫びが、王都を揺らしていく。
「さて。これ以上、王都の空を汚させるわけにはいきませんね」
俺はフェンリルの背に飛び乗り、光の源である教団本部へと、静かに進撃を開始した。
王都全体を一人で守り抜くアルスの圧倒的な守護者としての姿。
その実力差を前に、教団とエルザたちは何を思うのでしょうか。
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