第36話:教団の黒幕、古代兵器を起動して「神の代行」を自称する。
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ついに真の黒幕、大司教が動き出しました。
エルザを「触媒」として利用するその非道な目的。
アルスは、自分を追放した元仲間が関わる最後の因縁に、どう決着をつけるのか。
魔界の浄化を終え、俺がハルバート領に戻った頃、王都アステリアは未曾有の緊張感に包まれていた。
「アルス殿、急ぎ報告がある。……教団の最高指導者、大司教ボリスが反旗を翻した」
領主館に駆け込んできたシルフィア王女の顔は、かつてないほどに青ざめていた。
彼女が差し出した書状には、教団が王都の地下に眠る禁忌の古代兵器『審判の光』を起動させ、王家に対して「神への回帰」と称する降伏を要求していることが記されていた。
「大司教は、アルス殿が魔界を救ったことで世界の均衡が崩れたと主張している。……民衆の一部も、その言葉を信じて教団に同調し始めているのだ」
「……俺が世界を救ったことが、争いの火種になるなんて皮心ですね」
俺が静かに立ち上がると、傍らにいた女神ルナリスが不機嫌そうに頬を膨らませた。
「ふん、あの禿げ頭の爺さん、勝手なことを言って。私、あんなおっさんに『代行』を頼んだ覚えはありませんよ!」
一方、王都の外縁で魔物の残党に追われていたエルザたちは、教団の騎士団によって「救出」されていた。
だが、それは慈悲によるものではなかった。
「……う、うぅ……。助かったの……? 私、助かったのね……!」
泥まみれのエルザが縋り付く先で、大司教ボリスは冷酷な笑みを浮かべていた。
「エルザよ。貴女にはまだ役割がある。……その身に宿る、アルスへの『執着』と『呪い』。それが古代兵器を動かす最後の触媒となるのだ」
「え……? 触媒って、なによ……。離して、離しなさいよ!」
「案ずるな。貴女の望み通り、アルスを王座から引きずり下ろしてやろう。……神の生贄としてな」
エルザは、自分がかつて信じていた教団の手によって、今度は「部品」として利用されようとしていた。
アルスに捨てられ、世界に拒絶され、最後に残った居場所さえも、彼女を食い物にするための罠でしかなかったのだ。
王都の中心から、空を貫くような不気味な紫色の光が立ち昇る。
「……やりたい放題ですね。シルフィア様、行きましょう。俺を理由に、俺の大切な場所を壊させるわけにはいきません」
俺はフェンリルの背に乗り、不気味な光が渦巻く王都へと、真っ直ぐに視線を向けた。
かつて自分を裏切ったエルザを、今度は「救う」のか、それとも「断罪」するのか。
物語は、人族の存亡をかけた最大の決戦へと突入します。
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