第33話:魔界を覆う「瘴気」の正体。それは世界の魔力欠乏だった。
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魔族を苦しめていた「瘴気」の意外な正体が判明しました。
世界規模の危機を前にしても、アルスの「肩代わり」の精神は揺らぎません。
魔王からの突然の勧誘を丁重にお断りした後、俺は彼と二人、静かな離れで対峙していた。
魔王の表情からは先ほどの豪快さは消え、その瞳には深い憂いが宿っている。
「アルスよ……先ほどのは冗談ではない。実を言えば、魔界は今、未曾有の危機に瀕しているのだ」
「危機……ですか? あの豊かな魔力に満ちた魔界が?」
「表向きはな。だが、魔界全土に広がる死の霧――『瘴気』の勢力が増している。これに触れた魔族は魔力回路を蝕まれ、やがて異形の怪物へと成り果てる。……かつての肥沃な土地は、今や半分以上が死の地と化しているのだ」
魔王が語るには、その瘴気の正体は誰にも分からないという。
俺は魔王の体に触れ、その内側の魔力波形を読み取ってみた。
「……これは。瘴気は汚れ(けがれ)じゃない。ただの『魔力の枯渇』ですよ、これ」
「何だと……? 枯渇だと? あれほどの濃密な霧がか」
「ええ。あまりに魔力が少なすぎて、空間が無理やりエネルギーを捻り出そうとして、周囲の生命力を吸い取っているんです。……魔界全体の魔力回路が、完全に目詰まりして止まってしまっている」
俺の言葉に、魔王は目を見開いた。
魔族たちが「呪い」だと恐れていたものの正体が、ただのエネルギー不足だったとは。
一方、王都のゴミ捨て場で暖を取っていたエルザたちは、魔界の崩壊が近いという不穏な噂を聞きつけていた。
「……あはは、いい気味だわ。世界なんて滅んでしまえばいいのよ。アルスも、王女も、みんな魔物に食われてしまえばいい……!」
エルザは、歪んだ笑みを浮かべながら泥水を啜る。
かつて自分が「聖女」として世界を救うはずだったプライドは、今や「自分を捨てた世界への呪い」へと変わっていた。
だが、彼女は知らない。
その「世界の寿命」という絶望的な重荷すらも、アルスにとっては「少し肩代わりすれば済む」程度の問題に過ぎないということを。
「魔王さん。案内してくれますか? その魔界の、一番ひどい場所に。……俺が、その回路を繋ぎ直してみせますから」
俺が静かに告げると、魔王は震える声で「……恩に着る」と、一国の王としてではなく、一人の魔族として深く頭を下げた。
魔界を救うための新たな一歩。アルスの魔力は、ついに世界の理そのものを修復する段階へと入りました。
彼の献身が魔界の人々にどう受け入れられるのか、ぜひご注目ください。
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