表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/60

第32話:魔王、アルスの魔力に触れて「お前が魔王をやれ」と引退を宣言する。

第32話をご覧いただきありがとうございます。


魔王直々のスカウトという、かつてない展開となりました。

アルスの魔力と人柄は、敵対するはずの魔族の頂点すらも魅了してしまったようです。


 酒場のカウンターで、男――魔王は、俺が追加で出した領地特製の『熟成魔導ワイン』を一気に飲み干した。


「……信じられん。ただ美味いだけではない。この酒、魔力回路の不純物を根こそぎ洗い流していく。アルス男爵と言ったか。貴様、これほどまでの代物を、まさか酒場の一客に振る舞っているのか?」


「ええ、みんなが喜んでくれれば、それが一番ですから」


 俺が微笑むと、魔王は突然、ガハハと豪快に笑い出した。

 そして次の瞬間、彼の瞳に宿る魔力が、鋭い紫色の光となって俺を射抜いた。


「面白い! これほどの魔力と包容力……。現魔王であるこの私が認める。アルスよ、魔界に来い。そして、私の跡を継いで次の魔王になれ。貴様なら、魔族も人族も関係なく、すべてをその腕の中に収められるだろう」


「……えっ? 魔王を、俺が?」


 唐突な引退勧告と勧誘に、酒場にいた客たちが一斉に沈黙した。

 後ろで様子を窺っていたシルフィア王女と女神ルナリスが、顔色を変えて割り込んでくる。


「断じて許さぬ! アルス殿は我がアステリア王国の至宝だ!」

「そうですぅ! アルス様は私の、神界の救世主なんですから、魔王なんてやらせません!」


 三勢力の頂点が俺を取り合って言い争いを始める中、俺はただ「いや、俺はここで領主をやっているのが一番ですから」と、全力で辞退するしかなかった。


 一方、王都の場外。

 魔族の軍勢が移動する足音に怯え、下水の溝に隠れていたエルザたちは、信じられない噂話を耳にしていた。


「……おい、さっき魔族の兵が言ってたぜ。魔王様が、ハルバートの領主様に『魔王になってくれ』って跪いて頼み込んだってよ」


「……何よ、それ。アルスが……魔王に? あんな、人の顔色を窺うことしかできなかった男が……?」


 エルザは、震える手で自分の汚れた顔を覆った。

 自分が「無能」と切り捨てた男が、今や人間、神、そして魔族のすべてから、世界の王として望まれている。

 その事実を拒絶すればするほど、彼女の心は、取り返しのつかない後悔の重みで押し潰されていった。


「……私は、聖女よ。あいつの上に立つべき、特別な存在なのよ……っ!」


 エルザの枯れ果てた叫びは、夜の闇に吸い込まれ、誰に届くこともなかった。

 アルスを巡る世界の喧騒は、彼女たちの想像を絶する高みへと昇り続けていた。


魔王、王女、女神によるアルスの争奪戦。

彼が「普通」だと思っている献身的な姿勢が、世界の均衡を揺るがすほどの価値を生み出しています。


皆様の熱い応援が、アルスの新しい伝説をより高く、より遠くへ届ける力になります。

もし「この先の展開が楽しみ!」と思ってくださったら、

下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、ブックマークと一緒に応援していただけると、執筆の凄まじい活力になります!

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ