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第28話:女神と王女とエルフの女王。俺の隣は、いつも戦場。

第28話をご覧いただきありがとうございます。


アルスを巡る、賑やかで少し騒がしい日常。

かつて彼を縛り付けていた孤独な日々は、もう遠い過去のこと。

新しい絆が、彼の心を少しずつ解かしていきます。


 ハルバート領主館の午後のティータイム。

 かつては俺とリアナの二人きりだったこの時間は、今や大陸で最も豪華で、最も騒がしい場所へと変わっていた。


「……あうぅ、アルス様。この『魔導冷蔵庫』で冷やしたプリン、最高ですぅ! これなら神界に戻らなくてもいいかも……」


 女神ルナリスが、口の端にクリームをつけたまま俺の膝に頭を預けてくる。神としての威厳はどこへやら、彼女は完全に俺の魔力と食事に餌付けされていた。


「これ、ルナリス。アルス殿は私の『軍事顧問』でもあるのだ。あまりだらしなく甘えるのは慎め」


 向かい側に座るシルフィア王女が、魔剣をテーブルに立てかけて冷徹な視線を送る。だが、その頬は心なしか赤く、彼女もまた俺が淹れたハーブティーを大切そうに啜っていた。


「あら、シルフィア様。アルス様は我がエルフの里の『救世主』でもありますのよ。隣を歩く権利は、私たちにもあるはずですわ」


 いつの間にか現れたエルフの女王セレスティーヌが、優雅な動作で俺の反対側の席を占拠する。

 

「……あの、みなさん。お茶のおかわり、いりますか?」


 俺が困り果てて尋ねると、三人が一斉に「「「お願いします(わ)!」」」と声を揃えた。

 世界を代表する美女たちに囲まれ、俺は幸せというより、彼女たちの背後に漂う火花に冷や汗をかいていた。


 一方で、王都のゴミ捨て場。

 逃亡の末に行き場を失ったエルザたちは、通行人が投げ捨てたカビの生えたパンの耳を、泥だらけの手で拾い上げていた。


「……ねえ、エルザ。アルスの屋敷、毎日女神様や王女様が通ってるらしいわよ。……私たちの場所、もう、一ミリも残ってないのね」


 ミレーヌが、ひび割れた声で呟く。

 かつてアルスの隣を独占し、それを「当然」だと思っていたエルザ。

 彼女は今、自分がかつて「無能」と切り捨てた男が、神や王女たちに愛でられている光景を想像し、血が出るほどに自分の腕を噛んだ。


「……私のよ。あいつは……あいつの隣は、私の場所だったはずなのに……っ!」


 エルザの絶叫は、通行人の嘲笑にかき消される。

 アルスの日常は、もう彼女たちの手の届かない、眩い光の中にあった。


ヒロインたちの「正妻(?)」争い、アルスにとっては一番の難題かもしれません。

しかし、この温かな光景こそが、彼が自らの力で勝ち取った「居場所」なのです。


皆様の熱い応援が、アルスの物語をより高く、より遠くへ届ける力になります。

もし「この先の展開が楽しみ!」と思ってくださったら、

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