第25話:エルフの女王、枯れた聖樹を救うために俺を訪ねてくる。
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人族だけでなく、エルフの女王までもがアルスを頼ってきました。
もはやアルスの影響力は、一国の領主という枠を完全に超えようとしています。
ハルバート領に、かつてないほど幻想的な一団が現れた。
透き通るような肌と長い耳を持つ、森の民エルフ。その先頭に立つのは、緑の宝玉が埋め込まれた杖を持つ、エルフの女王セレスティーヌだった。
「救国の賢者、アルス・レヴェイン様とお見受けします。不躾な訪問、どうかお許しください」
女王自らが俺の前に跪く姿に、領主館にいた者たちは息を呑んだ。
「女王陛下……俺に何か御用でしょうか?」
「私たちの里に伝わる『始祖の聖樹』が、千年の時を経て枯れようとしています。これが枯れれば、エルフの加護は失われ、里は滅びるでしょう。……どうか、貴方様の果てなき魔力で、聖樹を救ってはいただけないでしょうか」
女王の瞳には、切実な願いが宿っていた。
俺はシルフィア王女やルナリスと顔を見合わせ、頷いた。
「分かりました。俺にできることなら、やってみましょう」
数日後、俺たちはエルフの里の奥深くにある聖域へと足を踏み入れた。
そこには、かつての威容を失い、灰色に変色した巨大な聖樹が横たわっていた。
「……なるほど。これは病気じゃない。ただ、根元にある魔力の循環が止まっているだけだ」
俺は聖樹の幹にそっと手を触れた。
かつてエルザたちに注ぎ続けていた時のように、だがそれよりも優しく、地脈を整えるように魔力を流し込む。
――キィィィィィィィン……!
瞬間、聖域全体がエメラルド色の光に包まれた。
灰色の幹にはみるみるうちに生気が宿り、一瞬にして若葉が芽吹き、天を突くほどの巨木へと蘇っていく。
「あ……ああ、聖樹が……! 千年前の、最も栄えていた頃よりも力強く輝いている……!」
女王セレスティーヌは、その場に泣き崩れた。
エルフの全魔導師が束になっても成し得なかった奇跡を、俺はただ手を触れるだけで成し遂げたのだ。
一方、王都の北にある荒れ果てた街道。
借金の取り立てから逃れるため、鉱山から脱走を図ったエルザたちは、飢えと寒さの中で震えていた。
「……寒い。お腹すいた……。ねえ、アルス……。あんたなら、魔法で火くらい熾せるでしょ……?」
エルザが虚ろな目で隣を向くが、そこにいるのは泥だらけでうずくまるガイだけだ。
彼女たちの知らぬ間に、アルスは神やエルフの女王といった、世界の要人たちから「救世主」として崇拝される存在になっていた。
聖樹の葉が風に揺れ、キラキラとした光の粒子が俺に降り注ぐ。
その光は、かつて俺を縛っていた暗い過去を、跡形もなく洗い流してくれるようだった。
エルフの聖樹を一瞬で蘇らせるアルスの魔力。
彼の献身的な力が、今や世界の寿命そのものを延ばし始めています。
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