第13話:英雄となった俺の元に、落ちぶれた聖女たちが「復縁」を迫りに来る。
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ついに直接対決。
「幼馴染」という言葉を盾に寄生しようとするエルザたちと、それを一蹴するアルス。
王女様の助け舟も相まって、これ以上ない「断絶」が描かれました!
魔物暴走を鎮圧してから数日。俺の名前は「救国の賢者」として王都中に知れ渡っていた。
そんなある日の午後。俺が王宮から支給された屋敷のテラスでリアナと茶を飲んでいると、門門の方が騒がしくなった。
「だから、私はアルスの婚約者なのよ! 通しなさいって言ってるでしょ!」
聞き覚えのある、だが以前の覇気を失い、ひどく掠れた叫び声。
門を突き破る勢いで現れたのは、ボロボロの平民服を纏ったエルザ、ガイ、ミレーヌの三人だった。
かつての輝きを失ったエルザは、俺の顔を見るなり、縋り付くような卑屈な笑みを浮かべた。
「アルス! 会いたかったわ! ……ねえ、聞いたわよ。男爵になったんですって? 流石は私のアルスね。やっぱり、私があんたを鍛えてあげた甲斐があったわ!」
「……エルザ。何の用だ?」
俺が冷たく突き放すと、エルザは一瞬顔を強張らせたが、すぐにまた気味の悪い笑みを作った。
「用なんて決まってるじゃない。復縁よ。あんた、本当は寂しかったんでしょ? 私たちはやっぱり四人で一つなの。借金もたっぷりあるけど、あんたの財力なら端金よね? さあ、今すぐ私たちを屋敷に入れて、昔みたいに――」
「いい加減にしろ、エルザ」
俺は立ち上がり、彼女たちの足元に視線を落とした。
ガイは目を逸らし、ミレーヌは震えながら俺が着ている高級な礼服を羨望の眼差しで見つめている。
「君たちは俺を『無能』だと言って捨てた。銀貨数枚で、使い捨ての道具みたいに追い出したんだ。……忘れたとは言わせないぞ」
「そ、それは……ちょっとした冗談じゃない! 幼馴染の仲でしょ!?」
「冗談で、仲間の魔力をすべて奪い、路頭に迷わせるのか? ……今の俺には、守るべき国民も、信頼してくれる王女殿下もいる。君たちの魔力まで肩代わりする余裕なんて、もう一ミリも残っていないんだ」
俺が静かに、だが圧倒的な魔力の威圧を込めて告げると、エルザは弾かれたように後ずさった。
「そ、そんな……。あんたがいなきゃ、私たちは……死ねって言うの!?」
「……自分たちで決めたことだろ。君たちが『自分の実力』だと思っていたものは、すべて俺の貸し物だった。返してもらったものを、今さら返すつもりはない」
俺が背を向けると、背後でエルザが「待ちなさいよ!」と叫びながら、こちらへ手を伸ばしてきた。
だが、その手は俺に届く前に、音もなく現れたシルフィア王女の魔剣によって遮られた。
「……不敬であるぞ、罪人ども。これ以上アルス殿を侮辱するのであれば、その首、ここで刎ねるが」
王女の氷のような声に、エルザたちはその場に崩れ落ちた。
もはや、謝罪すら届かない。
彼らはただ、自分たちが捨てたものの巨大さを、一生後悔しながら生きていくしかないのだ。
エルザたちの図々しさに、書いている私も手が震えました(笑)
しかし、アルスはもう彼らの「安全装置」ではありません。
次回、逆上したエルザたちが取った「最悪の選択」が、彼らをさらなる破滅へ導きます。
「アルス、よく言った!」「王女様かっこよすぎる!」
と思ってくださった方は、ぜひ【★★★★★】評価でアルスを応援してください!




