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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第3章 ゲームの行方
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94/147

第93話  自白剤

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


       「アマデウスの謎」 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

前回までのあらすじ


2008年。

リナ、そして父親の魁斗(かいと)が、謎の組織に狙われた。


イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。


2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。


霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾を連れて実家へ戻ったリナ。誘拐犯は期限内に1億を差し出さなければ、雛子を殺すと宣言。


後藤と藤岡は4年越しで、再び羽鳥家の誘拐事件を担当する。

誘拐事件の翌日から、近辺では連続殺人事件が起こり始めた。


リナと慎吾は、黒幕が藤岡である事を突きとめるが、彼等のアジトで捕まってしまう。藤岡はリナに、ウィーン大学のサーバに侵入すれば、家族を解放するともちかけた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第93話  自白剤


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(藤岡が提示した、新しいタイムリミット・・・12月20日24時)


2012年12月20日(木)、午前0時7分。目黒基地内。


リナ「・・・ ・・・」


覆面男らに両腕を掴まれ・・・ある部屋に押し込められたリナ。外からは鍵を閉められ、部屋の内部を調べるも出られそうな箇所などない。


リナ「・・・ ・・・」


4年前、父親の魁斗がここに監禁されたと藤岡は言っていた。


6畳ほどの小さな部屋。部屋の中央に小さなテーブルがあり、テーブルの上には紙と鉛筆が置かれている。


床はフローリングで、端には簡易ベッドがあり、部屋の隅にはむき出しの様式トイレもあった。


唯一の出入り口は頑丈そうな扉で、向こう側を見る事は出来ない。


リナ「・・・ ・・・」


しばらく部屋の中を見渡した後、手にしていたノートパソコンを開いた。

藤岡から渡されたパソコン・・・そしてクリアしなければならないゲームは、この中にある・・・


(リナ「ウィーン大学・・・ そして・・・

     ザルツブルグ・モーツァルテウム大学・・・?」)


藤岡が何故、その大学のサーバに侵入せよと言ったのかはわからない。ただ、サーバに侵入出来なければ・・・


(リナ「ママと雛(ひな)が・・・ 殺される・・・」)


それだけは確かだと理解する。


リナ「・・・ ・・・」


ウェブブラウザを操作して、他のサイトを見ようとしたが・・・


全てアクセスの規制がなされていた。


このパソコンで行き来できるのは・・・2つの大学、そして目黒基地内サーバの、ごく狭い領域だけだ。


(リナ「まるで・・・」)


Y字型の道があり、手前は今いる目黒基地。向こうにある2つに分かれた道の先には・・・それぞれウィーン大学と、ザルツブルグ・モーツァルテウム大学がある・・・といった感じだ。


それ以外の場所には・・・ 全てハドリアンズ・ウォールが立ちはだかり、向こう側へ行く事はできない。


(リナ「この狭い範囲だけで・・・

     2つの大学のサーバに侵入しろと・・・?」)


ウェブブラウザを一度クローズし、ノートパソコンにある使えそうなものをチェックする。


メーラーはあるが、完全にブロックされていて、外部へメールする事など出来ない。


(リナ「あとはテキストエディタに・・・

     CやJAVAのコンパイラか・・・」)


プログラムはうてる事を確認した。


リナ「・・・ ・・・」


しばらくウェブブラウザを操作したり、パソコンにあるもので他に使えそうなものがないかをチェックするが・・・

外部へコンタクトを取ることは不可能。


(リナ「結局、ハドリアンズ・ウォールを突破しないと・・・

     どうしようもない・・・」)


という結論に達した。


リナ「・・・ ・・・」


大きな溜息をついたリナは・・・


静かにキーボードを叩き始めた。




・・・ ・・・。


同時刻。目黒基地内の一室。


慎吾「凶器や攻撃を受けた箇所、もしくは死因・・・

    全て【ABC】だったと気づいたんです・・・」


慎吾と藤岡は、ロシアンルーレットを行った部屋に留まり、会話をしていた。慎吾の後ろには銃を持った覆面男が3人いる状況だ。


藤岡「なるほどな・・・ そこまで見抜いたか」


慎吾は藤岡の質問に・・・1つ1つ丁寧に応えていた。


慎吾「秋(A)津駅で安(A)藤さんは・・・

    ア(A)ーミーナイフで、頭(A)を刺され・・・


    分(B)倍河原駅で板(B)東さんは・・・

    バ(B)ットで尾(B)てい骨粉砕。撲(B)殺された・・・」


藤岡「だが、AとBだけでは・・・ 情報が少なすぎだろう?」


慎吾「えぇ。気づいたのは次の調(C)布駅での殺人でした・・・」


藤岡「ふむ・・・ 続けろ」


慎吾「中(C)條さんの殺害方法は・・・ かなり違和感がありました。

    注射器で血を抜き取るなんて・・・


    その時、注射器の(C)と、血の(C)が・・・

    僕の頭の中で結びつきました」


藤岡「なるほどな・・・調布駅以降、報道規制をしいている。

    羽鳥リナが警視庁サイトに侵入し・・・


    その情報を得た君だからこそ、気づいたというわけか」


田(D)園調布駅で堂(D)島が、毒(D)殺。

恵(E)比寿駅では、江(E)口が、鉛(E)筆で延(E)髄を刺された。


慎吾「なのに、あなた・・・ 藤(F)岡さんは・・・

    府(F)中本町で、腰をナイフで刺されただけ。


    凶器、刺された箇所、そして死んではいませんが、死因も・・・

    一切【F】は現れてない・・・」


藤岡「・・・ ・・・」


慎吾「しかし布(F)田駅で殺された深(F)田さんは・・・

    腹(F)部を、フ(F)ォークで刺されている。


    一連の連続殺人にのっとった殺され方をしています」


この情報は、藤岡を犯人と特定した後になる。


慎吾「だから・・・やはり、あなたが刺されたというのは偽装。

    そして・・・翌日は後(G)藤さんを・・・


    護(G)国寺で、Gのからむ方法で殺そうとした」


藤岡「・・・ ・・・」


藤岡は慎吾から視線をそらす事無く、話に聴き入っている。


慎吾「色々考えました。真っ先に浮かんだのは・・・

    ガスで中毒症状か、爆発で殺す方法でした。


    そして僕とリナ先輩が逮捕された時・・・

    後藤さんが携帯を落とし、その時の音・・・確信しました」


藤岡「携帯に・・・ 何か仕込まれていると?」


慎吾「はい。さっき言ったように・・・

    後藤さんは羽鳥邸でも携帯をよく落としていました。


    でもあの時、落とした音は・・・

    携帯が【いつもより重い】事を示していた・・・」


慎吾が真犯人に気づいた瞬間だ。


慎吾「後藤さんが黒幕と思うより・・・あなたを黒幕と思う方が・・・

    全てつじつまが合った。


    後藤さんの携帯に触ることができ・・・

    なおかつ、アリバイも全て崩せる人物・・・あなたです」


藤岡は無言で、頷いている。


慎吾「後藤さんの携帯には、おそらく・・・

    圧縮ガスか液体ガスが仕込まれていた。


    そして遠隔操作できる起爆装置も」


藤岡「・・・ ・・・」


慎吾「携帯のチェックをすると持ちかけ・・・

    それらを仕込んだのでしょう。


    後藤さんの携帯に電話をかけ、本人が出たのを確認したら・・・

    遠隔操作でガス爆発を起こさせる。ガスが【G】というわけです」


藤岡「スパイの携帯は・・・あらゆる機能がついているからな。

    相手の携帯に仕込みさえすれば・・・


    遠隔起爆は簡単なものさ」


慎吾「念のため後藤さんには、携帯電話だけでなく・・・

    藤岡さんが触った物も調べるよう、言いました。


    アタッシュケースとか・・・

    後藤さんに近い物で、藤岡さんが触った物を・・・」


慎吾の目をじっと睨み付けたまま、藤岡は小さく笑った。


藤岡「そこまで手回しするとはな。いやはや・・・」


慎吾「あなたは、推理小説などでよく見られる・・・ 

    完全犯罪のベタなパターンに則(のっと)っている・・・」


藤岡「ほう・・・ ベタなパターンとは?」


慎吾「人に容疑をなすりつけ・・・ そして殺す。

    リナ先輩の前の彼氏さんは・・・ そのパターンで殺された。


    そして今回、後藤さんもそのパターンを踏まえて殺そうとした」


頷く藤岡。


藤岡「確かに」


慎吾「容疑者が死ねば・・・ 捜査はうち切り。

    そうすればこれ以上、その事件で詮索を受ける事は無い。


    警察に属するあなたなら、なおさらその方向に持って行きやすい。

    典型的な・・・ 完全犯罪のパターンです・・・」


藤岡「なるほど。お見事だよ、ミスターボンド。

    いや、ミスターポアロとでも言うべきか・・・。


    その記憶力、洞察力、推理力、論理思考・・・

    全て一流だ。是非ともどこに属するスパイか聞きたいものだ」


パチパチと拍手をする藤岡。


慎吾「僕は・・・ スパイなんかじゃない・・・

    ただの大学生です・・・」


藤岡「そこだよ・・・ 君のユニークなところは・・・

    一流のスパイでありながら、あまりにも自然すぎる不思議な演技。


    君のようなスパイを、俺は見た事がない」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡「それに君は・・・ 

    あの銃に、最初から弾が入ってない事も知っていた・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡「図星だな。でなければ引き金を2度ひくなど、できはしない。

    何故、最初から弾が入っていないと・・・ わかったんだ?」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡「語る気はないか。まぁ、後で聞くとしよう・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


しばらく口を閉ざしていた慎吾だが


藤岡「君の有能さ・・・それは俺も認めている。

    是非君を・・・ 新世界に連れて行きたいものだ」


慎吾「そ、その・・・ 新世界とは・・・ いったい・・・?」


【新世界】の話題には、くいついた。


藤岡「・・・ ・・・」


しばらく慎吾を睨み付けた藤岡。


藤岡「新世界の詳細を君に話すのは・・・ 時期尚早。

    その前に・・・ もっとも君に聞きたい事がある」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡「どうやって、脳波をコントロールしている?

    君は嘘をついているはずだが・・・

 

    脳波はそれを示さない。特別な訓練でも受けたか・・・

    あるいは、何らかの薬物によるものか?」


慎吾「ぼ・・・ 僕は・・・」


藤岡「クラシック音楽を聴いて、アルファ波を出す程度なら出来ても・・・

    嘘をついていると認識して、なおかつ脳波でそれを示さない。


    そのようなテクノロジーは聞いた事が無い」


慎吾「だ、だから僕は・・・ 嘘など・・・」


藤岡「違う記憶に書き換えられたなら別だが・・・

    明らかに君のケースは違う。生物学的にも・・・


    君のような脳波のコントロールをできる人間などいない・・・

    それが定説のはず」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡「あらゆる領域の最先端科学の話題は、俺も知っているつもりだ。

     しかし、脳波コントロールは聞いた事が無い。


     どこの国の技術だ?」


慎吾は首を横に振った。


慎吾「本当に僕は・・・ ただの大学生です・・・」


この部屋に入った時から・・・慎吾の頭には野球帽のような物をかぶらされている。


藤岡「・・・ ・・・」


手元にあるノートパソコンには、慎吾の脳波DATAが継続して表示されているが・・・


藤岡「脳波は・・・君が嘘をついている様子はない。

    実に不思議・・・ そして実に興味深い現象だ・・・」


慎吾「僕は・・・ スパイなんかじゃない・・・

    嘘は・・・ ついていません・・・」


藤岡「・・・ ・・・」


しばらく慎吾と、その脳波を見つめる藤岡。


藤岡「君は・・・ 選ばれし者の資格が十分ある。

    だが俺に必要な情報を渡すことが大前提だ。


    言ったろ? 選ばれし者に・・・拷問の選択肢は避けたい。

    心や体をこわしたくない・・・ 正直な気持ちさ」


慎吾「・・・ ・・・」


ここにリナはいない。側にリナがいない事は・・・


(慎吾「僕の力だけで・・・ 乗り切れるのだろうか・・・?」)


慎吾にとって、かなり危険な状況だった。


だが、リナが部屋を出る前・・・ 慎吾は1つの大きな情報を得ていた。


(慎吾「その情報が確かなら・・・ 


     この窮地を脱する方法が・・・ 1つだけある」)


その大きな情報は・・・藤岡は気づいていないが、藤岡本人から得たものだ。


慎吾は藤岡と会話をしつつ、ここを無事生きて出る方法を考え続けていた。そして1つだけ・・・ある方法を見つけた。


(慎吾「情報が不確かなら・・・ 死ぬ。

     例えそれを実行しても・・・


     死ぬ可能性がある・・・」)


藤岡「自白剤。まずは手っ取り早く、これだな・・・

    俺が調合した、強力なヤツを使おう」


そう言うと藤岡は席を立ち、背後にあった棚から小瓶と注射器を取り出した。


慎吾「・・・ ・・・」


再び席に着いた藤岡。


藤岡「リセルグ酸ジエチルアミド・・・ スパイなら知っているな?」


慎吾は首を横に振るが、藤岡は気にとめる様子もない。小瓶の上に注射針を垂直に立て、深々と突き刺した。


藤岡「・・・ ・・・」


注射器の中に、小瓶の透明な溶液が入っていく。


藤岡「LSDは・・・ 分量を間違うと・・・ 廃人になるからな。

    それほど強力な自白剤ってわけさ・・・」


※リセルグ酸ジエチルアミド

 LSD。強力な幻覚剤で、0.1mgで視覚・聴覚に幻覚作用をもたらす。


やがて溶液で満たされた注射器を上に向け、その注射針を軽くはじいた。



・・・ ・・・。



リナ「・・・ ・・・」


何度か大学のサーバに侵入しようとしたが・・・どうやっても、ハドリアンズ・ウォール・・・父親のセキュリティが高々と立ちはだかる。


目を閉じ、天井に顔を向けたリナ。


リナ「・・・ ・・・」


諦めればそこでゲームオーバー。だが、このまま単調にサーバ侵入を繰り返しても、ラチがあかない。


リナ「・・・ ・・・」


目を見開いたリナ。今度は大学のサーバでなく・・・


ノートパソコンにインストールされているセキュリティソフト・・・ハドリアンズ・ウォールの解析を始めた。



・・・ ・・・。


後ろにいた覆面男の1人が慎吾の右腕を掴むと、袖をまくった。


慎吾「ぼ・・・ 僕には・・・ アレルギーが・・・」


突如慎吾が声をあげた。


藤岡「ふ・・・ この期に及んで・・・。ホントに君は・・・

    らしくないスパイだな・・・


    アレルギーのあるスパイなど、笑止千万」


藤岡は人差し指で慎吾の腕をまさぐり・・・注射をうつポイントを探し出す。


藤岡「俺の調合した自白剤は・・・下手な拷問より効果は抜群」


そう言うと迷わず慎吾の腕に注射を突き刺し・・・ 自白剤を注入した。


慎吾「あ・・・」


注射をうたれてしばらく・・・


突然慎吾の視界が、ぐにゃりと曲がった。


慎吾「あぁ・・・ ・・・」


何かに吸い込まれるような感覚、そして味わったことのない不快とも快楽ともつかない感覚が慎吾をおそった。


藤岡「・・・ ・・・」


慎吾の瞼(まぶた)を上に持ち上げ、瞳孔の様子を確認する。


藤岡「ふ・・・ すでに効いてきたようだな・・・ ミスターボンド」


慎吾「・・・ ・・・」


藤岡の言葉が、頭の中でこだまする。


藤岡「では早速・・・ 君はどうやって・・・

     銃に弾が入ってない事を、知り得たんだ?」


慎吾「・・・ ぼ、ぼくは・・・」


藤岡「ニューナンブの装弾数が5発というのは・・・

    スパイでなくとも、ガンマニアなら周知の事実。


    だが君は1発目を撃つ前から、実弾が入ってないと確信していた。

    何故だ? どうやって知り得た?」


慎吾「お・・・ と・・・」


自分の意志とは関係無く、慎吾は語り始めた。


藤岡「音?」


目が宙を浮いた状態で・・・話を続ける。


慎吾「さいしょに・・・ あなたが・・・ リボルバーを・・・

     まわした・・・ あのとき・・・


     たまは・・・はいってない・・・ わかった・・・」


藤岡「あの時点で? もっと、くわしく話せ」


慎吾「じつだんが・・・ はいっていたら・・・

    リボルバーは・・・ あんな均等には・・・ まわらない・・・


    実弾が・・・ はいっていれば・・・

    おもさがかたよる・・・ 回る音・・・ がする・・・」


藤岡「ほぉ・・・ わずかな周波数の違いも・・・

    君の耳は聞き分けるというのか・・・


    たいした能力だな・・・」


慎吾「・・・ ・・・」


もはや自分の意志で口を開いているのかすらも、判断できていない。


藤岡「よかろう。では次の質問だ。

     君は・・・ どこの国のスパイだ?」


慎吾「ぼくは・・・ ただ・・ だいがくせ・・・」


藤岡「もう1度聞く! 君はどこの国のスパイだ!?」


藤岡が大声をあげて、聞き直した時だった。


慎吾「・・・ っっか!! っっくぅ!! っかはぁあああ!!」


突然慎吾は、首から下がひきちぎられるような感覚に襲われた。意識は朦朧(もうろう)としているが、痛みは人一倍感じる。


慎吾「・・・  っっこ・・・   っっほ・・・」


そして自分の意志で呼吸する事ができなくなった。


藤岡「!?」


本来とは違う症状が表れたため、異変を感じた藤岡は再び慎吾の瞼をつり上げた。


(藤岡「・・・ 瞳孔が・・・」)


慎吾は強烈に体を震わせると、黒い瞳がそのまま上を向き・・・白目をむいた。口から泡が吹き出し・・・そのまま、椅子から転げ落ちる。


藤岡「・・・ っく・・・」


あわてて慎吾の体を支えようとするが・・・


無反応・・・


藤岡は慎吾の首筋に、人差し指と中指をあてる。


(藤岡「脈が・・・ ない・・・」)


慎吾の足下に、3cm四方の破れた紙包みが落ちているのを見つけた。


藤岡「・・・ っち。 初歩的なミスを・・・」



そして慎吾の心臓は・・・



止まっていた。




           (第94話へ続く)

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次回予告


セキュリティソフトの解析を進めるリナ。父親の驚くべきアイディアを目(ま)の当たりにするが・・・肝心の素数を扱う部分だけは、紐解くことができなかった。


時間だけが過ぎ、焦る中・・・藤岡から慎吾の死を聞かされる。



次回 「 第94話  レクイエム 」

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