第84話 アジト潜入
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慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2
「アマデウスの謎」
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前回までのあらすじ
2008年。
リナ、そして父親の魁斗が、謎の組織に狙われた。
イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。
2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。
霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾を連れて実家へ戻ったリナ。誘拐犯は期限内に1億を差し出さなければ、雛子を殺すと宣言。
後藤と藤岡は4年越しで、再び羽鳥家の誘拐事件を担当する。
誘拐事件の翌日から、近辺では連続殺人事件が起こり始めた。
誘拐と殺人の濡れ衣を着せられたリナと慎吾は、警察の銃とパトカーを奪い逃走。
そして、2人は・・・
黒幕の藤岡を追って、目黒基地に辿り着いた。
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第84話 アジト潜入
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(誘拐犯が示したタイムリミット・・・12月19日24時)
2012年12月19日(水)、午後8時31分。目黒基地内。
とある一室に藤岡はいた。
藤岡「・・・ ・・・」
パソコンが数台連なるテーブルの前に座り・・・高速でキーボードを打ち続けている。
(藤岡「・・・ 護国寺では・・・ 何も起きてない・・・」)
護国寺周辺の現在の衛星写真を確認する限り、何も変わった様子はない。
(藤岡「あのTVのテロップは・・・ 仕込みか・・・」)
今度は警視庁のサイトにアクセスする。
(藤岡「・・・ 慌ただしく動いている形跡はあるが・・・
俺の事は触れてない・・・」)
警視庁周辺の防犯カメラ映像にアクセスし、彼等がこの日、どのように動いているのかをチェックする。
藤岡「・・・ ・・・」
さらに過去のカメラ映像や、各警備会社の内部サイトにアクセスする。
(藤岡「どこだ・・・? どこで気づいた・・・?」)
藤岡の中では・・・ 4年前同様、完璧な計画・・・ 完全犯罪のはずだった。
藤岡「・・・ ・・・」
警視庁を中心に、あらゆる情報を検索するが・・・
どこで誰が、藤岡の計画に気づいたのか・・・ 全くわからない。
(藤岡「あの男も・・・ 姿を見せないし・・・」)
藤岡はこの連続殺人を始めてから、ずっと探している人物がいる。しかし・・・
(藤岡「日本にいないのか? いや・・・ いるはずだ・・・」)
ジリリリリ・・・
ふと、横にあった電話が鳴り響いた。
藤岡「どうした?」
すぐに受話器を取り上げ、声をかける。
「その・・・ 警視庁の古岡という男が・・・基地の中に入れろと」
藤岡「理由は?」
言いながらも、藤岡は警視庁サイトの中から【古岡】を検索する。
「連続殺人事件の捜査だと。令状も持っています」
サイト内に【古岡】の名前は確かにあったが、写真がない。
(藤岡「配属されたばかり? だから写真がない・・・?」)
キーボードを操作し、基地入り口周辺のカメラ映像を映し出す。一般車両が基地の入り口に止まっているのが見えた。
(藤岡「覆面か。警察は・・・まいたはず。何故、ここが・・・?」)
映像の角度の加減が合わず、運転手の顔は見えない。
藤岡「・・・ ・・・」
受話器の向こうの男に、再度声をかける。
藤岡「男の年齢は・・・ 40代後半ぐらいか?」
「いえ・・・。どう見ても50代後半・・・ 60近い男性に見えます」
藤岡「源さんか?」
「違います。彼はよく知ってますので」
藤岡「・・・ ・・・」
逡巡した後
藤岡「何か理由をつけて追い返せ。後で対応するからと言っておけ」
と返した。
「わかりました」
藤岡「・・・ ・・・」
少しずつ捜査のメスが、自分に向いていると感じる藤岡。
(藤岡「日本の警察ごときで、俺は捕まえられないがな・・・」)
しばらくパソコンのディスプレイを見つめ、車が基地の外へ出て行くのを見つめる。
(藤岡「あの男も・・・ 早く捕らえねば・・・」)
ある男の事を考えながら・・・藤岡は、オーストリアにある大学のサイトを画面に映し出した。
・・・ ・・・。
同時刻。目黒基地内、入り口近くの茂みの中。
(リナ「井上さん・・・ ありがとう・・・」)
(慎吾「井上主任・・・ ありがとうございます」)
リナと慎吾は、基地の出入り口から出て行く1台の車を見つめていた。
慎吾のたてた作戦は・・・羽鳥邸警備主任の井上に協力してもらう作戦だった。
捜査令状がどんなものかは、ネットですぐに調べられる。リナが新しく購入したノートパソコンで、でっちあげの令状を作り・・・軽い変装を施した井上に持たせる。
井上は車を運転し、基地の中へ。2人は後部座席で、頭を低くして身を隠し・・・
井上が基地の入り口で対応をしている間・・・ 防犯カメラに映らない位置から、2人は車を出て、基地の中に侵入。近くの茂みの中へ身を潜めていた。
慎吾「ま、まずは侵入成功ですね・・・」
リナ「で? これからどうすんの?」
キョロキョロと辺りを見渡す慎吾。
慎吾「あそこ・・・ とりあえず外はまずいですから。
あの建物まで行きましょう」
慎吾は、後方にある小さな建物を指さした。
リナ「ちょっと待ってよ・・・ここ、基地でしょ?
銃もったヤツがいたら、どうすんの?」
慎吾はポケットの中からパワーストーンを取りだし、リナに見せる。
慎吾「大丈夫です。あの建物からは、人のオーラを感じません」
リナ「・・・ ・・・」
やや迷いがあるリナだが・・・ 妹が誘拐されたその日から、慎吾は人の気配を感じ取れる能力を持ってると言い続けている。
リナ「OK・・・ とりあえず移動ね」
慎吾「はい」
・・・ ・・・。
同時刻。湾岸警察署。
その部屋では、警視庁幹部の面々が眉をひそめ、会議を開いていた。
警視庁警視総監、副総監、公安部長、警備部長、総務部長、組織犯罪対策部長・・・
会議室の上座に座っていた男が、口を開く。
警視総監「では・・・ 藤岡捜査官、いや・・・
容疑者・藤岡の行方を全力で追うと共に・・・
後藤捜査官の件についてだが・・・」
・・・ ・・・。
慎吾「はぁ、はぁ・・・」
リナ「ふ~・・・ 誰にも見られてないわよね?」
2人は、とある小さな建物の中に侵入した。
慎吾「だ、大丈夫だと思います・・・」
鍵のかかってない小さな部屋に入り、周りを確認する。ホコリがだいぶ溜まっていて、数ヶ月は放置されていた部屋のようだ。人の気配は全くない。
コンセントのついたテレビがあり、主電源が点いているのが見えた。
慎吾「電気は通ってるみたいですね・・・」
もちろん、部屋の電気を点けるワケにはいかない。
リナ「で? この後、どうすんの?」
慎吾「多分、今なら・・・
基地内の情報にアクセス出来ると思うんですが?」
リナ「OK やってみる」
基地に入る前、リナの新しいノートパソコンで基地内の情報を探ろうとしたが・・・ 妨害電波のようなものでアクセスが出来なかった。
リナ「・・・ ダメね・・・」
リナは部屋の中を確認した。
リナ「あった・・・」
テレビの横に、LANケーブルが無造作に放り出されているのが見える。ケーブルを自分のパソコンに接続し、再び高速でキーボードを打ち始めた。
慎吾「そ、外に銃を持った人もいます・・・ まだですか・・・?」
慎吾は部屋の窓を覗きながら、リナに声をかける。
リナ「あせんないでよ! 買ったばかりのパソコンだし・・・
私用にカスタマイズしてないんだから・・・」
言いながらリナは、高速でキーボードを叩き続けた。
リナ「出た! 映った! ローカル接続で表示出来たわ!
基地内の見取り図よ!!」
慎吾「・・・ ・・・」
慎吾はじっとその地図を見つめる。
慎吾「地下は・・・? 地下の見取り図も出せませんか?」
リナ「ちょっと待って・・・ 大丈夫、ほら」
慎吾の要求する画面を表示させた。
慎吾「・・・ ・・・」
しばらくそれを凝視する慎吾。
リナ「ちょっと・・・ まだ?
なんとなく、人の気配が多くなってきたみたいだけど?」
慎吾「ここ・・・」
慎吾は画面の1箇所を指さした。
リナ「 ? 何もないけど? 」
慎吾が指さした先は、建物の外だった。
慎吾「いえ。ここです。周りの建物の配置と、地下の見取り図から・・・
ここは不自然なスペースになっています。
何か隠れた作業所を隠すには、最適な場所」
リナ「・・・ ・・・」
慎吾「ここの地下・・・ 何かあると思います」
リナ「ちょっと・・・ 推測だけで動くには危険な場所なんだけど・・・?」
慎吾「この位置に、何かあります! 絶対!!」
慎吾は断定の言葉で言い直した。
リナ「・・・ ・・・」
慎吾の自信満々の態度に、リナは何も言い返せない。
慎吾「出来ればここに・・・
リナ先輩の妹さんがいてくれれば、いいんですが・・・
でも・・・」
リナ「でも?」
慎吾「藤岡さんがいる可能性もあります。
あるいは・・・ 武装した連中がいるかも・・・」
リナ「ふん。上等よ。何か手がかりがあるってだけで、行く価値あるわ」
そう言うとリナは、井上に持ってきてもらった新しいリュックの中をまさぐった。
リナ「はい、コレ。あんた用」
そして慎吾にある物を渡した。受け取った慎吾は驚きの表情を浮かべる。
慎吾「じゅ、銃ですか!?」
慎吾が受け取ったのは・・・ 銃型スタンガン。
リナ「バカ。スタンガンよ。日本じゃ市販されてないタイプだけど。
スパイ映画好きなんでしょ?
こういう銃の形したスタンガン、見た事あるでしょ?」
慎吾「は・・・はい・・・」
金属製の冷たい銃身、そしてそのどっしりとした重みは・・・
握った事はないが、まるで本物の銃のように感じられた。
リナ「これは最新型で、連射も聞くタイプだから。
細長い銃弾は、それ自身が小さなスタンガンみたいになってる。
1発当てれば、相手の動きは止まる。
数発当てればしばらく動けない。使い方は想像通りよ」
言いながらリナは、自分用の銃型スタンガンも取り出した。
慎吾「い、いったい、何丁持ってるんですか・・・ それ・・・?」
リナ「海外サイトから特殊ルートで買うときね・・・
まとめて買うと安くなるのよ。
井上さんに、4丁持ってきてもらったわ。
私の部屋には、あと6丁あるけどね」
リナは、2丁目のスタンガン銃を慎吾に渡した。
リナ「お互い2丁ずつ。そして、マガジンも2つずつ渡しておく。
いい? 本物の銃とほぼ同じだから・・・」
慎吾「ぼ、僕は本物の銃なんてわかりませんよ・・・」
リナ「わかってるわよ! 映画で見る銃と同じだから!
いい? 弾が切れたら、このマガジンを・・・」
リナは銃の取り扱いを、手際よく実演しながら説明し始めた。
・・・ ・・・。
午後9時2分。湾岸警察署。
後藤「何ですって!? 私が!?」
取り調べ室の1つ。後藤は1人の捜査官を目の前にして、大声をあげた。
男「あぁ、そうだ。この事件が解決するまで・・・
後藤捜査官。あなたは拘留される」
後藤「な・・・ なぜ・・・?」
(第85話へ続く)
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次回予告
リナと慎吾は、ある場所へと潜入していく。
そして・・・
とうとう、リナの妹が監禁されている部屋へ辿りついた。
次回 「 第85話 妹のいる場所 」
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