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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第3章 ゲームの行方
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85/147

第84話  アジト潜入

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


       「アマデウスの謎」 


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前回までのあらすじ


2008年。

リナ、そして父親の魁斗(かいと)が、謎の組織に狙われた。


イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。


2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。


霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾を連れて実家へ戻ったリナ。誘拐犯は期限内に1億を差し出さなければ、雛子を殺すと宣言。


後藤と藤岡は4年越しで、再び羽鳥家の誘拐事件を担当する。

誘拐事件の翌日から、近辺では連続殺人事件が起こり始めた。


誘拐と殺人の濡れ衣を着せられたリナと慎吾は、警察の銃とパトカーを奪い逃走。


そして、2人は・・・


黒幕の藤岡を追って、目黒基地に辿り着いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第84話  アジト潜入


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(誘拐犯が示したタイムリミット・・・12月19日24時)


2012年12月19日(水)、午後8時31分。目黒基地内。


とある一室に藤岡はいた。


藤岡「・・・ ・・・」


パソコンが数台(すうだい)連(つら)なるテーブルの前に座り・・・高速でキーボードを打ち続けている。


(藤岡「・・・ 護国寺では・・・ 何も起きてない・・・」)


護国寺周辺の現在の衛星写真を確認する限り、何も変わった様子はない。


(藤岡「あのTVのテロップは・・・ 仕込みか・・・」)


今度は警視庁のサイトにアクセスする。


(藤岡「・・・ 慌ただしく動いている形跡はあるが・・・

     俺の事は触れてない・・・」)


警視庁周辺の防犯カメラ映像にアクセスし、彼等がこの日、どのように動いているのかをチェックする。


藤岡「・・・ ・・・」


さらに過去のカメラ映像や、各警備会社の内部サイトにアクセスする。


(藤岡「どこだ・・・? どこで気づいた・・・?」)


藤岡の中では・・・ 4年前同様、完璧な計画・・・ 完全犯罪のはずだった。


藤岡「・・・ ・・・」


警視庁を中心に、あらゆる情報を検索するが・・・


どこで誰が、藤岡の計画に気づいたのか・・・ 全くわからない。


(藤岡「あの男も・・・ 姿を見せないし・・・」)


藤岡はこの連続殺人を始めてから、ずっと探している人物がいる。しかし・・・


(藤岡「日本にいないのか? いや・・・ いるはずだ・・・」)


ジリリリリ・・・ 


ふと、横にあった電話が鳴り響いた。


藤岡「どうした?」


すぐに受話器を取り上げ、声をかける。


「その・・・ 警視庁の古岡という男が・・・基地の中に入れろと」


藤岡「理由は?」


言いながらも、藤岡は警視庁サイトの中から【古岡】を検索する。


「連続殺人事件の捜査だと。令状も持っています」


サイト内に【古岡】の名前は確かにあったが、写真がない。


(藤岡「配属されたばかり? だから写真がない・・・?」)


キーボードを操作し、基地入り口周辺のカメラ映像を映し出す。一般車両が基地の入り口に止まっているのが見えた。


(藤岡「覆面か。警察は・・・まいたはず。何故、ここが・・・?」)


映像の角度の加減が合わず、運転手の顔は見えない。


藤岡「・・・ ・・・」


受話器の向こうの男に、再度声をかける。


藤岡「男の年齢は・・・ 40代後半ぐらいか?」


「いえ・・・。どう見ても50代後半・・・ 60近い男性に見えます」


藤岡「源さんか?」


「違います。彼はよく知ってますので」


藤岡「・・・ ・・・」


逡巡した後


藤岡「何か理由をつけて追い返せ。後で対応するからと言っておけ」


と返した。


「わかりました」


藤岡「・・・ ・・・」


少しずつ捜査のメスが、自分に向いていると感じる藤岡。


(藤岡「日本の警察ごときで、俺は捕まえられないがな・・・」)


しばらくパソコンのディスプレイを見つめ、車が基地の外へ出て行くのを見つめる。


(藤岡「あの男も・・・ 早く捕(と)らえねば・・・」)


ある男の事を考えながら・・・藤岡は、オーストリアにある大学のサイトを画面に映し出した。



・・・ ・・・。


同時刻。目黒基地内、入り口近くの茂みの中。


(リナ「井上さん・・・ ありがとう・・・」)


(慎吾「井上主任・・・ ありがとうございます」)


リナと慎吾は、基地の出入り口から出て行く1台の車を見つめていた。


慎吾のたてた作戦は・・・羽鳥邸警備主任の井上に協力してもらう作戦だった。


捜査令状がどんなものかは、ネットですぐに調べられる。リナが新しく購入したノートパソコンで、でっちあげの令状を作り・・・軽い変装を施した井上に持たせる。


井上は車を運転し、基地の中へ。2人は後部座席で、頭を低くして身を隠し・・・


井上が基地の入り口で対応をしている間・・・ 防犯カメラに映らない位置から、2人は車を出て、基地の中に侵入。近くの茂みの中へ身を潜めていた。


慎吾「ま、まずは侵入成功ですね・・・」


リナ「で? これからどうすんの?」


キョロキョロと辺りを見渡す慎吾。


慎吾「あそこ・・・ とりあえず外はまずいですから。

    あの建物まで行きましょう」


慎吾は、後方にある小さな建物を指さした。


リナ「ちょっと待ってよ・・・ここ、基地でしょ?

    銃もったヤツがいたら、どうすんの?」


慎吾はポケットの中からパワーストーンを取りだし、リナに見せる。


慎吾「大丈夫です。あの建物からは、人のオーラを感じません」


リナ「・・・ ・・・」


やや迷いがあるリナだが・・・ 妹が誘拐されたその日から、慎吾は人の気配を感じ取れる能力を持ってると言い続けている。


リナ「OK・・・ とりあえず移動ね」


慎吾「はい」



・・・ ・・・。


同時刻。湾岸警察署。


その部屋では、警視庁幹部の面々が眉をひそめ、会議を開いていた。


警視庁警視総監、副総監、公安部長、警備部長、総務部長、組織犯罪対策部長・・・


会議室の上座に座っていた男が、口を開く。


警視総監「では・・・ 藤岡捜査官、いや・・・

       容疑者・藤岡の行方を全力で追うと共に・・・


       後藤捜査官の件についてだが・・・」



・・・ ・・・。


慎吾「はぁ、はぁ・・・」


リナ「ふ~・・・ 誰にも見られてないわよね?」


2人は、とある小さな建物の中に侵入した。


慎吾「だ、大丈夫だと思います・・・」


鍵のかかってない小さな部屋に入り、周りを確認する。ホコリがだいぶ溜まっていて、数ヶ月は放置されていた部屋のようだ。人の気配は全くない。


コンセントのついたテレビがあり、主電源が点いているのが見えた。


慎吾「電気は通ってるみたいですね・・・」


もちろん、部屋の電気を点けるワケにはいかない。


リナ「で? この後、どうすんの?」


慎吾「多分、今なら・・・

    基地内の情報にアクセス出来ると思うんですが?」


リナ「OK やってみる」


基地に入る前、リナの新しいノートパソコンで基地内の情報を探ろうとしたが・・・ 妨害電波のようなものでアクセスが出来なかった。


リナ「・・・ ダメね・・・」


リナは部屋の中を確認した。


リナ「あった・・・」


テレビの横に、LANケーブルが無造作に放り出されているのが見える。ケーブルを自分のパソコンに接続し、再び高速でキーボードを打ち始めた。


慎吾「そ、外に銃を持った人もいます・・・ まだですか・・・?」


慎吾は部屋の窓を覗きながら、リナに声をかける。


リナ「あせんないでよ! 買ったばかりのパソコンだし・・・

    私(わたし)用(よう)にカスタマイズしてないんだから・・・」


言いながらリナは、高速でキーボードを叩き続けた。


リナ「出た! 映った! ローカル接続で表示出来たわ!

     基地内の見取り図よ!!」


慎吾「・・・ ・・・」


慎吾はじっとその地図を見つめる。


慎吾「地下は・・・? 地下の見取り図も出せませんか?」


リナ「ちょっと待って・・・ 大丈夫、ほら」


慎吾の要求する画面を表示させた。


慎吾「・・・ ・・・」


しばらくそれを凝視する慎吾。


リナ「ちょっと・・・ まだ? 

    なんとなく、人の気配が多くなってきたみたいだけど?」


慎吾「ここ・・・」


慎吾は画面の1箇所を指さした。


リナ「 ? 何もないけど? 」


慎吾が指さした先は、建物の外だった。


慎吾「いえ。ここです。周りの建物の配置と、地下の見取り図から・・・

    ここは不自然なスペースになっています。


    何か隠れた作業所を隠すには、最適な場所」


リナ「・・・ ・・・」


慎吾「ここの地下・・・ 何かあると思います」


リナ「ちょっと・・・ 推測だけで動くには危険な場所なんだけど・・・?」


慎吾「この位置に、何かあります! 絶対!!」


慎吾は断定の言葉で言い直した。


リナ「・・・ ・・・」


慎吾の自信満々の態度に、リナは何も言い返せない。


慎吾「出来ればここに・・・

     リナ先輩の妹さんがいてくれれば、いいんですが・・・


     でも・・・」


リナ「でも?」


慎吾「藤岡さんがいる可能性もあります。

     あるいは・・・ 武装した連中がいるかも・・・」


リナ「ふん。上等よ。何か手がかりがあるってだけで、行く価値あるわ」


そう言うとリナは、井上に持ってきてもらった新しいリュックの中をまさぐった。


リナ「はい、コレ。あんた用」


そして慎吾にある物を渡した。受け取った慎吾は驚きの表情を浮かべる。


慎吾「じゅ、銃ですか!?」


慎吾が受け取ったのは・・・ 銃型スタンガン。


リナ「バカ。スタンガンよ。日本じゃ市販されてないタイプだけど。

    スパイ映画好きなんでしょ?


    こういう銃の形したスタンガン、見た事あるでしょ?」


慎吾「は・・・はい・・・」


金属製の冷たい銃身、そしてそのどっしりとした重みは・・・


握った事はないが、まるで本物の銃のように感じられた。


リナ「これは最新型で、連射も聞くタイプだから。

    細長い銃弾は、それ自身が小さなスタンガンみたいになってる。


    1発当てれば、相手の動きは止まる。

    数発当てればしばらく動けない。使い方は想像通りよ」


言いながらリナは、自分用の銃型スタンガンも取り出した。


慎吾「い、いったい、何丁持ってるんですか・・・ それ・・・?」


リナ「海外サイトから特殊ルートで買うときね・・・

    まとめて買うと安くなるのよ。


    井上さんに、4丁持ってきてもらったわ。

    私の部屋には、あと6丁あるけどね」


リナは、2丁目のスタンガン銃を慎吾に渡した。


リナ「お互い2丁ずつ。そして、マガジンも2つずつ渡しておく。

    いい? 本物の銃とほぼ同じだから・・・」


慎吾「ぼ、僕は本物の銃なんてわかりませんよ・・・」


リナ「わかってるわよ! 映画で見る銃と同じだから!

    いい? 弾が切れたら、このマガジンを・・・」


リナは銃の取り扱いを、手際よく実演しながら説明し始めた。



・・・ ・・・。


午後9時2分。湾岸警察署。


後藤「何ですって!? 私が!?」


取り調べ室の1つ。後藤は1人の捜査官を目の前にして、大声をあげた。


男「あぁ、そうだ。この事件が解決するまで・・・

   後藤捜査官。あなたは拘留(こうりゅう)される」


後藤「な・・・ なぜ・・・?」




             (第85話へ続く)

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次回予告


リナと慎吾は、ある場所へと潜入していく。


そして・・・


とうとう、リナの妹が監禁されている部屋へ辿りついた。



次回 「 第85話  妹のいる場所 」

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