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アマデウスの謎  作者: 伊吹 由
第3章 ゲームの行方
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80/147

第79話  犯行声明文

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  慎吾のスピリチュアル事件簿 シーズン2


       「アマデウスの謎」 


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前回までのあらすじ


2008年。

リナ、そして父親の魁斗(かいと)が、謎の組織に狙われた。


イギリス諜報機関に属するヒロは、リナを守るために命を落とす。さらに、リナの父親・魁斗も遺体で発見された。


2012年、女子大生となったリナの携帯に「妹を誘拐した」という電話が届く。


霊能力を持つ1つ下の後輩、慎吾を連れて実家へ戻ったリナ。誘拐犯は期限内に1億を差し出さなければ、雛子を殺すと宣言。


後藤と藤岡は4年越しで、再び羽鳥家の誘拐事件を担当する。

誘拐事件の翌日から、近辺では連続殺人事件が起こり始めた。


誘拐犯の罠に陥った慎吾とリナは、誘拐と殺人の濡れ衣を着せられる。

後藤と堂島に逮捕されたその時・・・


慎吾は真犯人の正体が分かったという。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第79話  犯行声明文


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(誘拐犯が示したタイムリミット・・・12月19日24時)


2012年12月19日(水)、午後2時55分。都立病院の一室。


ベッドの上で体を起こしながら、藤岡はノートパソコンのキーボードを叩いていた。


藤岡「・・・ ・・・」


何かの作業を必死でこなし続けている。ふとキーボードをうつ手を止め、深呼吸をした。


病室にある時計を確認すると・・・


(藤岡「2時56分か・・・」)


携帯を取りだし、電話をかける。電話はすぐ繋がり、向こうから後藤の声が聞こえてきた。


後藤「藤岡、どうした? そっちは病院だろうな」


藤岡「えぇ。20時間もここにいますよ。そちらは?」


後藤「今、護国寺に来てる。犯人の1人がそこを要求しててな・・・」


藤岡「やっぱり・・・【G】駅にいるんですね。

    源さんの名前も【G】だというのに・・・」


後藤「な~に、犯行グループの数名は抑えているんだ。

    お前だって生還したし、こちらは問題無しさ。


    それに今、ここは100名近い警察で固めている。

    もちろん、他の【G】駅でも警戒態勢は取っている」


藤岡「それでも・・・ 俺は心配です。犯人は非常に頭がいい。

    どんな状況でも、犯行を成し遂げる完全主義タイプですから」


後藤「・・・ ・・・。 心配性だな。

    すでに我々警察側は、犯人サイドを追い詰めている。


    今日で必ずカタをつけてやるさ」


藤岡「あの2人は!?」


後藤「昨日電話した通り、留置所さ。

    これから現れる奴を捕まえた後、尋問する予定になっている」


藤岡「安心しました。この2人以外・・・

    何人がこの犯行に加わっているのか、わかりますか?」


後藤「昨夜に関しては、あの2人・・・知らぬ存ぜぬだった。

    しかし第3の人物がいるのは確か。


    仲間は少なくともあと1人か・・・

    あるいはまだ、2~3人はいるかもって所かな」


藤岡「そうですか・・・」


後藤「おっと・・・。あと1分で犯人の指定した午後3時だ。

    もう切るぞ」 


藤岡「わ、わかりました・・・。気をつけて・・・。

    残った犯人を捕まえたら・・・」


後藤「わかってるよ。すぐ連絡する。それまでベッドで休んでおけ」


そう言うと電話が切れた。しばらく携帯を見つめていた藤岡。


再び病室の時計に目をやる。


藤岡「・・・ ・・・」


そしてまた、携帯のボタンを押し始めた。



・・・ ・・・。


午後3時ちょうど。湾岸警察署。


カタカタカタ・・・ 


各階に設置されているFAXが一斉に動き始める。


この時間、湾岸署にいる署員は必要最小人数だけ。各【G】駅で、最大の動員をかけられているからだ。


1人の制服を着けた女性警官が、FAXに気づいた。


【 日本警視庁諸君に告ぐ 】


大きな太字で、そのようにタイトルされたFAXを手にすると・・・


その文面に目を通し始めた。



・・・ ・・・。


午後3時2分。銀座駅。


【G】駅である銀座にいた堂島はソワソワしていた。


この日は午前11時から午後6時まで、銀座駅で警戒にあたる事になっている。しかし前日、藤岡から渡されたUSBメモリの内容が気になって仕方ない。


藤岡は、このUSBメモリの中身は午後3時に閲覧できると言っていた。

そして、そこには犯行グループに関する情報や証拠が入っているはずだ。


すぐにでもUSBメモリの中身を確認したいが・・・


(堂島「今は警備中・・・」)


早く今の仕事が終わってくれと、心の中で叫んでいた。



・・・ ・・・。


午後3時5分。都立病院の一室。


藤岡「・・・ ・・・」


藤岡はけだるそうに、ベッドの上でテレビを見ていた。何でもない、タレントが司会を務めるバラエティ情報番組だ。


ふと、甲高い音がテレビから流れると、画面上部に【ニュース速報】というテロップが表示された。


藤岡「・・・ ・・・」


【ニュース速報】


【今日午後3時頃、護国寺で広範囲にわたる爆発騒ぎが発生】


【護国寺本堂を中心に、大規模な被害が出ました】


【当時、護国寺には観光客など500名以上がいたとみられ】

【多数の死傷者が出た模様】


【護国寺周辺の住民は、これからの情報を確認下さい】


【ニュース速報 /終】


それを見た藤岡はベッドから立ち上がり・・・


横にあったコートを手にすると、病室を出て行った。



・・・ ・・・。


【 日本警視庁諸君に告ぐ 】


【 我々は日本を拠点とするテロ組織【知られざる者】である 】


【 我々はここ数年、あらゆる場所、あらゆる時、あらゆる人々に 】

【 戦前日本人が持っていた誇り高き心を持つよう、啓発し続けてきた 】


【 しかし今の日本を見よ 】

【 下を見れば、自己中心的な若者達が日本の腐敗を加速させ 】


【 上を見れば、権力を持った愚か者共が私利私欲に走り 】

【 さらに日本の腐敗を助長する 】


【 理想の日本の未来を構築すべき政治家の汚職 】

【 日本を守るべき警察の数々の不祥事 】

【 平気で親を殺す壊れた若者共 】


【 日々のニュースは、日本人の堕落・腐敗・絶望を伝えるものばかり 】


【 誇り高き大日本人は死んだ 】


【 我々【知られざる者】は、現代日本の腐敗しきった体質に 】

【 失望を通り越し、怒りすらも通り越した 】


【 そして我々は1つの決断を下した 】


【 かつて神風と呼ばれた者達は、今の日本人が持たぬ 】

【 大日本人としての【誇り】を持つことを、命よりも優先させた 】


【 【誇り】無き日本人は、【誇り】ある日本人より遙かに劣る 】

【 よって今の日本人は、死ぬべきである 】


【 我々【知られざる者】はここに宣言する 】


【 2012年12月22日 】

【 この日本にいる者の、99.999%をこの世から抹殺する事を! 】


【 その日、我々は大洪水を起こす 】

【 愚かな日本人は、この警告に耳を傾ける事無く命を落とすだろう 】


【 箱船に乗れるのは、我々が選びし一握りの日本人のみ 】

【 生き残りし誇り高き大日本人で、新大日本を再建する 】


【 今日、護国寺で起こった事は、我々の手による始まりの合図である 】


【 その警鐘に耳を貸さず、審判の日に死ぬもよし 】

【 あるいは審判の日まで、逃げ惑うもよし 】


【 残された数日に、誇りを取り戻せば、我々の気も変わるだろう 】

【 しかし我々は確信する 】


【 生き残ったわずかな者達で、新大日本を創世する事を 】


【 この声明文が読まれる頃、私はこの世にはいない 】


【 世間は【自爆テロ】という、あたかもその行為が 】

【 【悪】であるかのような報道をするだろう 】


【 否(いな)!! 誇りを持ち、大儀のために死ぬ 】

【 それこそが、日本人の持っていた神風精神である!! 】


【 最後に今一度言う 】

【 大日本人としての誇りを持て! 】


【 持たねば、死、あるのみだと 】



【     【知られざる者】 後藤源治郎  】



             (第80話へ続く)

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次回予告


黒幕の正体に気づいた慎吾。


手錠に繋がれながらも、リナと共に警察の手から脱出する決意する。


逃げなければ・・・ 確実に後藤が死ぬ事を知っていたからだ。


次回 「 第80話  【G】のシナリオ 」


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